読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

出陣だ!サウルの命令だ!

サムエル記

ゴクリ、ゴクリ、
目の前の男の喉が動いた。
震える手で注ぎ込んだ水がこぼれて
彼の胸元を濡らした。
サウルはジッと、そんな男の口元を見つめていた。

男は無造作に器を投げ捨てると
サウルに言った。

    「助けてください。
     アンモン人ナハシに取り囲まれました。
     彼はイスラエルを侮辱するため
     我々ヤベシの住民の右目をえぐるとゆうのです。
     彼の許可を得て
     イスラエル全部族の所に助けを求めましたが
     色よい返事をもらえませんでした。
     七日間の猶予期間も迫っています」

サウルは男の話を聞き、動揺する周囲の人々を見たとき
神様の霊が注がれました。
突然体が、ぶるぶると震え、見開いた眼は血走り
握り締めた指の先が手のひらに食い込むほどで
めりめりと音立てて、筋肉が膨れ上がりました。
彼の手は、そばにいた一くびき(二頭)の牛を切り裂き
それを持たせて使者とし、イスラエル全領土に送りつけました。

「出陣だ!!
     これはサウルの命令だ!
     二の足を踏む者は、この牛のようにするぞ!!」

それを聞いた人たちはビックリ仰天、取るものもとりあえず集まってきました。
      (「民は主を恐れ、ひとりのように出てきた」と聖書にはあります。
       人々の恐れ慄くさまがよくわかりますね)

ベゼクに集まった人は33万にでした。

    「あす、日の暑くなるころ、あなた方は自由になる」

ヤベシの使者は走りました。
サウルの言葉を長老に告げると
彼はあたりを見回して彼にささやいた。

    「これは秘密だ。誰にもゆうな
     私はこれからナハシのところに行って来る」


    「ナハシ様、あなたの仰るとおりでした。
     やはり仲間は動きません。
     あなたの要求は受け入れがたいが、しかたありません。
     明日が約束の7日目です。我々は明日、降参します。
     あなたの好きなようにしてください」

うなだれて告げる長老の言葉に
ナハシはそれ見たことかとばかりに高笑いです。
彼は、しばらくイスラエルをののしり嘲笑して、
それから機嫌よく彼を帰しました。

次の日の未明
サウルは部隊を三つに分けてナハシを攻めました。
寝耳に水の彼の部隊は、あっとゆうまに隊が乱れ、
指揮不能となって総崩れです。

勝ち戦は気持ちの良いもので、
高揚した心そのままに誰かがサウルに言いました。

   「以前あなたに向かって、
    『王の務めが出来るのか?』と騒いだ愚か者を始末をしましょう」
    「いや、今日は神様が勝利をくだされたのだ。
     仲間を殺すのはよくない」

その言葉を聞いてサムエルは言った。

   「さあ、ギルガルへ行こう。
    そこで神様に感謝の礼拝をささげ、あらためて、
    サウル王様のお祝いをしよう」


今、厳粛な儀式が執り行われています。
厳かな雰囲気の中で、「サウル王就任」が宣言されました。
ここで、めでたし、めでたし、ですが・・

司式を執り行ったサムエルの顔は厳しいままです。

もともとサムエルは王制には反対でした。
でも、民が求め、神様の許可も下りたのですから何も言えません・・

何も言えませんが、「念」を押さずにはいられない事って
あるんですね。

「念」って・・あれです・・

イスラエルは今、王制になったけれども
その上に、全能の神様が居られることを忘れるなってことです。

年寄りはくどいです。長い人生、何度も何度も辛苦をなめて来ましたからね。
その失敗を繰り返してほしくないし、己の命が短いと思うから
やっぱり、繰り返してしまうのですね。

サムエルもくどかった。(もうこれで何回目ですかねぇ・・)
ひよこみたいに心の中で思っている人いたと思うのね。

あ!あなたも思いました?
サムエルはそういう人たちがいることも承知の上で、
やっぱりを押さずにはいられなかったのです。

たとえ偉大な王がいようと、善良な民がいようと、
神様の声を聴き、それに従わなければ
それ相応の報いを受けるから、肝に銘じておけってわけです。

この言葉が本当だって証拠に、
雨の降らない小麦収穫のこの時季に
今、雨を降らせてみせよう。ってサムエルは言っちゃいました。

ちょっとぉ・・・言葉の弾みってのですか?と思っていたら
見て!見て!
からりと晴れ渡った空に、雲が・・

あれ?

みんなの心にポツンと不安の雲が湧くのと同時でした。
にわかに空がかけ曇り、雷鳴が轟き、風が吹き出し
冷たい雨を運んできて、人々を包みましたからさあ大変、

民の顔は真っ青になり、体は恐怖に震え上がり、
サムエルに懇願しました。

    
    「ああ、私たちは色々な罪を重ねてきました。
     その上に王を求めて罪を重ねました。
     どうか、この雨を鎮めてください。
     神様にお祈りしてください。」

サムエルは民が恐怖に慄いてひざまずく様を見て言いました。

     
     「分かればいいのだ。忘れるな。
      神様のお顔はいつもお前たちに向けられている。
      神様はただお一人だ。右にも左にもそれるな。
      私もお前たちのための祈りをやめることはしないし、
      命ある限り、
      神様のお言葉を取り次ごう」

きらりとサムエルの指先が光りました。そして、
雲間から顔をのぞかせた太陽の光が
一瞬にして清められた景色を浮き上がらせて
優しく彼らを包んでゆきました。