ヨセフの頭の中は真っ白だった。
この数日間のことを思い出そうとすると、
そこだけポッカリと穴が開いたように記憶が途絶えた。
ただ父親と、弟ベンジャミンのことが気になった。
今のヨセフに出来ることは、現状を受け入れて行くしか、生きてゆく道はなかった。
そして彼は素直にそうした。
彼の心の中には、幼いころより聞かされていた神様の存在が、
この状況の中でもオアシスのような安らぎを彼に与えていたからだ。
エジプトに着くとイシマエル人は、
パロの役人で侍衛長であったエジプトびとポテパルに、ヨセフを売り渡した。
神さまがヨセフと共におられたので、彼のなすことはすべて祝福された。
主人はすぐに彼の特別な才能に気づき、
すべてヨセフに管理させた。
ヨセフは日を追うごとに肉体的にも精神的にも美しく逞しく成長していった。
そんなヨセフを主人の妻は見逃さなかった。
そして夫の目を盗んではヨセフを誘惑した。
ヨセフは言った。
「御主人はあなたを除いては、すべてわたしにゆだねられました。
そのご主人を裏切ることは出来ません」
ある日ヨセフが務をするために家にはいった時、家の者がひとりもそこにいなかった。
彼女は大胆にヨセフの着物をつかんで、執拗に迫ったので、
ヨセフは着物を彼女の手に残して外にのがれ出た。
・・・・
夫が帰ってくると彼女は言った。
「ヨセフを捕まえて!!
彼はだまってわたしの寝室に忍び込んで、
わたしに手をかけようとしたのよ」
そうして彼女はヨセフの残していった着物を振り回した。
これを聞いた主人は激しく怒って彼を捕え、王の囚人をつなぐ獄屋に投げ入れた。
そこでも神はヨセフと 共におられたので、すぐみんなから信頼された。
獄屋番は自分の管理する囚人をヨセフの手にゆだねた。
そんなある日、
エジプト王の給仕役と料理役とが獄屋に入れられてきた。
二人は同時に不思議な夢を見たのだった。
(●^o^●)・・・・
ヨセフの行くところ神の祝福が付いてまわった。
夢見る者よ・・と兄たちから言われたヨセフはまた
夢にかかわって新しいドラマが展開してゆくのでした。