・・・・・・・・・・・・(サムソン全8-7)
デリラはサムソンの体を七本の真新しい弓弦で縛っていた。
お酒を飲ませながら聞き出した彼の力の秘密、
それがこれだったのか。
それにしても、と彼女は思った。
大切な秘密を、こんなにもあっさりと話すものだろうか・・
ガザで商売女のところに泊まり、ペリシテ人に取り囲まれた彼。
夜中に起き出して、無傷のまま通り過ぎ、
その町の門をねじりとって、山の上に運んで捨てたという。
今、弓弦で、ぐるぐる巻きにしたこの男に、そんな怪力があるのだろうか・
デリラは不思議な気持ちで、サムソンを縛り上げた。
サムソンが彼女のところに来るようになるとすぐ
ペリシテ人の話題になり、
なんと、領主たちが彼女のところに足を運んでこう言った。
「サムソンから怪力の秘密を聞き出してくれ。
うまく行けば私たちはそれぞれ、
銀1100枚ずつをあなたに渡そう。
彼はわれらの民を沢山殺しているのだ。」
彼女はサムソンのことを嫌いではなかったが、
同胞のためだっと言われると断れなかったし、
報酬も気になった。
「サムソン!! 来たわよ!ペリシテ人が・・」
デリラの声に、サムソンはガバっっと飛び起きた。
すると彼女の目の前で、
はらはらと弓弦が切れて落ちた。