ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

ヨナタンの遺児、王宮へ

ヂバは恐ろしさに胸が押しつぶれそうだった。サウル家が滅びてから、
息を潜めてひっそりと、生き延びてきたというのに、ダビデの家来に見つけられてしまったからだ。

彼らのヂバに対する扱い方は丁寧で、それもまたヂバに大きな不安を与えた。その上、宮殿の厳かさに圧倒され、今彼はダビデ王の足元、その床に額をこすりつけていた。
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「お前がヂバか?」
「はい、ヂバでございます。」
「そんなに硬くならなくてもよいぞ。私はサウル王様との約束を果たしたいと思っているのだ。どうだ、サウル家の者でまだ残っている者はおるのか?」

ヂバはグッと喉が詰まった。
本当だろうか?甘い餌で釣っておいて、まさか・・
本当に根絶やしにしてしまうのではないか。そんなことが一瞬頭をよぎったが、ダビデ王の言葉も眼差しも穏やかだった。ヂバはためらいがちに言った。

ヨナタン様のお子が一人・・」
「おるのか!!」
「はい、豪族マキルの家に身を寄せておりますが・・」
「名は、名は何と申すのだ」
「メピボセテにございます」
「そうか、生きて居ったか」

ダビデの声が明るく響いた。
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メピボセテはすぐにダビデの元に連れてこられた。
彼は一人では歩けなかった。ヂバの話によれば、ヨナタン戦死の報にあわてた乳母が、抱きかかえていた彼を落として、両足を不自由にしてしまったという。そのとき彼は5歳だった。
ダビデはそんなメピボセテを見て目頭が熱くなった。なんとヨナタンにそっくりではないか。ダビデはしばらく言葉につまり、懐かしい友を見るようにメピボセテに目を注いだ。
「恐れなくてもよい。私はギベアにあるサウル家の所有地をあなたに返そうと思う。それと、これからはエルサレムに住んで、私の食卓で一緒に食事をするのです」

メピボセテは一瞬何のことかと思った。
それから大きく深呼吸をして言った。
 『あなたは、しもべを何とおぼしめして、死んだ犬のようなわたしを顧みられるのですか』
「これは、あなたの父ヨナタンと私の約束なのです。それからヂバ、お前はギベアの主人の土地を管理しなさい。」

ヂバには15人の男の子と20人の僕がいた。
思いがけないダビデの言葉に彼の胸は躍った。

「ありがとうございます。あなたのおっしゃるとおりにいたしましょう。」

そう言ってから、そっと膝をつねった。痛かった。
ヂバはもう、こそこそと隠れて息を吸う必要は無かった。以前のように仕える主人が与えられ、その土地を任されたのだ。ヂバはメピボセテに別れを告げて外へ出た。

家族のもとへ向かう道々、ヂバの心も体も、雨上がりの草木のように、瑞々しく若返ってくるのがわかった。
一度死んだような命だ。これからは悔いのないように生きるんだ!!
あの角を曲がれば、子供たちの笑顔が満ち溢れる家が見えてくる。彼はその子供たちのためにも、もう一度頑張ろうと思った。

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ヂバさん、よかったですねぇ。だけど、欲に目がくらむというか・・大変なことをやってくれましたね。
そのことは後ほど・・
その前にダビデ王様までが大変なことを・・
ああ・・・どうしよう。。。。。