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ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

おとうさん・・子羊がありませんね。。。

=== イサク父と山に登る ===
柳の木はみずみずしい葉をゆらゆらと風にまかせ、
井戸の水にときおり細い舟を浮かべていた。
                        
イサクもまた、麗しい若者に成長していた。
息子が幼いときからアブラハムは、
自分たちを導いておられる父なる神と
神の約束について、寝物語に語り聞かせてきた。

若者もまた父に倣って敬虔な心で神を敬うことを怠らなかった。

アブラハム家は安泰だった。少なくともその日までは・・・

アブラハムは久しぶりに神の声を聴いた。
彼の脳天を打ち砕くようなその内容に、彼は呻き声をあげた。
胃がきりきりと捻じ曲がり、嘔吐を繰り返した。
妻には言えなかった。

夜、満天の星空の下で彼は何回も自問した。
矛盾している。
イサクが死んでしまったら
約束はどうなる・・
その神さまがイサクを奉げよとは・・・・
分からない、理解できない。
あんなに喜ばせておいて、
これまで大切に育ててきたのに・・・
サラはどうなる・・・

一晩中、彼はのたうちまわり、呻き、
目を真っ赤にして、星々を仰いだ。

まだ薄暗い空に小鳥の声がして、彼は立ち上がった。
選ぶ道はそれしかなかった・・・

イサクをそっと揺り起こして、しもべをつれて家を出た。
モリヤの山に行くのだ。

途中僕を残して、山に入る。
何も言わないイサク。
黙々と登る二人。

カーンと静まった山の途上で、
その空気のように透き通った心で、イサクは言った。

     「お父さん、
      生け贄の薪と火はありますが、子羊がありませんね」

父の眼がうろたえて足が止まった。

神はわたしを試しているのだ。
そう分かっているだけにアブラハムは辛かった。
家を出るときから、はっきり心に決めていたことなのに、
慄いた心は彼の体を締め付けた。

アブラハムの足は動かなかった。
彼は、空の彼方を見つめ、凍りついた息を吐き出して、
それからおもむろに振り返った。

真っ直ぐに父を仰ぐ息子。
その瞳にさっき彼が見つめた透き通った大気が宿っていた。
そこには雲ひとつ混じってはいなかったので、
彼は息子の心を我が心とした。

いつもとはちがう見開かれた父の目を
不思議そうに見つめる息子。

その時、父親の目じりに朝の一光が光るのを見ると
イサクはなぜか全てがわかったような気がして
うなずくと、自然に微笑んでいた。
二人の心の奥深くで何かが固く結ばれた。

     「それはのぉ・・
      神さまが用意なさるんだよ」

アブラハムは大きな痞えが胃の腑に落ちたのを感じた。
そうだ、神さまにお任せすればいいのだと。

ふたりの背を顔を覗かせたばかりの朝日が
力強く押し出した。


音声
http://www.youtube.com/watch?v=Rud65UZSAg8

・・

*モリヤの山は実際には丘だそうです