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ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

逃げたしたシセラ・・・

士師記

バラクが驚くほど早く、一万の兵士はあっという間に集まった。
彼らは鍛え抜かれた体と、気力も充実し
「打倒シセラ!」、「打倒ヤビン!」で気勢をあげていた。
バラクは彼らを従えて、デボラと共にタボル山に登った。

この行動は、たちまち軍勢の長シセラの知るところとなり
彼は大いに怒って鉄の戦車900両と、全ての兵士を
ハロセテ・ゴイムからキション川に集結させた。
そうして、最近各地で起こる小競合いに、終止符をうとうとしたからでした。

デボラとバラクは山の高みから
集まってくるシセラの大軍を眺めていた。
鉄の戦車は平地を埋め尽くし、その眺めは壮観だった。
集まったイスラエルの兵士達がゾクリと背筋が冷たくなった頃
敵兵の剣が一つキラリと反射した。

デボラは杖でトンと大地を叩いた。
     「さあ、立ち上がれ!イスラエルの精兵。
      バラクよ、シセラはあなたの手の中だ!」
バラクはぶるっと武者震いし、それから号令をかけた。

一万の兵が大声を張り上げながら山を駆け下ってくると
シセラの兵士は山津波かと思って慌てふためき、
彼の号令など全く耳に入りません。

兵士は逃げ惑い、鉄の戦車はお互いにぶつかりあい、
溝にはまったり散々です。
こうしてあっという間に旗色は決まりましたが、
シセラは一目散に逃げました。
自分の乗った戦車が動けなくなると、
すぐさま飛び降りて駆け出しました。

彼は人目を避け
ケデシに近いザアナイムのかしの木の所に天幕を張っている
ケニ人ヘベルの所へと急いだ。
ヘベルとは以前から親しくしていたからだ。

夫ヘベルはいなかったが
妻のヤエルは彼をにこやかに迎え入れた。
     「さあ、そこはいけません。
      中におはいり下さい。」
シセラは薄暗い天幕の中に足を踏み入れた。
闇になれない彼を、ヘベルの妻ヤエルはさらに奥に導き、
柔らかな毛布で覆った。
その毛布に包まれると、シセラの体は鉛のように重くなり
急に喉の渇きを覚えたので
      「どうか飲み物を・・」と言った。
ヤエルは乳の皮袋を開いて彼に飲ませると
また静かに彼を覆った。

気持ちが落ち着くとシセラは言った。
きっと後から人が来て、
    「誰か来なかったか?」と尋ねるだろうが、
    「いない」と言ってくれ」
それだけ言うと、まぶたがストンと落ちた。

ヤエルは目まいを起こして倒れそうになりながら
毛布に包まれた塊を固唾をのんで見守っていた。
彼とは以前親しくしていたのだが、
最近のシセラの強引なやり方に
夫も嫌がっていたし
今日の戦のことも知っていて、彼は朝早くから家を空けていた。

小刻みだった毛布の揺れが、
大きな落ち着いた動きに変るのに時間はかからなかった。
それに微かないびきが加わると
彼女はほっとした。

これから、どうしたものかと思い迷った。
     人が来るのを待つべきか・・・、
     一眠りして疲れが取れれば
     彼はまた人目を避けて逃げてゆくだろう・・

彼女は天幕の釘を手にした。
荒削りの釘の先は鋭利に尖り、彼女の手の中であたたまっていった。
    ゴトリ!
    血の気の失せた顔で彼女は振り返った。
    毛布が揺れた!
    右手に槌を握り締めた。

渇ききった喉から搾り出すようにヤエルは呼んだ。
   「シセラ様、シセラ様」
    ・・・・
返ってくるのがいびきだけだとわかると
彼女は立ち上がり、恐る恐る毛布を持ち上げた。

・・・****

バラクがやって来た。
シセラは生臭いテントの中に彼を導いた。

そこに毛布に包まれて横たわるヤエルがいた。
彼のこめかみに真っ直ぐに突き刺さった釘は
ぬめりを持って、てかっていた。
その顔は彼のうちから噴出した血潮に染まり、
赤鬼のようだった。


ヤエルは帰ってきた夫にその時のことを聞かれても
そこだけポッカリと穴が開いたようになっていて
何も思い出せなかった。

ただおびただしい血の痕と
真赤に染まって丸められた自分の服を見て涙が溢れ
夫の胸の中でフルフルと震え、なかなか止まらなかった。

シセラの死が引き金になって
イスラエルの勢いは増し
ついにヤビンとその国とは完全に滅ぼされた。

それから40年間、
穏やかな日々を堪能するイスラエルの人々でした。

めでたし、めでたし。 (@^^)/~~~