『そのころ、イスラエルには王がなかったので、自分の目に正しいと見るところをおこなった。』士師記21:
今日からは「サムエル記」で〜す。嬉しいですね。これからは王様が現れて、秩序を正してくださるのね。ばざ〜〜い!!と、喜びたいところですが・・
新しい秩序を築くためには、古いものを壊さなければなりませんねぇ・また新たな血が流されるのでしょうか?
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物語はエフライムの山地.。ラマタイム・ゾビムにエフライム人でエルカナという人がいました。その人は信仰心が篤く、毎年、契約の箱が置かれているシロに上って、礼拝をささげていました。
彼にはハンナとベニンナという二人の妻がいました。ベニンナには子供がいましたが、ハンナにはいません。ハンナはそれが重荷でした。
そんなハンナの心の痛みを知ってか知らずか・・
「ハンナ、何をそんなに泣いているんだい。息子が10人いるよりも、私がいればいいではないか」
な〜んて言って、夫エルカナはハンナを慰めていましたが、ハンナの心はさらに深く沈んで、痛みが体中を駆け巡りました。
ともかく今年もシロへ行くことになりました。礼拝を無事に済ませ、家族そろっての食事時、無邪気に笑うベニンナの子供たちの声さえも、今のハンナには悲しみの棘で、食事も喉をとおりません。
溜まりかねて神殿に駆け戻って泣くハンナ。体を揺り動かし、声もかすれて祈る様は、あたかも酒に酔った人のようです。
「これこれ、酔いをさませ。何時までここにいる気だね」
「ああ、、祭司様。酔ってなんか居りません。子の無い女を哀れんでくださるよう、お祈りしているのです」
祭司エリは彼女の話に耳を傾け、そして言いました。
「イスラエルの神はあなたの祈りを知っておられる。安心して、家に帰るがよい」
心を注ぎだして祈り、祭司に話を聞いてもらった彼女の目から、涙がぴたりと止まりました。すると、喜びがあふれ、心に安らぎが広がって、目にするすべてが、彼女に微笑みかけているようでした。
次の日、エルカナの家族は早朝に主の前で礼拝し、朝日を浴びながら、ラマにある家に帰りました。
時がたっても、ハンナの喜びは消えません。今では、あのベニンナにさえ、笑顔を向けて話しかけてゆきます。夫エルカナは驚きました。
「お前は変わったよ。悲しみの泉は枯れ、私を見つめる君の瞳は喜びに輝いている。軽やかに動くその姿に僕は捕らえて息苦しいよ。一体何があったんだい。状況は何も変わっていないのに・・」
エルカナはそういいながら、彼女をそっと引き寄せました。💕