ヨアシは息子ギデオンの話を聞いていた。
というのも、
家の外では暴徒が押し寄せ、
「ギデオンを出せ!!殺してやる!!」
とわめいているからだった。
またかとヨアシはため息をついた。(ーー゛)
しかし、息子の話を聴けば
神の使いがあらわれ、
「ミデアン人と戦え」といわれ・
父親の偶像を引きずり倒し
燔祭を捧げよと命じられたとか・・
ヨアシはこの町で平穏に過ごしたかった。
だから、家ではイスラエルの神を崇め
町中では彼らが拝んでいる神々を拝み
自分もその神々の像を建てたのだった。
この町で生活するには、彼らの習慣にあわせるしかないと思っていたのだ。
ギデオンは話し続けた。
神様から、お父さんのバアル像を倒せといわれた時
あれは、町の人たちもよく拝んでいたし
どうしたものかと思案したんだ。
それで、昼間のうちに最上の雄牛二匹と
10人ばかり使用人を選んでおいたんだよ。
それで、夜中にやったんだけど・・・・
お父さんには迷惑をかけたくなかったんだ。
バアルの祭壇を引き倒し、そばの木製のアシュラ像を叩き割った時は
月が明るかったし雲もなかったからよく見えたよ。
あの女神像は簡単に割れて、それで火をおこして
新しく作った祭壇に、連れてきた雄牛を捧げて
全てを燃やし尽くしたんだ。
今日、お父さんには話そうと思っていたんだけど・・
こんなに早く町の人に分ってしまうなんて・・
ギデオンうつむいた。(-_-;)
ヨアシの怒りはおさまっていた。
それどころか、
自分の顔面を打ち叩かれたような衝撃が走り
腹のそこから笑いが込み上げてきたのだった。!(^^)!
それは愚かだった自分に対する笑いと
何の力もない神々に対する笑いだった。
ヨアシは息子の肩をトンと叩くと、足早に門のほうに歩いていった。
父親の通り過ぎる風の流れにギデオンはほっとし
その後を追った。
ヨアシは門の外にたった。
押しかける暴徒を前に彼は仁王立ちになって腕を組んだ。
「バアルが倒されたんだってな。
何でお前たちが、騒いでいるんだ?
バアルが本当の神なら、自分の祭壇を壊されたんだ
バアル自身が壊した者を罰するはずだ。
そう思わないか?
言っておくが、バアルのためにこれ以上騒ぐ者は、
力ある神様が、その命を捕りにくるぞ」
人々はヨアシの言葉に戸惑った。
そうして、ひとり去り二人去り、誰もいなくなった。
ヨアシはそれを確かめると、急いで家の中に入り
家族を集め、
イスラエルの神様の前に額ずくのだった。
それからギデオンは
「エルバアル(バアルは自分の面倒ぐらいは自分で見るがよい)」
と呼ばれるようになったそうです。
このことがきっかけになったのでしょうか
ミデアン人とアマレク人と東方の民が結集し
ヨルダン川を渡ってきたのでした。
さあ、ギデオンはますます大暴れですよぉ〜〜。>^_^<・