ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

真実に向き合う

バシ!バシ!!

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一瞬、目の前が真っ白になった。よろけた足が、衣の裾を踏んだ。。地面にぶち当たった体が痛かった。

 両頬がヒリヒリと熱くなった。ヌメっとしたものが口中にひろがった。唇の端を手の甲で拭うと、鮮血!

 一人の預言者の思いがけない行動に、その場にいた誰もが息をのんだ。 (ノ・ω・)オオ!

 ケナアナの子ゼデキヤ。

 その彼が、私(ミカヤ)の頬をびんたしたのだ。

彼は横たわる私を睨みつけ、上ずった声で言った。

「どうしてわかる。わたしの預言がウソだと、どうして言えるのだ!」

 私(ミカヤ)はゆっくりと上体を起こし、両手で体を支えながら立ち上がった。そして、ゼデキヤに言った。

「あなたが身を隠すとき、そのことがわかるでしょう。」

  突然、王アハブは家来たちに言った。

 「ええい!ミカヤを捕まえろ。(# ゚Д゚)そいつを町のつかさアモンと、王子ヨアシの元へ連れて行け!!牢にぶち込んで、死なない程度に痛めつけておけ。わしが帰って来てからどうしようか・・」

 私はふっと、口の端を歪めて笑ってしまった。

 「王よ。あなたが凱旋なさる時、私は偽預言者の仲間入りです。無事のお帰りを」

 話の途中で、右手をグイっとつかまれ、両手を拘束された。

 「皆さん!!今日の、このことを覚えておきなさい。私は玉座におられるお方を見たのだ!!👀これは神様の業ですぞ。

神様はこう言われたのだ。『アハブを戦死させる方法はないか』と。すると一人の御使いが言ったのだ。

 『私にお任せください。王のお気に入りの預言者たちに、王をそそのかせましょう』と。

そう言うと、私は王の前から引きずり出された。

不自然に身をねじって、最後の言葉を言おうとしたとき、

またしても誰かが、私の頬を叩いた。

アハブ王の元から使者が来たとき、

私はすでに着替えをし、使者の足音が近づくのを待っていた。朝の祈りの中で私は幻を見せられ、アハブ王の戦死を告げられたばかりだった。

 使者は言った。

 「王様は念願だったラモテ・ギルアデを奪還したいと願っておられる。今、400人の預言者が宮殿に集められて、王様を励ます預言をしているのだ。ミカヤさん、あなたも王様を力づける預言をお願いします。

今日はユダの王様も来ていて、その王様のたっての願いで、あなたは呼ばれたのだ。口を慎んでください。」

 使者はくどくどと言い募った。

どうやらヨシャパテ王は、アハブ王の命で招集されたらしい。ダビデ、ソロモンと続いた王家は、孫の代でユダとイスラエルに分かれた。ユダはダビデの直系だが、今はイスラエルの属国も同様になっていた。だからアハブの命には背けないのだ。

 スリヤとイスラエルの間には、三年間、戦争がなかった。

その間、ラモテ・ギルアデはスリヤにおさえられていた。

そこはヨルダン川の東にあって、ソロモン王在位の時から、イスラエル領の重要な町の一つだった。

それは、ダマスコ(アラム)との国境にあったからだ。

6代目のアハブの父オリムは、元軍司令官だったが、二つのクーデターを制して王となった強者だ。彼はサマリヤに首都を構えたが、そこは多民族の地で偶像に満ちていた。

オリムの息子アハブは父に見習って、さらに国を豊かにした。信仰も父にならった。

父の代にはユダはアラムと同盟を結んでいたが、息子ヨシャパテはアラムとの縁を切り、イスラエルと同盟を結んでいる。この機を逃すわけにはいかないと、アハブは考えたのだろう。それを煽るように、取り巻きの預言者は言葉をつなげているのだ。

 

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使者に伴われたミカやは、玉座に座るアハブの前に立った。挨拶をしようと腰をかがめると、頭上でアハブの声がした。

 「待ちくたびれたぞ。ラモテ・ギルアデを取り戻したいのだ。私に勝算はあるのか?ないのか?」

 ミカヤは少し首を傾げ、もったいぶって言った。

 「王様、御出陣なさいませ。勝利はあなた様のものです。ここにおられる預言者の言われる通りです。」

 おお~。

抑え気味のどよめきが広場に広がった。アハブ王は目を丸くし、肘掛イスをいまいまし気に叩いた。

「それが神の言葉だと!?ミカヤ本当のことを言え!」

 私は王の言葉に飛びついた。

「実は王様。幻を見ました。牧者を失ったイスラエルの民が、山の中でさまよっていました。」

 その時だった、

ケナアナの子ゼデキヤが、私の目の前に大股でやって来て、私の頬をびんたしたのは。

私は薄暗い牢屋に閉じ込められ、命をつなぐための最低限の水と食べ物を与えられて過ごしたが、私の肌はつややかで血色もよく、眼力も衰えなかった。

 どのくらい日数が過ぎたのか、私にはわからなかった。

それは、陽が沈んで明かりが必要になった頃だった。

バタバタと足音がして、いつもの牢屋番が慌ててやって来た。彼は、ガチャガチャと牢屋のカギを外しかけたが、手が震えてうまくいかないようだった。

私は思った。アハブが戦死したな。

「どうしたのです。そんなに慌てて」

 「アハブ王様が亡くなったのです。流れ矢に当たって・・

それで今、国中が騒いでいます。預言者様、どうぞ牢屋から出てください。あなたのお世話をしながら分かったのです。あなたこそ真の預言者だと」

 牢屋番は私を牢屋から出すと、あたふたと闇の中に消えて行った。久しぶりに外の空気を吸った。ここは町から少し離れていて、町の喧騒は伝わってこなかった。目の前に大きな木があった。星々がきらめくのを認め、私は根方に座って、目を閉じた。

 王様、あなた様は、私の預言を信じておられたのでしょうか?王服をヨシャパテ王に着せ、ご自分は兵士の格好をして、戦車に乗られたのですね。敵が、ご自分を狙ってくると、分かっておられたのでしょうか。

王服に身を包んだヨシャパテ王が、スリヤ兵に囲まれた時、あなたはこれ幸いと逃げ出したのですね。でも、それがよくなかったと思いませんか。王を守るべき兵士が、王を残し、敵に背を向けて逃げ出すものでしょうか。

名もない兵士であっても、訓練された者は、逃げる者に反射的に矢を射るもの・・・身を鎧で固めていたのに、わずかな胸板と草摺りの隙間から、矢が・・

結局、神様のご計画からは、逃れられないのですね。王様の乗った戦車には血だまりができて、その臭いに誘われて野犬がやって来たとか。

王様、ナボテの葡萄畑の件で、エリヤから言われたことを覚えておられましたか。アハブ家は滅びると。それも最後は野犬がかかわることを。

恐ろしいことです。あなた様が建てた象牙の家、あれはどうなるのでしょう。

私があなた様にいつも申し上げていたことが、真実であるがゆえに、あなた様は避けておられた。あなた様は真の神様を知っておられた。

それなのに・・選ぶべき道は他になかったのでしょうか?

頭上の木の葉が騒めき出した。眼下の町の灯はチカチカと瞬き、消える様子がなかった。

新しい王が誕生するのだ。

 

つけは先送り

えっ、

神様はあの男を許されるのですか?エリヤは神様の懐の深さに感動し、カァーと丹田が熱くなった。

 異教の妻の言いなりになり、偶像に染まり切ったどうしょうもない男。その男が今、見栄も誇りも打ち捨て、着物を引き裂き、ぼろを身にまとっていた。食を断っていた。

焦燥しきって、髪も髭もぼさぼさだ。落ち窪んだ目の周りに出来た大きな隈。不眠に悩まされている証拠だ。

これが数日前に会ったあの男か?

エリヤは目を疑った。

男の名はアハブ。イスラエルのれっきとした王である。

 

数日前、

エリヤは神の言葉を携えて王のもとを訪ねた。エリヤがアハブ王に会う時はいつも、神の言葉を携えていた。それも、彼を不機嫌にさせる言葉をだ。

そのため、王は極力彼に会うのを避けていた。それでも、神の預言者としての務めを果たすべく、エリヤを追い払おうとする家来たちを払いのけて、強引に王の前に立つのが常だった。

 

あの時もそうだった。

宮殿の中の部屋々を回りながら、主に導かれて、王のいる部屋へと踏み込んだ。アハブは憎々しげにエリヤを見、

体中から拒否反応を発散させながら言った。

「なんだ、またお前か。許可なく、ずかずかと入り込んでくるとは、いい度胸だ。今日は何だ。」

 エリヤは大きく息を吸った。

そして目を閉じ、神からの言葉を整えた。神からの言葉は強烈で、エリヤが初め聞いたとき、体が押し倒されるような衝撃を受けた。エリヤはまた深呼吸をし、アハブを見つめた。

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アハブは足を広げて、肘掛椅子に深々と腰かけ、ふんぞり返り、王としての威厳を保とうと、エリヤを睨みつけていた。そんな彼にエリヤは言った。

エズレル人ナボテの葡萄畑を奪ったな。畑だけでなくその命まで奪ったな」

アハブ王は微かに口角を引き上げた。

 宮殿に隣接するあの土地は日当たりもいいし、菜園畑にぴったりだと常々思っていた。わしは通常の倍の代金を払い、代替え地をも用意すると言った。なのに、あいつはけんもほろろに断った。くさくさしていたら、イゼベルがうまくやってくれたのだ。わしはどんな方法でやったかなんて、知らない」

「知らないですと。異教の妻イゼベルに話せば何とかなると、あなたは知っていた。そうやって、いつも自分を甘やかしてきた。そのつけは大きいですぞ。」

 エリヤはアハブを射殺すように見つめた。

 「アハブよ、聞くがよい。神はこう言われた

 『私はあなたに災いをもたらす。アハブ家に属する者は容赦なく滅ぼし、イスラエルからお前の家系を断つ。お前も妻イゼベルも、獣に食われて死ぬ。町中で死ぬアハブ家の者は獣に食われ、野で息絶える者は空の鳥の餌食となる』」

 エリヤは一気に言葉を吐き出した。

このような言葉をいつまでも心にとどめていると、自分自身の体がむしばまれてゆくような気が、いつもしていた。

 アハブは額に青筋を立て、肘掛の先をがっしりと掴み、顔を突き出し、叫んだ。

「いつもいつも、そうやってわしを怒らせる。

アハブ家が滅びるだと。ぬかせ!イゼベルは異教の国とを結ぶ要だ。そのおかげで、幾度、戦を避けられたと思っているのだ。

イスラエルの神だけに仕えよだと。笑止、笑止。それこそ頑なな心とゆうものよ。互いに理解しあい、相手を受け入れてこそ、平和が保てるというものだ。

お前はわしの預言者たちを偽者呼ばわりするが、融通の利かないお前など要はない。帰れ、帰れ!お前の顔など見たくもないわ!

これ以上ここにいたら、命は無いものと思え!」

 王は怒りで震える腕を伸ばし、エリヤを指さしながら叫んでいた。エリヤは自分の背中越しにその言葉を聞いた。

足早に屋外に出ると、雲足が強まっていて、太陽を覆っていた。

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 時には、自分の勤めの重さに疲弊するエリヤ。

しかし、イスラエルの民を偶像の餌食には出来ない。真の神を見失ってほしくない。自分はそのために遣わされているのだ。神の言葉の代弁者として、人に憎まれ、命を狙われようと、悔いはない。そんな思いが弱気になる彼を奮い立たせ、さらなる働きの原動力となった。

主よ、お守りください。

エリヤは天を仰いで歩きだした。

 

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 エリヤの姿が扉の向こうに消えて、アハブは腕を下ろした。体中の力が抜けて、イスの中に体がのめり込んでゆくように感じた。重い。不意に瞼が下りてきた。ずずーっと冷や汗が背中をつたった。指先が冷えてきた。

再びエリヤの言葉が響く。アハブに向かって、チロチロと赤い炎が這い上ってきた。

わぁぁぁぁあ~~!

アハブはのけぞって悲鳴を上げた。 巨大な目玉が迫ってきたのだ!目が開いた。心配そうにのぞき込むイザベラと目が合った。彼はベットに横になっていた。

「また、あの預言者が来たのですね。アハブ家が滅びるなんてありえません。あなたはイスラエルの王様。恐れるものなど無いのです。ちょうど、礼拝に行くところでしたから、私の神様にお祈りをささげてきますわ」

 イザベラは真っ赤に紅を差した唇を、アハブの耳元に近づけて言った。

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 静かだ。

アハブはほっとしながら、広い寝室の天井を見つめた。そこには池の水が反射して、柔らかな光が揺れていた。葉連れの音がせわしなくなってきて、不意に、窓辺のカーテンを舞い上がらせた。

 わぁ!

アハブの体がわなわなと震えだし、がくがくと操り人形のように、不器用に体を動かして、芋虫のように体を丸めた。

すると、大きな手で首根っこを押さえつけられ、誰かに引きずり出されるようにして、ベッドからずり落ちた。

 彼は放心していた。見開いた眼は、焦点が定まらず、だらしなく開いた唇はカサカサになっていた。アハブは突然、ビリビリと衣を裂いた。髪をかき回し、髭を引っぱった。

「 ゆ、ゆるしてくれ、エリヤ!幼いころは真の神を敬い、父オムリのようになるまいと、気負っていた。それが今はこのざまだ。

妻の機嫌を取らなければと、必死だ。甘やかされて育ったことはわかっている。何もかも人任せになってしまった。

まわりの者が忖度してくれるからな。ナボテには悪いことをした。

だからといって、獣に食い殺されたくはない!エリヤよ、教えてくれ!わしはどうしたらいいのだ」

アハブは幼子のように声を出して泣いた。

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 それから幾日が経過しただろうか。

エリヤがまた、アハブのもとへやって来た。

アハブはふらつく体を、イスに縛り付けるようにして座った。声を出すことも億劫で、エリヤの足元を見つめていた。預言者の衣の裾は土にまみれ、擦り切れていた。

 「神様の哀れみだ」

突然エリヤの声がした。

「アハブよ、お前は獣に殺されることはない。お前の悔いる心を神はよみされた。裁きは延ばされたのだ」

その言葉にアハブはびくっと反応し、勢いよく背筋を伸ばした。それから口をパクパクさせ、慌てて手で押えた。見開かれた眼の中で黒目が大きく揺れて、彼は、膝に顔をうずめてただ泣いた。

 わぉ~~!

神様は素晴らしい!

でも、命をとられちゃったナボテは・・・( ;∀;)アハブを、このまま生かしていていいのでしょうか?罪を憎んで人を憎まず・・むずかしい‥‥アハブさん、あんたは楽して、そのつけを子孫に押し付けて、それで何とも思わないのかぁ・・・なぁ~んて、思ってしまう。🐤はやっぱり🐤だなぁ・・・・

 

 

ちょっと・・・

                  蝉の声が一段と姦しい

 

     使命を終えた彼らが

     そこここに静かに横たわる

 

     太陽は中天にあり

 

     黒い兵士が運ぶ遺品は

     か細く揺れて

     木漏れ日の中に消えて行く

     

     夏を背負って

     土へとかえすのだ

 

 

 

     

                                                     f:id:pypyhiyoko:20180806110207j:plain

 

ちょっと、休憩。

たぶん今年いっぱい。

山の神か平地の神か

エリヤはエリシャの澄み切った目の中に

接ぎ木されてゆく新しい力を見た。👀

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エリシャは、

身の内から湧き上がる興奮を抑えるすべを知らなかった。

彼の弟子になりたい!

エリシャにとって、エリヤは英雄の何者でもなかった。

カルメル山のでの偽預言者との対決は、

自分の耳にも届いていて、

ワクワクと心が踊っていた。

 その英雄が目の前にいて、

彼のマントが自分の肩にかけられたのだ。

 

「弟子にしてください」

 

エリシャの声は上擦った。

エリヤはその声を聞くと、

すたすたと歩きだした。👣

 

「ま、待ってください。

家族にあなたのことを紹介させてください」

 

エリシャは何の躊躇もなく、

牛のくびきを燃やし、その肉を煮て、

預言者をもてなし、

家族にも食べさせ、

そして家を離れた。

 

簡単に書いてあるけど、

彼は長男ではなかったのかな?

昔だから、兄弟はいっぱいいて、

働き手が一人かけても大丈夫だったのか?

突然の旅立ちに両親は戸惑ったのでは?

それとも、預言者に理解のある家族で、

預言者の世界では、

時代の寵児であったエリヤの弟子に成れることは、

賛成こそすれ、反対する者はいなかったのか。

 

とにかく、

これからの二人の師弟関係からは目が離せません。

 

と思っていたら、

 何ですか?

ぷっつりと消息が途絶えてしましました。Σ(・□・;)

それで、エリヤとエリシャの師弟愛を書く前に、

アハブ王のことを書かなければなりませんが、

 

「師弟愛」(⋈◍>◡<◍)。✧♡

 

最近、四角い盤上が縁で結ばれた「師弟愛」が話題に。

こっちも目が離せな~い!☖

 

 あ!見てください。

首都サマリヤがシリヤ軍に完全に包囲されてします。

スリヤの王ベネハダデが率いる、32人の王の連合軍です。

わああ、す、凄い!! 凄い数です!!

アハブ王もその状況をこの目で見て、

ビビってしまいました。

だから、相手の軍から使者が来て、

 

「宝物も王の妃たちも子供たちも、わが軍のものだ!さしだせ!」

 

と言われた時、握りこぶしに力を入れすぎて、爪痕がくっきりと手のひらに残ったものの、反抗もせずに受け入れてしまいました。

命あっての物種ですからね。

 

無抵抗の王の反応に気をよくした王たちは、楽勝とばかりに宴会を始めてしまいました。

そして酔った勢いで新たに使者を出しました。

使者は胸をそらし、もったいぶって言いました。

 

「ベネハダデ王は言われる。

 新しい要求だ。

我々が民の家々を回って、気に入ったものがあれば、それも我々のものだ!」

 

「なんということだ。

初めの要求でさえ、断腸の思いで受け入れたのだ。

今回の話は、ばかにするにもほどがある。我々にも意地はある」(# ゚Д゚)

 

その伝言を受け取ったベネハダデ王は、なみなみと注がれた盃を一気に飲み干してから怒鳴りました。

 

「小癪なことをぬかしおって。

あんなサマリヤの一つや二つ、あっというまにひねり潰せるんだ。

私にそれが出来ないとでも思っているのか?

ワハハ!

わしの思いどうりにならなかったら、神々が、わしをそのようにするだろうよ」

 

使者は二人の間を、行ったり来たり大忙しです。

こうなったら、アハブ王も黙ってはいられません。

わきの下に冷や汗をかきながらも言い返しました。

 

「戦はやってみなければわからないさ。我々を見くびるな!」(# ゚Д゚)

 

これを伝え聞いたベネハダデ王は、額に青筋を浮き上がらせ、盃を投げ捨てて言いました。

 

「よおし、やってやろうじゃないか。

 戦だ!攻撃だ!

 戦闘の準備をせよ!」

 

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その頃、

王アハブは覇気のないげっそりとした顔で、玉座に座っていました。

言葉の応酬で大それたことを言ってしまったが、打つ手はありません。力の差は歴然です。

と、部屋の入口が騒がしくなり、部下が飛び込んできて言いました。

 

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預言者神託を持って来た、とわめいています」

「誰だ?」

「名前を聞いても言いません」

 

もう、この際です。

藁にもすがる思いでいましたから、無名の預言者は直ちに王に謁見出来ました。

その男は痩せていて、浅黒い顔を王に向けました。

 

イスラエルの神はこう言われる。

 232人の助っ人外人部隊を編成し、7000人のイスラエル軍と共に敵に向かうのだ」

 

「その少人数で勝てるものか」

 

アハブは苛立ちながら言いました。

 

イスラエルの神の力を信じなさい。戦はこちらから仕掛けるのです。先発は、少人数の外人部隊です」

 

こうして招集された兵士たちが整ったのは、もう太陽が中天にあるころでした。🌞

 

何の計略もないまま外人部隊が進みましたから、すぐに敵に見つかってしまいました。🔭

 

「あ、敵兵だ!」👀

 

すぐにベネハダデに伝えられましたが、見た目、少人数だったため油断していました。

すると、後からイスラエル軍が飛び込んできて、シリヤ軍を蹴散らし、沢山の分捕り物を確保しました。

でも、

ベネハダデ王は部下に守られて逃げのびました。

 

この戦での、イスラエル軍の損失はありませんでしたから、みんなお祭り騒ぎでしたが、かの預言者は顔を引き締めて言いました。

 

「彼は態勢を整えて、来年また攻めて来る。気を抜いてはなりません」

 

その通りでした。

ベネハダデ王の側近は王に言いました。

 

「今回は大敗しましたが、次回は倍返しです。

 イスラエルの神は山の神でした。次回は平地で彼らを負かします。

連合軍の王でなく、指揮権を我々将軍にお委ねください。必ず勝利してみせます」🏁

 

 一年なんてアッというまですね。

ベネハダデ王は優秀な軍隊を引き連れてアペクで

イスラエル軍とにらみ合いとなりましたが、またもやその勢力の違いは歴然です。

そんな時、またもやかの無名の預言者が言いました。

 

イスラエルの神には山も谷も平地も関係ない!

 目の前の大軍を恐れるな。主がお前たちに彼らを渡された!

 恐れるな!

 万軍の神が彼らと戦われるのだ!」

この言葉にイスラエル軍の気力はいやが上にも高まり、7日間も、にらみ合った末に、合戦の火ぶたが切られました。

イスラエル軍は、一日で歩兵10万人を倒し、逃れた2万7千人はマペクの城壁の陰に身を潜めました。

すると突然、

城壁が何の前触れもなく崩れて、全滅です。

ベネハダデ王は側近に守られて、町の一軒家に身を潜め、一息ついたとき、側近が言いました。

 

「アハブ王は哀れみ深い王だと聞いています。

 命乞いに行かせてください。」

 

彼らがみすぼらしい格好でアハブ王の前に行き、王の命乞いをすると、大勝利に気をよくしたアハブ王は言いました。

 

「彼は生きていたのか。

 彼は私の兄弟だ。

 連れてきなさい」

 

こうしてベネハダデ王の首は繋がりました。

そのうえ、王の車にも乗せてあげたので、大感激したベネハダデは言いました。

 

「私の父が奪った町々をお返しします。

 それと、

 私の父がサマリヤに市場を作ったように、ダマスコに市場を開いてください」

 

アハブは上機嫌で彼と条約を交わしました。

 

よかった~ぁ。。。

 

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やや?!

何やってんでしょうね?

例の預言者と、同胞の預言者が、わめいています。

 

「なんてことを言うんだ!

 お前を殴れだって?!

 意味もなく殴ることなんかできやしない。気でもおかしくなったのか?」

 

「意味があるから言っているんだ。

でもお前は私の言葉を拒んでしまった。これは主の言葉だったんだ!ああ、なんてことだ。

いいか、お前はライオンに殺される!」

 

「そんな馬鹿な。」

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驚きと戸惑いの色を見せながら、その預言者は駆けだしました。

 かの無名の預言者は大きく息を吐きだして顔を上げました。

すると前方から、別の同胞が歩いてきました。

 

「お前の持っているその剣で、私に傷を負わせてくれ」

 

その同胞は躊躇しながらも彼を傷つけました。

 

え、その前の人は?ですか。

残念ながらその通りになってしまったようです。(´;ω;`)ウゥゥ

 

次の日です。

かの無名の預言者は傷ついた体に包帯を巻き、道端で王を待っていました。

 

「王様、私が戦場で捕虜の見張りを頼まれました。

『逃がしたらお前の命をとる、それが嫌だったら60万円を出せ』

と言われました。

私が他のことに気を奪われているすきに、捕虜が逃げてしまいました。どうしたらいいでしょうか」

 

「それはお前が悪い。60万円を払うんだな。」

 

王のその言葉を聞くと、かの無名の預言者はやにわに立ち上がり、するすると包帯をときました。

 

「やや、お前は、この前の預言者ではないか。

 お前の助言のおかげでわが軍は大勝利だ。

 後でおまえと食事がしたい。」

 

その言葉を払いのけるように、固い声で預言者は言いました。

 

「王様、イスラエルの神は、こう言われます。

 私が殺そうと思った者*1お前は生かした。それゆえ、お前が命を落とすのだ。お前の民は、彼の民の代わりに滅びる。」

 

「なんだと!

 せっかくいい気分になっているとゆうのに。ぬかせ、たわけ者めが!」

 

王は怒りをあらわにして、預言者を睨みつけ、

サマリヤに帰って行きました。

そこには愛しい妻イゼベルが彼を待っているのです。

 

王の行列が通り過ぎ、わだちの後を空しく見つめていた預言者の周りに、突然砂ぼこりが舞い上がりました。

彼は慌てて衣の裾で顔を覆いました。

 

「神よイスラエルを憐れみたまえ。」

 

預言者の閉じた瞼の隙間から、

涙があふれてこぼれ、😢

土ぼこりがその後をなぞりました。

 

*1:ベネハダデ王

起きて食べなさい

預言者エリヤの出現は、アハブ王とその妻イゼベルにとって、厄介な存在だった。真の神から民の目をそらさせ、

バアル礼拝を奨励し、率先して偶像礼拝を行っていた王の前に、忽然と現れたエリヤの風貌は、威厳があって、王の権威をもってしても抑えがたかった。

彼、エリヤには、神の怒りの霊が臨んでいたのだ。

特にイゼベルは、真の神の預言者たちの迫害に、躍起になっていた。

そのやり方は熾烈だった。

王に仕える高官オバデヤは見かねて、預言者100人余りを分散して、荒野の洞窟にかくまったほどだった。

 エリヤはカルメル山で、バアルの預言者たちと対決し三年半も雨が降らなかった地に、雨を降らせた。

 持てる力をすべて出し切った彼を待っていたのは、イゼベルの怒りと、執拗な追跡だった。心身共に、ぼろぼろのエリヤは、追跡者の手を逃れ、ベエルシバのケリテ川のそばに身を潜めた。

 

そこは、干ばつが襲ってくる前、神に示された場所であり、数々の奇跡によって命を繋がれた場所だった。

そこではザレパテの寡婦の息子を、死から引き戻したことがあった。あれも、これも、すべて全能の神様のお力だ。

しかし、今回の出来事は・・ 

カルメル山でのあれは、何だったんだ。勝利の高揚感はエリヤから引き剥がされ、ずたずたにひきちぎられて、足蹴にされた。彼の心は虚無感で抜け殻のようになっていた。

 王も王妃も、真の神のお力に震えあがり、土ぼこりの地に雨粒が落ちだしたとき、あんなに狂喜して喜んだというのに。

彼らはそれを真の神様のお力だと認めなかったのか?

バアルの預言者の無力さに目をつむったのか?

止まれ、止まれ!

こんな愚かな王や民のために何をやっても無駄だ。

 エリヤはベエルシバの荒野の中で、神様の器としての自分の無力さを呪い、死を願ってうめいていた。

 そんな彼のもとに、天の使いが現れた。

天の使いは、しなったエリヤの肩に手を置いて言った。

 「起きて食べなさい」

ああ、ここ、なぜか目頭がじわんと~~。🐤

 エリヤが振り返ると、 焼きたてのパンと、水の入った瓶が・・

エリヤはそれらを飲んで食べた。

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すると、今までの疲れがどっしりと彼の上に倒れ込んできて、瞼が抵抗空しく垂れ下がり、ずりずりと眠りに引きずり込まれた。

 「はっ?!」Σ(゚Д゚)

 どのくらいたったのか、突然、耳元で声がした。

 「起きて食べなさい。道が遠く耐えられないでしょうから」

 耳元でささやく声には聞き覚えがあり、温もりを肩に感じた。疲れでぼんやりとしていた視界が、今は開け、心臓の鼓動も、力強く全身にエネルギーを送っていた。

目の前には、やはりパンと水があった。彼はガツガツと勢いよく食べた。そして立ち上がると歩きだした。👣

 どこへ?

 エリヤはそれがどこだか分らなかったが、彼の足は力強く踏み出し、迷うことはなかった。 

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ええ!

40日40夜、歩いて、ホレブ(シナイ)山へ!👣

カルメル山からベエルシバまで約170キロ。

そこから、モーセ十戒を貰ったホレブ(シナイ)山までは約300キロ。

40日40夜?どこかで寄り道でも?

 エリヤは山頂近くで洞穴を見つけると、くずおれるように倒れ込み、幼子のように眠りこけた。 

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寒さで目が覚めたとき、太陽はまだ地平の向こうに沈んでいて、一日の働きのための序曲を奏でていた。🎻

それは、薄くたゆたう雲を七色に変化させていたが、遠くの山々は黒い影の中にしずまっていた。

エリヤは横になったまま、ぼんやりとそれらに目をやった。頭の中で、目まぐるしく過ぎた日々を反芻していた。

と、彼のいる洞穴の奥から、声が響いてきた。

 「エリヤよ、出でよ!山頂に立て!」

 彼が、驚いて身を起こしたその時、目の前の大岩に雷が落ちた。眩しい閃光と飛び散る岩。思わずマントに身を隠し、穴の入口にへばりついた。バタバタとマントの裾が風にあおられ、体が激しい振動に揺さぶられ、ばらばらと小石が彼の上に落ちてきた。稲光は留まることなくマントに差し込み、⚡耳をふさいだ指の隙間から雷鳴が鼓膜を叩いた。

 神様が、エリヤの前を通り抜けられたのだ。

  気付けば、いつの間にか地震も暴風も止み、雷鳴も遠のいていた。🌈

しかし、彼の体は小刻みに震え続けて止まらなかった。

 「エリヤよ。ここで何をしているのか」

 朝日がエリヤのマントを朱色に染め始めたとき、その声がした。ビクリと頭を動かすと、はらりとマントがずり落ち、太陽のぬくもりが彼を包んだ。🌄冷え切った身の内から、温かなものがあふれてきて、彼の手を濡らした。

彼はあわててマントをつかみ、しっかりと全身を覆いなおした。震える手がまどろっこしかった。神の御光の中にあることの恐ろしさに、心臓がバクバクと彼の喉を圧迫した。慄きが頂点に足したとき、誰かに引き起こされるかのように立ち上がっていた。そして、洞穴の入口へと導かれた。

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 唇がカサカサだった。ヒリヒリと痛む喉の奥で、空っぽの胃が、ぎゅぎゅぎゅっと萎縮した。空気が押し出されて、彼は声を絞り出した。自分の耳にその声は素通りしていって、今までのいきさつを語り、追ってから逃れていることを告げた。他人の声のようだった。

がくがくと膝がしらがきしみ、エリヤは再び身を沈めた。

 「ダマスコに行くのだ。二ムシの子エヒウに油を注ぎなさい。次期イスラエルの王は彼だ。 お前の後を継ぐ者も決めた。エリシャだ。」

 こうしてエリヤはホレブ山を後にした。

山を下りるごとに、彼の体は軽くなり、歩幅も伸びて行った。🐾

 

一人の若者が12くびきの牛を使って畑を耕していた。エリヤは通りすがりに、自分のマントを彼に被せた。するとその若者ははたりと動きを止め、振り返ってエリヤを見た。

 「あ、あなたは!」Σ(・□・;)

 若者は慌ててエリヤを追った。追い越しざま、彼は両手を突き出して、澄みきった目で真っすぐとエリヤを見た。👀  つづく

 

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