ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

ラハブの部屋

ラハブは勢いよく寝床から飛び起きた。
六日前から続く行列は
七日目の今日も続いているようだった。


窓の隙間から漏れる光はまだ弱々しく
部屋のあちこちに夜のかけらが転がっていたが
外では角笛が鳴り響いていたからだ。


細めに開けた窓から覗くと
武具に身を固めたイスラエルの兵士が見え
大きな角笛を吹く人たちが見えた
そして四角い箱を担ぐ人たちが見え
その後に続く人々が見えた。


六日前から続くこの行進に
エリコの人たちは不安を募らせた。
彼らは日に一度、城壁の周囲を廻るだけでいっこうに攻めてこなかった。
それが一層不気味だった。
城内は一斉に緊張し、武装した兵士が城門や、見張り窓にしがみついた。
あるものは荷物をまとめて早々と、城外へ逃げていった家族もあった。

                                 
しかし、ラハブは留まった。
あの二人のスパイの言葉を疑いつつも信じたからだ・・

父や母を必死になって説得し
         今日もみんなこの部屋にいる。

ラハブは「おや?」と首をかしげた・・
ラッパの鳴り方がいつもと違う。
そういえば、今日はいつもよりも早い時間だ。
ラハブはそう思ったとたん
          自分の体が強張り、鳥肌が立ったのが分った。

彼女は忙しなく台所に立つと朝食の準備を始めた。
その音に母親が顔を覗かせた。
         「お母さん、今日は何かあると思うのよ。
         イスラエルの人たちが攻めてくるかもしれない。
         今のうちに食事をしておきましょうよ」
彼女は手元から目を離さずに言った。
         「そうだね、こんなに早くからラッパなんか鳴らして、
          いつものやり方じゃあないね」
母はラハブの横に並んだ。
そして小声で言った。
         「本当に大丈夫かねぇ・・
          荷物をまとめて逃げていった人もいれば
          武器を集めて戦に供えている人だっているっていうのにさぁ・・
          家だけだよ、な〜んにもしないで部屋に閉じこもっているのは
          父さんだって、本当は武器を持って戦うはずだったのにねぇ
          あの通り足を怪我してしまってさぁ・・(´∩`。) 
          情けないって、がっくりして、口もろくに聞いてくれないんだよ」
          「良かったのよ、怪我をして・・
                        それでなかったら・・・・」
ラハブは黙った・・
彼女は目頭が熱くなるのを感じながら、
         食事をテーブルの上に並べた。
幼い兄弟たちはすでに集まっていて、     
         彼女が並べる湯気のたった料理を
         キラキラ輝く瞳で追っていた。

そのとき、壁を向いて横たわったままの父親が、ゴホンと咳をした。
彼女はチラリと父親の姿を見た。
          お父さん、ごめんなさい。
          辛い思いをさせてしまって・・
          でも・・
          この戦はもう勝負がついているのよ。
          あのイスラエルの神様に勝つことなんて出来ないのよ。
          だから、命を大切にして欲しいの・・家族揃って、生きて欲しいの・・

彼女は心の中でつぶやいた。

**


一体何人の人がラハブの部屋に集まったのか・・・・・・・・わかりません。
                    とりあえず両親と、兄弟たちということで・・
実際には、おじさんやおばさんやその家族なんかもいたかもね・・・・・・・






     「やっぱり今日はおかしいよ、朝からこれで7回目だよ。
      一体、何時までこんなことが続くのだい」
ラハブの母は大きく手を振り動かしながら、イライラした口調で言った。

すでに太陽は大きく傾き、西の一角を目指している。
     「そろそろ戻ってくる頃でしょ。
      8回目も回るのかしら・・ 」
ラハブは、恐る恐る開けた窓の隙間から城外を伺った。

そこに、7回目を回り終えた行列の先頭が目に飛び込んできた。
ぶおおおぉ〜〜〜と尾を引くようにラッパが鳴り響き
太陽の光を浴びてなにやらキラキラと光っている。                       
       ブぉぉぉぉ〜〜
ラッパの音が一段と高く鳴り響くと
整然と隊を組んでいた行列から、何か破裂でもするかのような大きな声が沸き起こった。

ラハブは細くあいていた窓を慌てて閉じた。
       ぐわをををををw〜〜〜〜〜・・

ラハブの体が一瞬、宙に浮いた。
それからズド〜ンという鈍い音が足元から這い登ってきた。
彼女はフラっとめまいのようなものを感じて床に曳き倒された。
テーブルは命を得た物のように動き、壁に当たって
早めの夕餉のスープやパンや何やかやがこぼれ散った。
幼い兄弟がそれらを頭からかぶって、椅子から投げ出され
「ぎゃ!!」p(≧□≦)qと声をあげて泣き叫んだ。

母は父が寝ているベットの端にしがみついていた。
父は上体を起こし、大きな握りこぶしを作って、厳しい顔であたりを見ていた。
ラハブは幼い兄弟を抱き寄せると、母の傍にしゃがみこんだ。
ばらばらと土埃が落ちてきて、
部屋全体がキシキシと忙しない音を立て
窓の鍵は外れ、外壁にあたって、ガタン、ガタンと音を立てている。

      「逃げなくて大丈夫かい。
       ほら、壁にひびが・・」
揺れが治まって来ると怯えたように母親は言った。

ラハブも外へ出たかった。
全開した窓から左右を見て驚いた。
すぐ近くの城壁が崩れ落ちていた。
そうして、そこから抜き身の剣をかざしたイスラエルの兵士が、
ばらばらと城内に入っているのが見えた。

ラハブは恐ろしくなって窓際を離れ
ドアの覗き穴から外を見たけれど、崩れた壁が見えるだけだった。
耳を澄ますと、逃げ惑う人の声や、悲鳴が飛び交っていた。
彼女は弟達の所に戻ると、
彼らの耳を塞ぐようにして両脇に抱えた。

     「いま外に出ても逃げられないわ。
      父さんは動かせないし
      あのスパイの言葉を信じましょうよ。
      必ず助けに来てくれるって。
      とにかく、この部屋から出ては駄目!!」

ラハブは、言い切った。



二人のスパイがやってきたのは
辺りが暗くなってからだった。

約束どうり、ラハブの部屋に居た親族は皆助けられ
イスラエルの宿営の外に住むことが許された。


歴史がず〜〜とさかのぼって、
新約聖書の一番最初のページの、さる高貴なお方の家系に
『ラハブ』という名前が登場・・・
その『ラハブ』は、この遊女ラハブのことだったとか・・・・

敵国の「神」の力強い業に、女の直感を?働かせた遊女「ラハブ」
彼女は奇数な運命の波に運ばれていったのでしょうね。


イスラエルの進軍・・・・・それは、彼らの「神への従順」を試される戦いでもあるんですね。
私が、今日、あなたがたに命じる戒めを、ことごとく守らなければならない。
 そうすればあなたがたは強くなり、
  渡って行って取ろうとする地にはいって
  それを取ることができ、
 かつ、
  主が先祖達に誓って彼らとその子孫とに与えようといわれた地
  乳と蜜の流れる国において
  長く生きることができる
                       申命記:11章より