エリヤはエリシャの澄み切った目の中に
接ぎ木されてゆく新しい力を見た。👀
エリシャは、
身の内から湧き上がる興奮を抑えるすべを知らなかった。
彼の弟子になりたい!
エリシャにとって、エリヤは英雄の何者でもなかった。
カルメル山のでの偽預言者との対決は、
自分の耳にも届いていて、
ワクワクと心が踊っていた。
その英雄が目の前にいて、
彼のマントが自分の肩にかけられたのだ。
「弟子にしてください」
エリシャの声は上擦った。
エリヤはその声を聞くと、
すたすたと歩きだした。👣
「ま、待ってください。
家族にあなたのことを紹介させてください」
エリシャは何の躊躇もなく、
牛のくびきを燃やし、その肉を煮て、
預言者をもてなし、
家族にも食べさせ、
そして家を離れた。
簡単に書いてあるけど、
彼は長男ではなかったのかな?
昔だから、兄弟はいっぱいいて、
働き手が一人かけても大丈夫だったのか?
突然の旅立ちに両親は戸惑ったのでは?
それとも、預言者に理解のある家族で、
預言者の世界では、
時代の寵児であったエリヤの弟子に成れることは、
賛成こそすれ、反対する者はいなかったのか。
とにかく、
これからの二人の師弟関係からは目が離せません。
と思っていたら、
何ですか?
ぷっつりと消息が途絶えてしましました。Σ(・□・;)
それで、エリヤとエリシャの師弟愛を書く前に、
アハブ王のことを書かなければなりませんが、
「師弟愛」(⋈◍>◡<◍)。✧♡
最近、四角い盤上が縁で結ばれた「師弟愛」が話題に。
こっちも目が離せな~い!☖
あ!見てください。
首都サマリヤがシリヤ軍に完全に包囲されてします。
スリヤの王ベネハダデが率いる、32人の王の連合軍です。
わああ、す、凄い!! 凄い数です!!
アハブ王もその状況をこの目で見て、
ビビってしまいました。
だから、相手の軍から使者が来て、
「宝物も王の妃たちも子供たちも、わが軍のものだ!さしだせ!」
と言われた時、握りこぶしに力を入れすぎて、爪痕がくっきりと手のひらに残ったものの、反抗もせずに受け入れてしまいました。
命あっての物種ですからね。
無抵抗の王の反応に気をよくした王たちは、楽勝とばかりに宴会を始めてしまいました。
そして酔った勢いで新たに使者を出しました。
使者は胸をそらし、もったいぶって言いました。
「ベネハダデ王は言われる。
新しい要求だ。
我々が民の家々を回って、気に入ったものがあれば、それも我々のものだ!」
「なんということだ。
初めの要求でさえ、断腸の思いで受け入れたのだ。
今回の話は、ばかにするにもほどがある。我々にも意地はある」(# ゚Д゚)
その伝言を受け取ったベネハダデ王は、なみなみと注がれた盃を一気に飲み干してから怒鳴りました。
「小癪なことをぬかしおって。
あんなサマリヤの一つや二つ、あっというまにひねり潰せるんだ。
私にそれが出来ないとでも思っているのか?
ワハハ!
わしの思いどうりにならなかったら、神々が、わしをそのようにするだろうよ」
使者は二人の間を、行ったり来たり大忙しです。
こうなったら、アハブ王も黙ってはいられません。
わきの下に冷や汗をかきながらも言い返しました。
「戦はやってみなければわからないさ。我々を見くびるな!」(# ゚Д゚)
これを伝え聞いたベネハダデ王は、額に青筋を浮き上がらせ、盃を投げ捨てて言いました。
「よおし、やってやろうじゃないか。
戦だ!攻撃だ!
戦闘の準備をせよ!」
その頃、
王アハブは覇気のないげっそりとした顔で、玉座に座っていました。
言葉の応酬で大それたことを言ってしまったが、打つ手はありません。力の差は歴然です。
と、部屋の入口が騒がしくなり、部下が飛び込んできて言いました。
「預言者が神託を持って来た、とわめいています」
「誰だ?」
「名前を聞いても言いません」
もう、この際です。
藁にもすがる思いでいましたから、無名の預言者は直ちに王に謁見出来ました。
その男は痩せていて、浅黒い顔を王に向けました。
「イスラエルの神はこう言われる。
232人の助っ人外人部隊を編成し、7000人のイスラエル軍と共に敵に向かうのだ」
「その少人数で勝てるものか」
アハブは苛立ちながら言いました。
「イスラエルの神の力を信じなさい。戦はこちらから仕掛けるのです。先発は、少人数の外人部隊です」
こうして招集された兵士たちが整ったのは、もう太陽が中天にあるころでした。🌞
何の計略もないまま外人部隊が進みましたから、すぐに敵に見つかってしまいました。🔭
「あ、敵兵だ!」👀
すぐにベネハダデに伝えられましたが、見た目、少人数だったため油断していました。
すると、後からイスラエル軍が飛び込んできて、シリヤ軍を蹴散らし、沢山の分捕り物を確保しました。
でも、
ベネハダデ王は部下に守られて逃げのびました。
この戦での、イスラエル軍の損失はありませんでしたから、みんなお祭り騒ぎでしたが、かの預言者は顔を引き締めて言いました。
「彼は態勢を整えて、来年また攻めて来る。気を抜いてはなりません」
その通りでした。
ベネハダデ王の側近は王に言いました。
「今回は大敗しましたが、次回は倍返しです。
イスラエルの神は山の神でした。次回は平地で彼らを負かします。
連合軍の王でなく、指揮権を我々将軍にお委ねください。必ず勝利してみせます」🏁
一年なんてアッというまですね。
ベネハダデ王は優秀な軍隊を引き連れてアペクで
イスラエル軍とにらみ合いとなりましたが、またもやその勢力の違いは歴然です。
そんな時、またもやかの無名の預言者が言いました。
「イスラエルの神には山も谷も平地も関係ない!
目の前の大軍を恐れるな。主がお前たちに彼らを渡された!
恐れるな!
万軍の神が彼らと戦われるのだ!」
この言葉にイスラエル軍の気力はいやが上にも高まり、7日間も、にらみ合った末に、合戦の火ぶたが切られました。
イスラエル軍は、一日で歩兵10万人を倒し、逃れた2万7千人はマペクの城壁の陰に身を潜めました。
すると突然、
城壁が何の前触れもなく崩れて、全滅です。
ベネハダデ王は側近に守られて、町の一軒家に身を潜め、一息ついたとき、側近が言いました。
「アハブ王は哀れみ深い王だと聞いています。
命乞いに行かせてください。」
彼らがみすぼらしい格好でアハブ王の前に行き、王の命乞いをすると、大勝利に気をよくしたアハブ王は言いました。
「彼は生きていたのか。
彼は私の兄弟だ。
連れてきなさい」
こうしてベネハダデ王の首は繋がりました。
そのうえ、王の車にも乗せてあげたので、大感激したベネハダデは言いました。
「私の父が奪った町々をお返しします。
それと、
私の父がサマリヤに市場を作ったように、ダマスコに市場を開いてください」
アハブは上機嫌で彼と条約を交わしました。
よかった~ぁ。。。
やや?!
何やってんでしょうね?
「なんてことを言うんだ!
お前を殴れだって?!
意味もなく殴ることなんかできやしない。気でもおかしくなったのか?」
「意味があるから言っているんだ。
でもお前は私の言葉を拒んでしまった。これは主の言葉だったんだ!ああ、なんてことだ。
いいか、お前はライオンに殺される!」
「そんな馬鹿な。」
驚きと戸惑いの色を見せながら、その預言者は駆けだしました。
かの無名の預言者は大きく息を吐きだして顔を上げました。
すると前方から、別の同胞が歩いてきました。
「お前の持っているその剣で、私に傷を負わせてくれ」
その同胞は躊躇しながらも彼を傷つけました。
え、その前の人は?ですか。
残念ながらその通りになってしまったようです。(´;ω;`)ウゥゥ
次の日です。
かの無名の預言者は傷ついた体に包帯を巻き、道端で王を待っていました。
「王様、私が戦場で捕虜の見張りを頼まれました。
『逃がしたらお前の命をとる、それが嫌だったら60万円を出せ』
と言われました。
私が他のことに気を奪われているすきに、捕虜が逃げてしまいました。どうしたらいいでしょうか」
「それはお前が悪い。60万円を払うんだな。」
王のその言葉を聞くと、かの無名の預言者はやにわに立ち上がり、するすると包帯をときました。
「やや、お前は、この前の預言者ではないか。
お前の助言のおかげでわが軍は大勝利だ。
後でおまえと食事がしたい。」
その言葉を払いのけるように、固い声で預言者は言いました。
「王様、イスラエルの神は、こう言われます。
私が殺そうと思った者*1をお前は生かした。それゆえ、お前が命を落とすのだ。お前の民は、彼の民の代わりに滅びる。」
「なんだと!
せっかくいい気分になっているとゆうのに。ぬかせ、たわけ者めが!」
王は怒りをあらわにして、預言者を睨みつけ、
サマリヤに帰って行きました。
そこには愛しい妻イゼベルが彼を待っているのです。
王の行列が通り過ぎ、わだちの後を空しく見つめていた預言者の周りに、突然砂ぼこりが舞い上がりました。
彼は慌てて衣の裾で顔を覆いました。
「神よイスラエルを憐れみたまえ。」
預言者の閉じた瞼の隙間から、
涙があふれてこぼれ、😢
土ぼこりがその後をなぞりました。
*1:ベネハダデ王