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どの顔もどの顔も興奮していた。
きらきら輝く瞳は、まだ見ぬ約束の地を夢見ていた。
子どもも、杖をついた年寄りも、足取りは軽かった。
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ここに至る数日間は目まぐるしかった。
たびたびの神の警告にも関わらず、
絶えず約束を違えては頑なになってゆくパロ・・・
そして、会談は決裂。
モーセは長老たちを集めて、恐るべき神のご計画を明かした。
「神さまは真夜中にエジプトを経巡り、
地位や財産に関係なく、
人も家畜も関係なく、
その地のういごをうつとおっしゃる。
我々も例外ではないが、
神の言葉を信じ
それに従うなら守られる」
長老たちは息を呑んで次の言葉を待った。
「一つ、その月の十日に家族ごとに一頭の子羊を選びわけ
十四日目にほふって焼いて食べきること。
一つ、その血は玄関の二本の柱とかもいに塗ること。
一つ、七日間、イースト菌の入っていないパンを食べること。
一つ、この儀式は永遠に守ること。
また、異民族でも割礼を受けて後、同じようにするなら守られる」
長老たちはそれぞれのところに帰っていって、
民に伝え、
民はそれを実行した。
こうして神の時は来た。
その夜、かってなかったような嘆きと泣き叫ぶ声が、
夜の闇の中を駆け巡った。
イスラエルの人々は息を殺し、あるものは耳を塞いで
主が行過ぎるのを待った。
パロは、その夜のうちにモーセとアロンを呼び寄せた。
「女も子どもも年よりも、家畜もみんなつれて礼拝に行くがよい。
そして、わたしの祝福のためにも祈ってくれ」
エジプト人は恐れ慄きつつ、イスラエル人を急き立てて
この国から去らせようとした。
そのため、イスラエル人はパン種を入れない練り粉を
こねばちのまま運び出さなければならなかった。
かれらは道々、エジプト人から金や銀の飾り物や衣服を請い求め、
エジプトの宝を奪い去るようにして出立した。
“悲願の出エジプト”
イスラエル人がエジプトに来てから430年目の終わりの年だった。
空にはまだ名残の星が瞬いていて
東の地平線からは厳かな朝の儀式が始まろうとしていた。