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ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

神殿は守られたけど・・

ああ、なんとご立派になられたことだろう。

祭司エホヤダの目頭が突然熱くなった。
おや、おや、私たちは彼から怠慢を指摘され、
今怒られているところだったな。
小さな可笑しみが彼の口の端にのぼろうとしたのを、
エホヤダはくっと奥歯を噛んでこらえた。

涙がこぼれた。

妻エホシバがアタリヤの魔の手から救い出した幼子。
パッチリと開かれた目が、父君にそっくりだった。

あの時から、片時も目を離さず、神殿の中で守り育ててきた。
6年が経ち、7年目のあの日。
祈りに祈って、計画したことを実行に移した。
賭けだった。
6年が過ぎてもアタリヤの目は厳しく、
彼女にとって不利な人間には、容赦しなかった。
そんな中での、エホヤダがとった行動はとっぴなものだった。
アタリヤの側近と、宮殿の護衛兵とその大将を秘密裏に呼んだのだ。

彼らはいぶかしげに神殿に集まってきた。
普段見慣れない神殿の奥の一室に招き入れられると、
祭司エホヤダが待っていた。

皆さん、よく集まってくれました。
今からお話することは、この国の未来にかかわることです。
話を進める前に、約束をしてもらいたい。
今日見たこと、聞いたことは、絶対に秘密です。
特に、アタリヤ様の耳には入れてはなりません。
お約束できますか?

さて、その話とは?
何も聞かないうちに秘密を守れといわれても・・
集まった人たちは戸惑いながら周りの人の顔を見て
そうだそうだと、同意を求めた。

確かにそのとおり。
ところで皆様は代々、
ダビデ王家にお仕えする者たちではありませんでしたか?
私はそのことについて今日、皆様にお話があるのです。

ちょっと待ってくれ。
その話は・・・・。
それこそ、アタリヤ様のお耳にふれてはならないことだ。
もはやその尊いお血筋は絶たれた。
今や、その言葉にふれるだけでも牢屋行きだ。

部屋の中に苦々しい緊張が走り、
怖れがみんなの口を塞いだ。

神様のお約束を知っていますか?
その昔、神様はダビデ様にお約束なさいました。
その血筋は絶えることが無く、
星々のごとく広がって輝くと。
皆様はそれを信じますか?

会衆がざわついた。
そして、小波のように広がって返ってきた言葉がこれだった。

祭司様、
我々は神様とあなたの前で約束します。
秘密を守ります。
どうかお話ください。

エホヤダが満足そうにうなずいて部屋から退いた。
そして彼が再び部屋の入り口に立つのに、
さして時間はかからなかった。
彼は幼子を連れてきた。
その子を目にした会衆は息を飲んだ。
亡きアハジヤ王に生き写しだった。

お分かりか。
神様のお約束は生きておられる。

こうして、アタリヤの目をかすめて、
兵士は三つのグループに別れた。
一組は宮殿を、残りの二組は神殿と幼い王子を守ることになった。
そのとき彼らが身につけた武具は、
その昔ダビデが神殿に納めた物だった。


アタリヤはこのところ、
エホシバの行動が気になってならなかった。

何か隠している。
彼女はそう察して、エホシバの行動を監視させた。
程なくしてその監視役が駆け込んできて言うには、
神殿に沢山の人が集まっているというものでした。

何だろう?
今日は祭りでもないのに。

急に胸騒ぎを覚えた彼女は、二、三の付き人を引き連れると、
すぐそばの神殿に向った。

アタリヤの突然の来訪に、
神殿内の人々は慌てふためいて、阻止したが、
その手を振り切って、ずんずんと奥へと急いだ。

ラッパが鳴った。
ばんざい! ばんざ〜い!!
建物を揺るがすような声がした。

その部屋の入り口で、アタリヤの足が止まった。
あの子供!!
息子アハジヤの幼い姿と重なった。

それからの事は、定かではなかった。

反逆だ!!

そう叫んで、衣をびりびりと裂いたが、
途中でその手が押さえられ、

その女を神殿から連れ出せ!!

と誰かが叫んでいたようだった。
 
その女とは何事かぁ!!

一瞬怒りがこみ上げて、言葉が口の端に駆け上ってきたが、
荒々しく体の自由を奪われて、
その言葉も消えてしまった。

ここはどこ?

薄れ逝く意識の中で彼女は
藁の匂いの中に馬の声を聞いたような気がした。


エホヤダ様!
隣に立っていた祭司の一人が、
彼の袖を引っ張った。

あ!!
エホヤダは我に返って、目を上げた。
あの子が、いや、ヨアシ王様が怒っている。
もはや、私が教えるべきことは無くなった。
立派な跡継ぎも与えられた。
ダビデ王家も安泰だ。
神殿の補修のことにまで気を回されるとは。
エホヤダはまた、目を潤ませた。


幼い王子様に油を注いだあの日、
私は彼と民とに誓わせたのだ。

民は、王の民として忠誠を尽くすように。
そして、
王とその民とは、真の神様に仕える民となることを。

神殿の補修については、即位してすぐに言われた言葉だった。
あの頃、いろいろとやるべき事が山済みで、後手後手に回ってしまって、
なんと、即位後23年も経ってしまったのか。

ヨアシはエホヤダがそんなことに思いを巡らしているとは知らず、
修理費の捻出の方法を伝えると、
部屋を出た。

目の端に、真っ白な髪の毛のエホヤダがうつった。
随分と歳をとったな。
でも歳の割には元気そうだ。長生きをしてくれよ。

ヨアシは心の中で呟いた。

お二人とも親子のように互いをおもんばかっておられて、
ひよこもちょっと、うるうる。。。

そんなこんなで立派な献金箱も設置され、
神殿修理のための積み立てが始まりました。
一杯になると、王様の財務官と大祭司が勘定して、
工事の責任者に渡され、材料や、人件費に使われました。

工事の責任者は正直な人だったので、
水増し請求、その他一切、不正が無かったので、
会計報告書を求める必要がなかったとか。

凄いことですね。
今の世の中では、考えられませんね。
たとへ正直者で信頼できる人であっても、
その人と、みんなのために、
会計はきちんとしなければね。

ところで、エリシャが涙を流しながら預言をしたあの人。
ハザエルは、スリヤの王様におさまって、
エリシャの涙のようにやってのけました。
物凄い勢いでイスラエルに襲い掛かってゆきました。

エヒウの粛清によって国力が衰えていたイスラエル
反撃を加える間もなく、その全土を荒らされてしまいました。

その快進撃の勢いやまず、西側の海岸沿いに南下して、
ユダ王国のガテにまで攻め寄せてきたのでした。
そして、エルサレムにも押し寄せてこようとしたとき、
ヨアシ王は決断したのでした。

エルサレムを、神殿を守るのだ!!

彼はそうして、戦うことなく、歴代の王、ヨシャパテ、ヨラム、アハジヤと
自分が聖別して捧げた、金銀宝石すべてを
スリヤの王ハザエルに贈ったのでした。

神殿はぴかぴかになったものの、
中味はごっそり持っていかれました。
がっくりしたのでしょうか、
祭司エホヤダはひっそりと息を引き取りました。

淋しいですね。
さびしい。。。
そう、
ヨアシ王の悲しみは深かった。。。。