ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

僕らの友情は変わらないよ・・・


千載一遇のチャンスだ!!
王の家畜管理人のエドグは体が震えた。

「申し上げます。ダビデを祭司アヒメレクの所で見ました。彼は神殿のパンとゴリアテの剣を手にしていました」

エドグは、王を取り囲むようにして立っていた近衛兵たちを掻き分け前に飛び出すと、深々とひれ伏していた。
そこはギベアの大きな柳の根方で、サウルはさっきから、
一向に行方の知れないダビデに苛立って、喚き散らして座っていたのだ。

「よし!
アヒトブの子、祭司アヒメレクとその一族を連れて来い」

    
すぐさま、アヒメレクとその一族は王の前に引き出された。祭司を見つめる王の目には、凶暴な炎の種火がちらついていた。

ダビデに便宜を図ったそうだなぁ。あいつは、このわしに逆らって逃げ出した者だ」
「王様、彼は、あなたの娘婿ではありませんか。そのうえ、近衛兵の長で、民からも慕われいます。神様にお伺いを立てたのも、いつものこと。まさか、王様に追われているとは、全く知りませんでした。」
「黙れ!」

ぎろりと王の目がひかり、あたりを見回して言った。

「殺せ!!主の祭司だろうとかまわぬ。ダビデを助けた者は王の敵だ!」

しかし、サウルを取り囲む兵たちは動かなかった。

「意気地の無い奴らめ!!よし、お前だ!お前がやれ!」

王の指先が、ドエグの上に注がれた。
 
「この仕事が終われば、褒美を用意しておこう。それにお前はもう、家畜の事など関わらなくてもよいぞ」

ドエグは一瞬ビクッとしたが、王の次の言葉を聞くと、躊躇はしなかった。その日彼は、ノブの祭司85人を討ち、その町の人々も家畜も襲った。一瞬にして阿鼻驚嘆の地獄図の中に、息する者は居なくなった。
陽がとっぷりと暮れ、血なまぐさい空気の漂う中、コトリと何かが動いた。
野獣だろうか。月明かりの中の黒い塊は、おずおずと身を起こし、しばらく動かなかった。それから、自分のように息する者がいないかと耳を澄ました。居なかった。幸い致命傷になるような傷もなく、慎重に手足を動かしてみた。動ける。黒い影はまたしばらく息をひそめてから、暗闇の中にひっそりと消えて行った。
その影は、風の便りを確かめつつ、ユダの地、ハレテの森の洞窟を目指した。それは、ノブの町でただ一人難を免れた、アヒメレクの子の一人で、名をアビヤタルと言った。そして今、彼はダビデの前にいて、事の経緯を話し終えたところだった。ダビデは彼の言葉が途切れると、ゆっくりと目を開けた。
「許してくれ・・・・。私が立ち寄ったために・・・・。あそこに、王様の家臣が一人いたことは知っていたが・・まさか、祭司の町を攻めるとは・・・。恐れる事はありません。ここに居てください。」

ダビデは、アビヤタルのことを近くにいた者に託すと、やりきれない思いを抱えて、洞窟の奥へと入っていった。
少し進んで右手に曲がると、人がやっと出入りできるほどの穴が開いていて、その下には小川が流れていた。
ダビデは一人、背の低い木の下に腰を下ろした。
手にはかって、サウル王の心を和ませた竪琴があり、今はダビデの心の友、慰めの糸、美しい歌を引き出させてくれる楽器だった。
「神をおのが避け所とせず、その富の豊かなるを頼み、
その宝に寄り頼む人を見よ
あなたは捕らえられてその天幕から引き離し
生ける者の地から、あなたの根を絶やされる。
しかし、わたしは神の家にある緑のオリブの木のようだ。
わたしは世々かぎりなく神のいつくしみを頼む」
詩篇52篇より)

ダビデはなお竪琴を弾き続け、歌い続けた。
自分を逃がしてくれた妻ミカル、親身になって話を聞いてくれた預言者サムエル、そして預言者集団の中で過ごしたひと時。そこにもサウルの手が伸びて、ラマのヨナテら、人目を避けてヨナタンに会ったことなどが、爪弾けば、さまざまな事が去来し、尽きる事がなかった。

小川は流れ続け、木々の葉は何かをささやくように震え続けた。ダビデは己が手を見つめた。そこには、ヨナタンの感触が残っていた。彼は朋友ダビデの危機を知らなかった。ダビデからそのことを聞かされたときも、彼は半信半疑だった。
「わかった。月始めの食事会の時、
君が欠席していれば、必ず父は聞くはずだ。
その時の父の様子を君に伝えよう。」

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二日目の食事会の時、父サウルが不機嫌な声を発した。

ダビデはどうした?」
「彼は一族の祭のため、欠席したいと言ったので、私が許しました。」
「お前はダビデに甘いぞ!そんなことで、わしの後を継いだら、ダビデがかすめとってゆくだけだ。ダビデを殺せ!」

ヨナタンは父を見つめた。
例の気の苛立ちが額に太い青筋を浮き立たせて、握り締めた手がぶるぶる震えていた。

「ですが、父上、ダビデは忠実で優秀な家臣です。それに・・・・」

ヨナタンダビデを弁護し始めると、なにやらわめきながら、サウルの手から槍が飛んだ。とっさに避けたものの、その弾みでバランスを崩し、テーブルクロスが引っ張られた。人々の悲鳴、食器の割れる音、槍はヨナタンの後ろの壁に突き刺さって、会場の人心のように、プルプルと震えていた。
父はどうかしてしまったのだ。
自分の息子に王位を譲りたいがために、民衆の人気が高いダビデが邪魔になったのだ。何よりも、時折おとづれる気の病が、それに拍車をかけ、息子でさえも、自分の命を狙っていると、疑心暗鬼の目を向けるようになってきていた。
次の日の早朝、ヨナタンが約束の場所にやって来ると
ダビデヨナタンに向かって三度地に伏して敬礼した。

「お別れだ。ダビデ。しかし神様が共におられる、僕らの友情は変わらないよ。それは、孫の代になっても揺るぎないからね。」
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二人はそれぞれの肩を涙で濡らし、そして、きびすを返した。ダビデはその足で、祭司の町ノブに急いだ。まずは、神様にお伺いをたて、次の行動を起こしたかったし、空腹で倒れそうだったから、何がしかの食物にありつきたかった。そこに、ずるがしこい目をした、ドエグを認めたが、
気に止めなかった。それよりも彼の告げ口で、追っ手が迫ってくるのを恐れた。ダビデはガテのアキシ王の所へ行った。ガテはイスラエルの宿敵だったので、ダビデを見た家来たちは、上ずった声で王に言った。

「『サウルは千を撃ち、ダビデは万を撃ち殺した』あの歌の張本人です」

ダビデはその言葉に王の反応を恐れた。
とっさに、気の触れた人のように振舞ったので、王は家臣を怒鳴りつけ、ダビデを追い返した。それから、アドラムのほら穴に行き、親族と合流。どこから伝え聞いたのか、400人ほどの人たちが集まってざわついていた。その人々は、サウル王に反発を抱く者、負債を抱えた者、色々な不満を持った荒くれ者などだった・・・
ダビデはモアブの王に、年老いた両親の身柄を頼んだ。*1
ところが、預言者ガドがやって来て
(知らないよね。ダビデは知っていたの?そうか、預言者の集団の中で知り合った人かもね・・)
ここはよくない、ユダの地へ行きなさいと教えてくれた。
そこでダビデは、両親ともどもこの森に移り住んだってわけ。
・・・・・
それにしても、逞しくなったんですね。ダビデさん。ゴリアテの剣を振り回しても、様になってるぅぅ・・素敵です〜〜ぅ。

ダビデ!!ダビデ!!  はははぁ・・(笑)、
ファンになちゃったぁぁぁぁ・・・

でも、これからが彼の辛抱どころ、、荒くれどもを掌握し、サウルの執拗な追っ手の目を逃れて・・ああ、若き青年ダビデの、安らぎの場所は何処に
。。。。。。

逃亡生活の中で、彼はそれを持っていたんですね。
彼の心の深きところでは、次々と湧き出る清水
それは詩篇の言葉となって・・・


*1:ルツ記・ユダのベツレヘムが飢餓に見回れて、エリメレクトと妻ナオミは二人の男の子を連れて、モアブの地に避難。そこで夫も子供も亡くなり、ナオミと二人の嫁が残された。ナオミは一人、故郷に帰ることにしたが、ルツだけは離れずについてきて、ナオミの夫の親戚のボアズと結婚しているので、知り合いがいたからかも・・