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朝駆けに出かけた弟の 背を見つめるふきは24。 父は天守閣の修理の折 怪我をし それが元で お城づとめが出来なくなった。 母が風邪をこじらせ 呆気無く死んだ 半年後のこと。 それは弟8歳、ふき17歳の時だった。 公傷の扱いをうけ、 お扶持は減らされた…
太宰治は大の犬嫌い。 犬は猛獣だ。 だから犬に噛みつかれないように、ご機嫌を摂らなければ成らないと思っている。 ある日子犬が、後を慕って家までついてきてしまった。 子犬といえども立派な歯をすでに持っている。噛まれたら大変だ。 丁重にもてなした上…
吉岡道場との試合を控えて、不覚にも古釘で足を傷つけた武蔵。 膨れ騰がった足を引きずり京を目指しながら、彼は悩んでいた。 絶対に勝つという心の備えができていなかったのだ。 自分はまだまだ未熟だ。 兵法者として天寿を全うするまで勝ち抜くことが大切…