ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

尽きない粉と油

申し訳ございませんが、
あなた様に差し上げるパンはありません。

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彼女はゆっくりと振り向き、少しうつむき加減に身をかがめながら言った。
埃まみれの旅人はそれでも穏やかに彼女を見つめていた。
その男は、ザレパテ村の門の入り口で彼女を呼び止めて言ったのだ。

長らく旅を続けてきて、喉が乾いて困っています。水を一杯いただけませんか?

「水」
それは今、貴重なものだった。
雨が降らないのだ。
しかしここは豊かな水源が背後にあって、湧き出る水は枯れなかった。
旅人をもてなすことは、幼い時から言われていたことだし、彼女は気軽にそれに応じた。
ところが彼女が水を取りに行こうと
旅人に背を向けた時、その人の言葉が追ってきた。

ついでにパンもお願いします。

その言葉に彼女は戸惑った。
見ず知らずの女に、水だけならまだしも、
日照り続きで食料の不足の今、
パンもだなんて。

彼女は断りの言葉を言ってから、
恥ずかしさがこみ上げてきて、慌てて言葉を継ぎ足さなければと、心が乱れた。

身を堅くして、拾い集めてきた枯れ木の束を抱きしめた時、彼女の唇はフルフルと動き出そうとした。
思わず両手で口元を押さえようとすると、
抱きしめていた枯れ木が彼女の足元に広がって、乾いた音を立てた。
涙がこぼれた。

夫さえ生きていてくれたら、
こんな惨めな言葉を、
旅人に吐くこともなかっただろうに・

彼女はゆっくりと膝をかがめ、
涙の粒を拾い集めるように、
散らばった枯れ木に手を伸ばしながら、
かすれた声で言った。

家にはもう一切れのパンもありません。
一握りの粉と、油が少しありましたので、
最後のパンを焼いて、それを息子に食べさせたら、後は死ぬのを待つだけなのです。
それで、あなた様には・・・・

彼女は声を詰まらせた。

旅人は少し離れたところに転がった枯れ木を拾うと
彼女に近づきながら言った。

イスラエルの神様が言われます。
再び雨が降り収穫があるまでは
あなたの家のかめから粉も油もなくなることはありません。
さあ、パンを焼いてください。
そうして、私に最初に食べさせてください。

彼女は驚き、あきれた眼差しで、枯れ木を差し出した男を見上げた。
今、一口のパンを食べても、明日の分は無いのだ。ならば、この無遠慮な旅人に良いことをしてから死のう。
彼女は差し出された枯れ木をしっかりと受け取った。

すると、ふわりと体が軽くなって、
家にもどる彼女の足にためらいは無かった。

その女の後姿を見つめていた旅人とは
あのケリテ川のほとりで、カラスに養われていたエリヤでした。
なんとまぁ、神様は、
シドンのザレパテの未亡人にエリヤを預けたのです。

彼女は息子に、近くの泉に水を汲みに行かせ、一握りの粉を丁寧にこねてパンを焼きました。
香ばしい香りがあたりに漂い、可愛らしい焼きたてのパンと飲み水が、粗末なテーブルに乗せられました。
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エリヤはうやうやしくそれを捧げ
神様に感謝し、
親子を祝福して、
よく噛みしめて飲み込みました。

その一部始終を、母親の後ろから
じっと見つめる小さな目がありました。
エリヤは最後の水を飲み干すと言いました。

さあ、
今度はあなた方のためにパンを焼きなさい。

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母親は困ったような顔をして
荒れた自分の手を見つめました。
エリヤはその姿に優しい眼差しを注ぎながら、母親の後ろに隠れている男の子に言いました。

坊や、かめの中を覗いてごらん。

男の子の瞳がパッと輝き、
母親の背から離ると、
台所に置かれた粉入れのかめのところまで駆けてゆきました。

まだある、まだあるよ、お母さん! 
粉が残っているよ。

息子の声に顔を上げた母親は、
まじまじとエリヤの顔を見て、
慌てて立ち上がり、
油入れのびんを覗きました。

さっき、一滴も残さず使い切ったはず。

彼女は息子の傍に近寄りました。
それだってさっき、底を叩いてかき出して、逆さにして振って粉を出し切って、パンにしたはず。

 まぁぁ、、、、、。

彼女は驚きと喜びの混ざった声をあげ、そばにいる息子の肩を抱き寄せました。

☆○o*:;;;:*o○☆○o*:;;;:*o○☆○o*:;;;:*o○☆

ああ、良かった。
こんなかめがあったらいいなあ。
ドラえもん」だったら、直ぐに出してくれるかしら?
あれは漫画で、こちらは神様がなさったこと。
凄い、凄すぎるよ。

主婦としてはノドから手が出るほど、ほしい品物だ!
まだ先のお話だけど、イザヤと言う人も、
    

『渇いている人がいたら、金が全然無くても、自由に飲みに来るがよい。最上のぶどう酒とミルクを持って行け。全部ただだ。』
  
イザヤ:55章

「持ってけ泥棒!」
な〜んて、激安店の魚屋のお兄ちゃんのようなことは言いませんでしたが、
なんて太っ腹なんでしょうねぇ。
             
新約の主人公は、
『だれでもかわく者は、わたしのところにきて飲むがよい。わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その腹から生ける水が川となって流れるであろう』
 
ヨハネ:7章
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ほほほ、大胆なことを・・・。
              
ははは、噴水じゃぁ。。。
もしかして、噴水考えついた人って、この言葉からひらめいたりなんかして。。。

それにしても、「ただ」って言葉には、
スッゴック、惹かれるものがあるわぁ〜。
話がちょっと変わるけど、
イスラエルのアハブ王様の奥様はシドン人の王、エテバアルの娘イゼベル様。
「様」なんて、つけるな! 
なんて声が聞こえなくも無いけど、いちおうはね。

三年後、そのイゼベル様と雨乞い対決をすることになるエリヤ。
その前に彼女の育った地域で彼は命をつなぐのですね。
そこは異教の地でありながら、それに染まらず、日々神様との深い交わりの中で、対決に備えて、彼は、祈りの修練を怠りません。