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ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

あなたは王になる!!


なんと、エリシャさんはサマリヤからダマスコヘ。
これには神様のご計画があったみたい。

彼がダマスコに着くと、すぐにスリヤの王様の耳にも入った。。
といっても彼は今、病床にあって、身動きが取れません。
死者をも生き返らせるという神の人の到来に、
将来に不安をいだいていた王の心は飛びつきました。

わしの明日はあるのか?

心の中で自問し続けていたことを確かめようと、
王は忠実な家来、ハザエルを、
エリシャのもとへとつかわすことにしました。

ハザエルは40頭ものらくだに、溢れるほどの贈り物を乗せて、
エリシャのもとを訪れたので、
町の人たちは大騒ぎです。
そんな騒ぎを横目に、
ハザエルはエリシャの泊まっている家の戸を叩きました。

彼は道すがら、王様の喜ばれる言葉をいただけるようにと
祈り続けていたのです。

ハザエルは慎み深くぬかずいて言いました。

神の人よ、
あなたの子、スリヤの王ベネハダデが
「私の病は治るのかどうか」お伺いを立ててほしい、と申しております。

必ず直るとお伝えください。
エリシャがこともなげに言ったので、ハザエルは喜びつつも、拍子抜けして、
ほかに言葉はないものかと、エリシャを見つめた。

すると、エリシャの目がきらりと光って、
彼の瞳を吸い寄せるように捕らえると、
そこから離れようとしなかった。
ハザエルは戸惑って、視線をはずそうともがいた。が、
不思議なことに彼がもがけばもがくほど、
その眼差しは彼の心の奥深くへと注がれて、
ハザエルは気まずさを覚えて赤面した。

突然、エリシャの瞳がゆらりと揺れた。
その揺らぎが膨らんで、
頬に刻まれた深いしわの中に、
ゆるゆると吸い込まれてゆくのを見たハザエルは
呪縛から解かれた心地で、
体のこわばりが緩んだ。

神の人よ、どうなされたのですか?

エリシャは椅子からふらりと立ち上がって、
操り人形のようにぎこちなく部屋の中をあるきまわり、
またガタリと椅子に身をゆだねた。
彼は両手を前に突き出すようにしていった。

見えるのだよ。
あなたがイスラエルの民にしようとしていることが・・
ああ、、、
我らの城に火を放ち、
若者も幼子も、妊婦さえも剣の犠牲にするさまが・・・

ええ!なんとゆうことを・・・
私は虫をも殺せない男ですよ。
ただ、王様にお仕えする犬のような者です。
ハザエルは目をむき出して言ったが、
それを打ち消すように、エリシャの言葉が重なって、
ハザエルの心臓を射抜いたのがこの言葉!!

あなたはスリヤの王となります。

ギョギョギョ!!  ジェジェジェ!! あっひゃ!!

驚いたのはひよこです。
ハザエルさんだって、そうでしょう。
言葉が出てこなかった。

エリシャが別室に去ってしまうまで、
彼は動かなかった。いや、動けなかった。

40頭のらくだを引いて王のもとへと戻る道すがらも
言葉を忘れた者のように、引き結んだ唇は動かなかった。

エリシャに覗かれた心、
それが、むき出しにされて、
今、彼の面前で揺れていた。
ああそうだ、
私は王の犬だ。
自分の意思を持つこともなく、
王の言うがまま動いていた。
自分でも気づかずに、いや、気づかないふりを装って、
尻尾を振っては擦り寄って、ご機嫌をとっていた。
私は犬だ!!
王の犬だ!!
それでいいではないか!!
彼の心は爆発しそうだった。

わぁはははぁ!!
はぁはぁはぁ!!

閉じた唇を突き破るようにして、突然、
笑い出した。
涙が飛んだ。

らくだを引く従者やら何やらが、驚いたように彼を見つめたが、
ハザエルの目には何も映らなかった。
彼らは、エリシャからの答えが、希望のあるものだったために
ハザエルが喜んでいるように映った。

実際ハザエルは喜んでいた。
よかった! 王様の病は癒される。命に別状は無い。
彼は、気を取り直すと、急ぐようにと周りの者に命じた。

ベネハダデ王はせわしなげに歩く特徴のある足音を
ベットの上で聞いて目を開けた。
するとちょうど、
部屋の入り口で深々と頭を下げるハザエルを見た。
ハザエルは身をかがめて王のそばに近づいた。

王様の病は必ず治ります。
神の人はハッキリと私にいいました。

ベネハダデはそれを聞くと、安心したのか、
ふたたび目を閉じると、そのまま、
かすかな寝息を立てはじめた。

闇が深まった。
星も月も雲に覆われ、
草木も眠りについたかのように静まり返っている。
しかしここに、眠れない男がいた。
どくどくと心臓が動く。その音がうるさい。
眉間に膨らんだ静脈。濁った血が運ばれてゆく。
細胞がぱちぱちとはじけている。

あなたはスリヤの王となるでしょう。
神の人の言葉が耳から入って、
彼の心臓をばくばくと動かしている。

あなたはスリヤの王となる。
清められた真っ赤な血潮が造られて行く。

私はスリヤの王となるのか?
どぐどぐと激しさを増して動く心臓に、
突き動かされるようにして送り出される鮮血。

王だ! 王だ!
新しい細胞が叫んでいる。
瞼の奥が真っ赤に燃えている。

私が王だ!
そうだ、私だ!

一睡も出来ないまま、ハザエルは立ち上がった。

脱ぎ捨てた夜衣が床にずり落ちた。
それを目の端に止めたとき、
彼の心臓は激しく痛んだ。
突き上げてくる痛みを足元に集めて、
ギリギリと夜衣を踏みつけて、
彼は部屋を後にした。

彼の手には、濡れた布があった。
それは今しがた、ベネハダデ王の鼻と口を塞いだもので、
その手の中でぶるぶると震えていた。

王の寝室のカーテンの隙間から朝日がさしこんだ。
光は、浮遊物を浮き上がらせ、
その布を手にしている者に注がれた。

新しい王が誕生したのだ。