ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

ヨルダン川に行け!

ゲハジはその日、そわそわして、気が落ち着かなかった。
スリヤ王の覚えめでたいナアマン将軍がやってくるからだ。

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彼はスリヤの王が書いた、とんでもない難問を携えて、イスラエルのヨラム王のもとにやって来た。
現在も緊張関係にある国からの訪問者は、幾たびもイスラエルに多大な被害を与え、ヨラム王を手こずらせている将軍だ。敵ながら天晴れな名将軍だ。
緊迫した王宮の広間に、彼は臆することなく進み出て、最高の礼を尽くし、携えてきた手紙を厳かに差し出した。

ヨラム王はその文面を読んで一瞬戸惑い、それから席を立って別部屋に行くと、顔を真っ赤にしてびりびりと衣を引き裂いた。
文面は酷く丁寧に書かれていたが、その内容が奇怪だった。

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これは彼らの策略に違いない。
王は重臣たちを緊急に召集し、
頭を抱えて思案に暮れた。

このことは、すぐさまエリシャのもとにも伝わりました。

いったいその文面とは?
ひよこがはてな?と思っていると、
早いですね、エリシャのもとから使者が来て言いました。

あなたはどうして衣を裂かれたのですか?彼を私のもとに来させなさい。この国に真の神様がいる事を教えてあげましょう。

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この言葉に、王や家来たちはほっとした。
普段、エリシャの言葉には、あまり見向きもしない彼らなのに、その申し出に、手を叩いて喜んだ。
そして自らの慌てぶりを笑いで誤魔化しました。

はて?その内容とは?
ゲハジも気になった。
ひよこだって・・
その内容がこれだ!!

ナアマン将軍は上背もあり、その地位に相応しい風格と、威厳を備えていました。大きな声では言えませんが、敵国の将軍といえども、魅力的な方のようです。
そのお方が召しておられるお召し物が、これまた素晴らしい!!
威風堂々とした身のこなし、敵味方関係なく注目の的!だったとしても、なっとく!!

それに、若くておきれいでお優しい奥様がおられ、召使たちにも気さくに声をかけてくださるとか。

完璧!
うらやまし〜〜い!
すてき〜い!

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でもね、完璧ではありませんでした。
それを知ってしまったのは、捕虜としてスリヤに連れて行かれた、女の子。
奴隷として将軍の奥様に仕えさせられていましたが、愚痴一つこぼさず、裏表なく女主人に仕えていましたから、いつしか、奴隷以上の信頼関係が生まれたようです。

ある時、奥様が将軍のお体を慮って、涙ぐまれました。
その時、望郷の思いとともに、預言者のことが、少女の心に浮かびました。
あのお方なら、きっとご主人様の悩みを解決できるはず。彼女は躊躇することなく女主人に告げました。女主人は夫ナアマンに告げ、ナアマン将軍は、王様に話しました。

王様は少し驚き、それから、含みのある笑みを浮かべながら言いました。

それは朗報!
早速手紙を書こう。

しかし腹の底では、

奴隷女の言うことを真に受けるなんて、どうかしているぞ、ナアマン。
しかし、ヨラムを揺するチャンスだな!どんな返事が返ってくるか。

王はヨラム王宛ての手紙を書きながら、ひそかに部隊を召集することにしました。

そんなことを知ってか知らずか、ナアマン将軍は藁をも掴む思いで、腹心の部下を伴い、敵国へと足を踏み入れたのでした。
彼の小さな行列には、銀10タラントと、金6千シケル。それに晴れ着10着を運ぶ荷駄が続きます。

ほら!見えてきました!ピョ!
ゲハジも、思わず声を上げ、
エリシャに告げるために駆け出しました。

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ナアマン将軍は使いの者に王の手紙を持たせ、自らの挨拶の言葉を使者に託して、行かせようとした時、ゲハジが迎いにやって来て言いました。
 
エリシャ様のお言葉です。
あなたはヨルダン川で七回、体を浸けなさい。そうすれば直ちにあなたの皮膚病はなおります。

ナアマン将軍は唖然としてその言葉を聞き、慌てて言いました。
 
これからご挨拶にお伺いしようと思っておりました。
エリシャ様にはお会いできないのでしょうか?それに、ただヨルダン川に身を浸せとおっしゃられたのですか?

そうです。
    
申し訳なさそうにゲハジは言って、取り繕うように続けた。

すぐに行って、長年のお悩みを洗い流されるといいですよ。

居心地の悪いその場を慌てて離れるゲハジの耳に、ナアマン将軍のイラついた声が届きましたが、彼は無視した。

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将軍、待ってください。
あなた様が怒られるのは最もです。私たちも、預言者が現れて、そのお体に手を置き、彼の信じる神に祈って、癒してくれるものだとばかり思っていました。あなた様の苦しみが、そんなことで直るはずがありません。
子供だましです。
ですが、このまま帰ってしまっていいものでしょうか?
    
子供だまし!そうだ!
スリヤの軍長ナアマンが頭を下げて頼みに来たのにだ。それに、どうしてヨルダンなのだ!
あの川は土色に濁っていたぞ!
ダマスコのアバナとパルパル川のほうが綺麗ではないか!
100歩ゆずって、どうせ川に入るとしたら、ダマスコの川のほうがましだ。
帰るぞ!!

そうです、確かに。
あの預言者が姿も見せず、言葉だけ伝えたことも腹だたしい・・
で、ですが将軍。
一ヶ月間、断食をしなさいとか、
難行苦行を強いられたとしても、
苦も無く従うつもりで、
ここまで来られたのではありませんか?
馬鹿にされたと思われるでしょうが、
試してからでも遅くはありません。
その言葉が偽りだったら、
仕返しは倍返し! いえ20倍返し!
王様もこの結果しだいでは、わしにも考えがあると言っておられましたから。

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そうか!それもそうだな。
私も自分の体のことになるとつい頭に血が上る。試してみよう。ついかっとなってしまって、許してくれ。

ナアマン将軍は気を取り直してヨルダン川へと向いました。

果たして将軍の病は癒されるのか?
その病にかかると、隔離され、淋しく死を待つしかなかったのです。立派な軍服の下に、そんな業病を背負い隠していたなんて、さぞつらかったことでしょうね。

実はひよこ、エリシャさんの言葉に半信半疑。ただ彼らの後姿を不安な気持ちで見送るしかありません。

エリシャさんに間違いはありません。
その語る言葉は神様からのお言葉ですよ!

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誰かが後ろで言いました。。
みんな、気になっているのですね。