ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

私の夫は、イスラエル人なんだ!!

前回、アロンと意気投合したモーセでしたが
その前に彼は死にそうな目に会いました。


家族三人で旅を続けて、ある日の夜
夕食を済ますと
モーセは突然苦しみ倒れた。
チッポラは夫の額に手を当てた。
高熱にうなされる夫に
手持ちの水を布に浸して冷やしたが
たちまち乾いてしまうのだった。

必死の看病をしながら彼女の脳裏に
出発前に夫と気まずい思いになったことを思い出した。

夫は「息子に割礼を施したい」と言い出したのだ。
聞けば、彼女には受け入れがたいことだった。
いつになく声を荒げて拒否する妻に
夫は黙ってしまった。

割礼はイスラエルの神さまのご命令?
それを受けなければ息子は死んでしまう?
そして今、突然倒れた夫、
何か因果関係があるのだろうか?
神さまが怒っておられうのだろうか?

彼女は上目ずかいにあたりをうかがった・・
何かぞくっと背筋が冷たくなったような気がした・

彼女は夫の額から手を離した。
うろうろとためらいながらも、火打石用のナイフを握っていた。

息子はかわいらしい寝息を立てている。
時折、黒々と長い睫毛がぴくぴく動き
やわらかな下唇の端が笑っていた。
彼女はそれらを無視した。
それでも、静かにやさしく息子を起こすと
栄養をたっぷり含んだ頬に唇をのせた。

突然の目覚めに子は
輝く黒目をくりくり動かした。
    「ゲルショムちゃん・・
     ちょっとだけ我慢してね・・」
彼女は優しく耳元でささやいた。

    「ぎゃ!!」

息子の異様な叫びに、血に染まった彼女の手が震えた。
彼女は瞬きもせずに、自分の手を凝視すると
ぬめぬめと光る血を夫の体に擦り付けた。

夫は目を開けた。そして、
息子も妻も自分も、血に染まっているのを見て
妻を見て微笑んだ。
    「あなた、血まみれね」
夫の微笑みの中につつまれながら、チッポロは言った。

この出来事を通して、ミデヤン人の妻チッポロは
自分の夫がイスラエル人であることを実感した。

それと同時に、
この旅路の向こうに
大変なことが待ち構えていて
足手まといになるかもしれないと・・
女の直感がそう思わせた。

ゲルショムの泣き声も小さくなって
いつの間にか闇の中に溶け込んでいった。