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ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

あまりの悲惨さに、言葉もなく、ただよりそって・・

   はて?

エリパズは首をかしげた。
遅いのだ。
もうとっくにヨブからの招待状が届いてもいいころだった。
毎年気の合った仲間が集まって、
互いに情報を交換したり、
意見交換をしながら親交を暖めていた。

   どうしたのだ?

そんなエリパズの元に、ビルダデの使いが来て言った。

 

   ヨブが大変な目にあっているらしい、
   一緒に様子を見に行かないか?

   大変な目に?
   どうゆうことだ?!

   主人もよくわからないそうですが、
   噂では、
   災害にみまわれたそうです。

   よし、一緒に行こうと伝えてくれ。
   ゾパルも誘ってみよう。

 

こうして、テマン人 エリパズと、

     シュヒ人 ビルダデ、

     ナアマ人 ゾパルは、
示し合わせて、ヨブの住むウズの地に来たのだった。

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    おい、この辺はヨブの牧場じゃあなかったかな?
    みろ、羊一匹いやしないよ。
    それにこの荒れようはなんだ?

彼らが立ち止まって話していると、
背中に荷を背負った男が話しかけてきた。

   ヨブさんの知り合いかね?
 

   ああ、今から彼を訪ねようとはるばる来たのだが、
   一体何があったのだ?
   もしよければ聞かせてくれないか?

 

男の目がキラリと光った。
誰かに話をしたくてたまらなかった、そんなふうに見えた。

   突然、シバ人が襲ってきたんですよ。
   牛もロバも奪って、
   阻止しようとした使用人は皆殺しですよ。
   牛5百くびき、雌ロバ5百頭ですよ。
   それに、この焼け野原。
   天から火が降って来たそうですよ
   羊七千頭と世話をしていた僕たちも 
   それに巻き込まれて全滅です。
   カルデヤ人も襲ってきて、
   ラクダ三千頭を奪い、使用人を殺して逃げたとか。
   これだけでも大変だってゆうのに、
   ご長男の家でお祝い事があって兄弟全員が集まっていたら、
   突然強風がその家を揺さぶったからたまらない。
   お子さんは壊れた家の下敷きだ。
   みんな亡くなったので誰一人助けるものがなくって、

   かわいそうに、男七人、女三人の兄弟全員が、

   一つ屋根の下で亡くなった。
   恐ろしいことです。

   不思議なのは、ヨブさんの土地だけが被害を受けたことだ?

  

   それで、ヨブは大丈夫なのか?

 

ビルダデは呻きながら言った。

 
   それですよ。

   ヨブさんは自分の家にいたのでなんとも無かったんですがね、
   度重なる心労からか、全身に腫れ物が出来ましてね・・
   まあ、行ってみたらわかりますよ。
   あんなんじゃあ死んだ方がましかもしれませんよ。
   ヨブさんはこの地方きっての資産家で、人徳もあり、
   信仰心も並じゃあなかった。
   それなのにねぇ・・

   まったく、神も仏もあったものじゃあない。
   くわばらくわばら・・・

 

男はぶつぶつ言いながら、三人から離れて行った。
エリパズをはじめ三人は、腑に落ちない様子で、互いに見詰め合った。
不安が募ってきたのを打ち破るようにビルダデが言った。

   とにかく急ぎましょう。
   ヨブさんに会って見ないことには、

   なんともいえませんからねぇ。

 

目当ての家は目の前にある。

家全体を重い空気が取り囲み、彼らの足はさらに重くなった。
玄関に出てきたヨブの妻の髪は真っ白になっていて、ばさついていた。
彼女は感情の失せた眼差しで彼らを迎え、
「主人は牧場の跡地で灰をかぶっています」と言い残して、
ふらふらと部屋の中に消えた。

三人は幽霊でも見たかのようにして立ちすくんでいると、
使用人の一人が、案内に立ってくれた。
使用人が「あそこです」と指差すと、
顔をゆがめながら、
そそくさと立ち去った。

ちょっとしたくぼ地の底に、

黒い人影が一つ、ぽつんとあった。

三人は懐かしさに思わず駆け寄って、挨拶を交わそうと、
彼の名を呼びながら近づいたが、
いくらも行かないうちに足がもつれて歩みを止めた。

黒い影は撒き散らされた灰の中にあった。
目を凝らしても、ヨブのようには思われなかったが、
三人の声に反応して振り向いたそれは、
紛れも無くヨブだった。
いや、ヨブだったかもしれない。
いや、ヨブだ。
使用人が案内してくれたのだから。。。

 

引き裂かれた衣が物言わぬ従者のように散らばっていた。
むき出しの肌は赤くただれ、いく筋もの鋭い傷が走っていた。
あまりの痛がゆさに、陶器の破片で、かきむしっていたのだ。

またヨブの手が激しく動いて、腫れ上がった皮膚をかきむしった。
粘りのありそうな、血とも膿ともわからないものが
皮膚にこびりつくようにして流れていた。
髪とヒゲは伸び放題で、

撒き散らされた灰がべっとりと絡みついて、
固まっているようにも見えた。
突然風向きが変わった。
強烈な悪臭が彼らを包んだので思わず衣で鼻を覆った。
すると黒い影は、

彼らに背を向けてうずくまって動かなくなった。
肩が激しく震えていた。

三人は鼻を押さえたまま、目をむき出して驚いた。

   あれがヨブか?
   その面影はどこにも無かった。
   均整の取れた体だった。
   逞しい力が秘められた筋肉質の体は

   いつもつやつやに輝き
   機敏に反応した。
   好奇心にとんだ瞳はキラキラ輝き、

   向上心の後ろにお茶目さが見え隠れていた。
   それが年を経るごとに、

   包容力と慈悲深い色合いが加味され、
   誰からも信頼され、頼りにされていた。
   神様の祝福が彼を富ませ、大富豪にまでのし上がったが、
   高慢にもならず、怠惰にもならず、品行方正で、
   欠点を探すこともできなかった。

   ヨブの信仰心は皆の知る所であり、
   神様に対して、知らないで犯したかもしれない罪のため、
   毎年、家族一人ひとりのために

   罪の許しのための生贄を
   捧げていた。
   とにかく、非の打ち所の無いのがヨブだった。

   そのヨブが今、一転してここに居る。

 

彼らは言葉を失って、
ビリビリと衣を引き裂き、

灰をかぶって声を上げて泣いた。
気づけば、七日七夜が過ぎていた。
ヨブの苦悩を理解し、共に担おうとその傍を離れなかった。

 

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