ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

それは、神様からのお言葉だ・・・

サムエルは眠い眼をグリっとこすって、立ち上がった。祭司、エリが呼んでいる。最近、とみに目の衰えが目立つエリが、何かの用を頼むのだろう。サムエルは走った。
「祭司様、お呼びですか」
暗闇の中でゴソリと音がした。
「なに、わしが呼んだと?夢だな、さあ、帰ってゆっくり休むのじゃ」
エリの言葉に、そうかもしれないとサムエルも思った。
サムエルは今、神様の箱が置いてある神殿で寝ていた。
帰ると、寝床はまだ暖かく、彼を待っていたかのように優しく包み込んだ。すぐに軽い寝息がもれた。その眠りを再び、エリの声がやぶった。ように聞こえた。サムエルは駆けた。
「祭司様、私です」
「またお前か。気が高ぶっているのじゃろう。明日も朝が早い。休め、休め、体が持たぬぞ」

寝ていなかったのだろうか、エリの声はすぐ返ってきた。
サムエルは眠たかった。何も考えないで、すぐ横になった。
まぶたが鉛のように覆いかぶさって彼の体は、闇の中に転がり込んで、沈んだ。
はっ! 寝過ごしたか!?
彼は飛び起きた。少しばかり心臓がドキドキする。あたりはまだ暗かった。実際、ほんの一瞬、睡魔の渦に巻き込まれて底まで沈み、ほっとひと息、吹き出すようにして、目が覚めたのだったが、その眠りが深かったので、随分と時が流れたような気がしたのだ。
彼の眠気は去った。頭がすっきりした。
祭司様だ!
サムエルはパンパンと頬を軽く叩くと走り出した。
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エリは寝ていなかった。
あの子が母親に手を取られて来てから、もう10年にはなる。私が歳を取るはずだ・・
それにしても、今夜のサムエルは・・・と、
いぶかしく思い巡らしていると、突然、彼の心は波打った。
    おお!!これは、・・もしかしたら・・
エリはゆるゆると寝床から上体を起こし、何かを捕らえようとして、きょときょとと、霞のかかった目を動かした。
「ああ、サムエルか、私のそばまで来ておくれ」
「はい、祭司様。お呼びですね。御用は何でしょうか」
「いや、いや、わしは呼ばなかったぞ。それよりも、よくお聞き。今度、お前の名前が呼ばれたら、すぐその場で言いなさい。
『しもべは聞きます。主よ、お話ください』とな」

それから、やはり、自分の名が呼ばれた。サムエルはエリに言われたように答えると、彼の耳に、実に恐ろしい言葉が飛び込んできた。
サムエルは、目がらんらんと冴えて何度も寝返りを打って
もう今夜は眠れないと思っていた。
それなのに、
白々とした朝の澄み切った空気を吸って目が覚めた。エリの顔を見るのが辛くて、時間がずるずると過ぎていった。
「サムエル!」
エリの声だ。サムエルは意を決して、彼の部屋へ入っていった。エリの目がたちまち彼を捉えた。
「さあ、私の目をしっかりと見るのじゃ。私は何を聞かされても驚きはしない。神様がお語りになられたことを、すべて聞かせておくれ。もしお前が意図的に言葉を濁したら、神様がお前を重く罰せられるように」
(可愛そうなサムエルちゃん、・・)
その内容は、以前、エリが神様の御使いから伝えられた内容と同じでした。エリは目を閉じて、軽く頭を振りながら聞き終わると、
「言いにくいことを、よく話してくれた。それは、神様からのお言葉だ。
神様の良しとされることが行われますように・・」

と言って、サムエルをいつもの務めにもどした。

それから主はシロでサムエルに語られ、
サムエルは神様のお言葉を人々に伝えた。
まだ若いサムエルに人々が真剣に耳を傾けたのは、
常に神様が、サムエルと共に居られたからでしょうね。

こうして、彼、サムエルの名が、
北はダンから南のベエルシバまで、
イスラエルの人々に知られるのに、時間はかかりませんでした。