ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

名前は、イカボテ・・・

エリの前にくずおれた兵士は、傷ついていた。

どうした。
目の不自由なエリは状況を読み取ろうと
首を伸ばして耳を澄ました。
「息子は、・・」
と言いかけて言葉を呑んだ。

「箱が、箱が奪われました!!
ホフニ様とピネハス様も亡くなられ、
わが軍は負けました。」
「なに、奪われた!神の箱がか!・・・」

エリは見えない目を天に向けた。
引き結んでいた唇が緩み、歯の抜けたそこから奇妙な音がして息を止めた。・・・息子たちもか・・
肘掛を握る手に力が加わり、太く、青い血管が一瞬、張り詰めた皮膚の下にかくれた。そうして、腰を浮かそうとしたとき体のバランスを崩して、椅子が傾いた。
「あ!!」
言葉と同時に腕を伸ばして、サムエルは駆け寄った。
が、
彼の指先は空気の流れを感じただけで、エリは仰向けに倒れていった。
グギッ
不気味な音だった。
首の骨が折れたのだ。
体の動きが鈍り、太りだした彼の体重が、
己の首を圧したのだった。

ちょうどその頃、ピネハスの妻は臨月に入っていた。
彼女の耳元に、手伝いの女たちの上ずったひそひそ声が入ってきた。
夫と舅が死に・・・神の箱が奪われたと・・・。
その言葉で、彼女の腰は突然、
ギリギリと、引き裂かれるような痛みを伴って開き、
男の子を産み落とした。産後の疲れと心労とで、
心臓は耐え切れず、薄れ行く意識の中で彼女は言った。
「名前は、イカボテ・・・」
その意味は(栄光はイスラエルを去った)でしたから
心配そうに、彼女のベットを囲んでいた女たちは、思わず顔を見合わせて、唇を引き結び、うつむきながら、首を振った。
こうして、エリがイスラエルを裁いた40年間は、あっけなく幕を閉じたのでした。                       
 
それにしても・・
気になるのは、「神の箱」。
一体どうなったのでしょうね。
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