ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

残りの者は帰ってくる!  (イザヤ書2)

イザヤは窓辺の小さな机の上に両肘を突き出して、

組み合わせた指の上に顎をのせていた。

彼の瞼は閉じられていて、

時折ひくひくと動いた。

このところ、隙間時間があると、

牛のように反芻していたのは、

裏山で神様から示された内容だった。

 

奴隷生活から解放され、

40年間も荒野をさまよった先祖。

それでも彼らには希望があった。

アブラハム、イサク、ヤコブと、

個人的に結ばれた祝福。

その個々人で結ばれた約束が、

あのシナイ山で🏔

モーセと、イスラエルの民と神様との間で、

再確認(再契約)されていたからだった。

契約遂行には

十の条件(十戒、律法)の厳守があった。

 

  1、主はイスラエルの神だ

 2、イスラエルの神以外、拝むな(禁偶像礼拝)

 3、意味なく主の名を使うな(畏れ敬うへ)

 4、安息日を守れ

 5、両親を敬え

 6、殺人をするな

 7、姦淫するな

 8、盗むな

 9、偽証をつくな

10、他人の物を欲しがるな

 

イザヤはため息をついた。

今、イスラエルの中で、

これらの一つでも守られているだろうか。

実際、

これらの戒めを細かく突き詰めて行けば、

誰一人、

完全に全うすることなど不可能だった。

私もだめだ。

イザヤは燃える炭火が押し当てられた唇に、

そっと指先を当てた。

真っ赤に燃えた炭火だったが、

火傷をしたわけではない。

ただこの身がすっと軽くなって、

感謝と喜びに身が震えた。

神様の許しが与えられたのだと分かった。

 

あの律法は人間には守れるものではない。

ただ、それゆえに、

神様の前に謙遜にひざまずき

み言葉に従おうとする従順さを求められたのだ。

 

シナイ山での約束を民に思い出させ、

被造物を作られた神様の、

絶対的な主権と、

その清き聖なるご性質を、

私は伝えるのだ。

何のとりえもないこの民と、

神様が結ばれた約束。

 

それは祝福か、滅びかの、二者択一だ。

今や宗教指導者の祭司でさえ、

偶像にかかわり、

その体でぬけぬけと神殿奉仕をしている。

手塩にかけて育てたはずの民の、

愚かな行為の繰り返しに、

神様は目を背け、

心を痛めておられる。💔

限りなき愛と哀れみに富まれるお方は、

義なるお方ゆえ、

約束不履行に目をつぶることができないのだ。

裁きの剣を握りしめながら、

愛に苦悩しつつ、

背きの民に,

その剣を抜かざるをえないのだ。

  

 

イザヤの衣の裾は擦り切れていた。

それでも、

神に立ち返るようにと.

説いて廻る日々が続いた。👣

 

以前、北イスラエルで働いた先輩アモス

その働きに奮い立たされた。💪

同輩ホセアとは

時折連絡を取り合っていた。

彼によれば北イスラエルの状態は、

南ユダより最悪だった。

大アッシリヤ帝国の興隆.

その恐怖が圧し掛かっていた。

南ユダも北イスラエルも、

以前からその大帝国に、

莫大な貢ぎ物を納めていた。💰

しかし、

アッシリヤの王がピレセル3世(プル)になると、

征服欲はさらに増した。

そして、

イスラエルの代替わりが狙われた。

新王ぺカは、銀1千タラントを納め、

自分の座を守った。

宝物蔵は空っぽになった。

 耐えに耐えたが、もうこれまでだ。

ぺカ王は、

スリヤ(アラム)のレヂン王と同盟を結び、

南ユダにも同盟話を持ち込んだ。

 

 アハズ王は即座に拒否した。🙅

 

  今までさんざん苦しめられた国だ、

  今更同盟などありえない!!

 

それから数日後、

 

   怒った同盟軍がユダを侵攻するぞ!

 

と新しい情報がもたらされた。

アハズ王も民も悲鳴を上げた。

 

開け放した窓から、

乾いた風が吹き込んだ。

 

  ああ神様、

  あなたが選ばれた私は無力です。

  助けてください。

 

イザヤは思わず立ち上がって、

両手を上げた。

 古びたイスがカタリと音を立てた。

その部屋の外でイザヤの妻が、

彼女の小さな踵をゆっくりと返して、

息子の待つ部屋へと戻って行った。

 

その部屋は明るく、

食欲をそそる彼女の手料理があって、🍛

母親の来るのを待ち構えている、

期待に満ちた瞳があった。👀

その瞳に包まれると、

彼女の緊張は一気にほぐれ、

笑窪がそのほほを飾った。( ´∀` )

 

 

   ユダは、南ユダはどうなる!?

 

イザヤの喉がひっつた。

 北イスラエルも南ユダも、

天の法廷で有罪とされていた。🔨

 

  南ユダも捕囚として連れ去られる。

  だが、ダビデ王の血筋、👑

  正当な血統が受け継がれたユダは、

  一度は亡びたように見えても、

  モーセの杖から芽生えた若枝のように、🌱

  必ず生き延び、

  存続し、

  全世界の祝福の基となる。🌎

   私の約束は必ずなるのだ。

 

そうだ、神様はおっしゃった。

 まだ時が残されている。

  最後の最後まで、

  神様のお言葉を取り次ごう。

 

イザヤの脳裏に、

輝かしいイスラエルの未来が駆け巡った。

神様のお約束は確かだ。

彼の体内の細胞が生き生きと動きだした。

 

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 その夜だった。

イザヤは夢の中で、神様のお言葉を聞いた。

 

 長男シャル・ヤシュブ

 (残りの者は帰ってくる)を連れて、

 アハズ王に会うのだ。

 

イザヤは目を覚ました。

そこには規則正しい妻の寝息があった。

そして、

野獣の遠吠えをかすかに聞いた。🐺

まだ夜明けまで間があった。

 

翌日は雲一つなく晴れ上がった日で、☀

イザヤは息子を連れだした。

妻はまだ幼い息子を連れだすことを渋ったが、

神様のお言葉だと知ると、

ああ!と短い声を上げ、

胸の上で両手を組んだ。

 

王は布さらしの野にある、上の池の水道の端にいた。

流れる水を見つめる王の顔は、👀

遮るもののない炎天下で、

くっきりと陰を作っていた。

有事のために作った水路は、

軽やかに流れる水で満ちていた。

 

イザヤは言った。

  神様のお言葉を伝えます。

  連合軍はあなたを倒し、

  自分たちに都合の良い王を立てようとしている。

  しかし恐れるな、

  それはならない。

  彼らの土地は荒野となる。

 

  そればかりか、建国以来、

  体験したことのないような災いが、

  この地、ユダにも臨む。

  神様は大国アッシリヤを、

  そのために用いられるのだ!

   ユダの民は捕囚の民となり、

  国土は荒れる。

   しかし神様は、

   ダビデ王家の子孫を絶やさない。

   選別され、選ばれし清き民は、

  再び約束のこの地に帰ってくる。

  神様は私の息子にシャル・ヤシュブ

 (残りの者は帰ってくる)と命名された。

    そのことを知らせるためなのだ。

  さあ、私(神)にしるしを求めよ。

  私を信じるなら、しるしを求めよ。

 

アハズは驚いた。

 

   しるしを求める?

   神様を試みる?

   恐れ多いいことだ。

   私には出来ない。

 

イザヤは眉をひそめた。

王の言葉の裏に不信仰が揺らいで見えた。

突然イザヤの胸がざわついた。

 

   神様のしるしはこうだ!!

   乙女が身ごもって男の子を授かる。

  その名はインマヌエル(神ともにおられる)。

  そのころには、

  イスラエルとシリヤの王は死んでいる。

 国さえなくなっている。

  だから恐れるな!

 

イザヤはそのお言葉の、

意味の不思議に戸惑いながらも、

アハズ王に向かって語った。 

 

アハズ王の足元の水路を、

一枚の木の葉が水にもまれながら、

音もなく流れ去って行った。

イザヤは息子シャル・ヤシュを、

目で追った。👀

なだらかな丘の上で、

彼の息子は楽しそうに、

何かを追いかけていた。