=== ヨセフに気づかない兄たち ===
飢饉の激しさは、カナンの地も同じだった。
「エジプトにはまだ穀物があるようだ。
エジプトへ行って穀物を買ってきなさい」
兄弟たちはエジプトへ行くことになったが、
イスラエルはヨセフの弟ベニヤミンは行かせなかった。
エジプトに着いた兄弟は、
エジプトのつかさ(ヨセフ)の前にひれ伏した。
(あらら・・夢のようになりましたねぇ)
ヨセフは兄弟たちに気づいたが、知らぬ者のように荒々しく語った。
「あなたがたはスパイだ!!」
そうして三日間、監禁した。
その後ヨセフは言った。
「人質を残して、あなたがたは家族の飢えを救いなさい。
そして末の弟を連れてきなさい。
そうすればあなたがたを信じよう」
兄弟はヨセフとも気づかずに、
ヨセフの前で、
昔ヨセフにした罪のゆえに
このようなことになるのだと語り合い
そのことを悔いた。
間に通訳者がいたので、
エジプトのつかさには分からないと思っていたのだ。
ヨセフは彼らの話を聞き、見えないところで泣き、
また帰ってきて
シメオンを捕え、彼らの目の前で縛った。
兄弟はしかたなく家路についた。
途中宿で、ろばに飼葉をやるため袋をあけると、そこに銀があった。
彼らは非常に驚き、互に震えながら言った。
「こ、これは!!
なんとしたことだろうか!!」
彼らは父のもとに帰りつくと、関を切ったように言葉をついた。
そして改めて確かめると、めいめいの袋に銀はあった。
ルベンは父に言った。
「お父さん、ベニヤミンをつれて行かなければ
シメオンをつれかえることはできません。
もしわたしが彼を連れ帰らないときは、
わたしのふたりの子を殺してください。
わたしはかならず、二人を連れて帰りますから」
エジプトから持ち帰った穀物はすぐに尽きるので、
ヤコブは息子たちに次の穀物を買ってくるようにと促したが、
彼らは拒んだのだ。
しかし、ヤコブは頑として耳を閉ざした。
最愛の妻、ラケルの子を失いたくなかったからだ。
それでシメオンは、人質のままだった。
兄弟はやきもちしつつも、どうすることも出来なかった。
そうこうするうちに、エジプトからの食料も底が見えてきた。
そしてヤコブはまた、エジプト行きを命じるのだったが・・・・
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