ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

ホシャイ、お前は私の息子のところへ行ってくれ。

将軍ヨアブの采配で、親子の溝が埋まったかに見えたその時、ヨアブはアブサロムの中に不穏なものを感じ取った。きっとまた何かが起こる。しかしそれが何なのか?
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アブサロムの母は、ガリラヤ湖東方のゲシュル王家の王女であった。サウル王の娘ミカルを除くと、ダビデの妻たちの中で、自分は彼女たちとは格が違うと自負していた。そんな母の元で育った子は、自尊心と優越感の塊に育った。

いつの頃からだろうか、
自分こそ父の後継者にふさわしい、と思うようになったのは・・。いや、そんなことを思ってはいけないと、自分を戒めていたのかもしれない。それが・・・、
タマル・・・
そうだ、タマルの事件が彼の心にグサリト突き刺さり、混沌としていたあるものが、はっきと現れてきたのだ。

二年たって父の出方を待ったが、父は動かなかった。
父は何としたのだ。歳をとられたんだ。アブサロムは父ダビデに失望した。ならば、父に代わって私がタマルの敵を討とう。彼は慎重に事を運んだ。自分が主催した宴会の席で長男アムノンを倒すと、母方の実家に身を潜めること三年。
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子煩悩の父ダビデだ。必ず呼び戻してくれる。彼はそうう踏んでい踏んでいた。案の定、父からの使者が来た。それらの手はずは、将軍ヨアブが当たってくれた。アブサロムはすぐに父に会えると思った。しかし彼の読みは外れて、二年間、自分の家に留められた。

ところで、アブサロムの美しさは全イスラエルの中でも秀でていたとか。
『その足の裏から頭の頂まで彼には傷がなかった』とか。彼は年に一度、髪を切った。髪の重さで歩行が困難になるからだとか。あの時も刈り込んでおけばよかったのにね。(これは後のお話ですが・・・)

息子が三人、娘は一人。その名は「タマル」。もちろん美少女で〜す?それって、あの妹と同じ名前では?妹のタマルが好きだったのか? 彼女のおかげで大それた事を始めるきっかけが出来たからか?
  
彼はその二年間、次なる計画をたてるのに当てた。
王位継承者の長男亡き後、アビガイルの息子ギルアブが控えていたが、彼の影は薄かった。

次なる思案がまとまった。しかしいっこうに父からの使者は現れず、熱心に取り持ってくれたヨアブも顔を出さなかった。手荒な方法だったが彼はヨアブを呼び寄せた。彼はその方法が気に入った。事がとんとん拍子に運んで父に会えたからだった。

しかしヨアブはむっとしていた。
自分の畑は焼かれ、ダビデに仕える者なのに、その息子に仕える者のように扱われたからだった。

そんな事には意に介さず、アブサロムは自分のための戦車と馬、その前を駆ける50人の者を備えた。その立派な列は早朝、門の道の傍らにあった。

そこはイスラエル中から、ダビデ王に訴えを持ってくる人の集まる場所だった。アブサロムはそこで人々の話に耳を傾けて言った。

「あなたの訴えはもっともだ。しかし、王様はどうだろうねぇ。あなたがたの訴えに関心を持ってくれる者を、派遣することさえ怠っているからなぁ。私だったら、公平に直ちに裁くことができるのになぁ〜」

そういって、親しみのこもった手を差し伸べるのでした。四年間、彼は熱心にそれをした。その年の終わりに彼は父ダビデに言った。

「お父さん、私をヘブロンに行かせてください。神様との誓いを果たしたいのです。『私がイスラエルに戻れたら、ここで礼拝を捧げます』と誓ったのです」

ダビデは気持ちよく送り出し、王子として相応しく200人もの人をつけた。父の承諾を取り付けると、すぐに彼は出発した。同時に密使をイスラエルのすべての部族に派遣して言わせた。

「ラッパが鳴り響いたら叫んでください。
『アブサロムがヘブロンで王になった』と」


アブサロムは犠牲を捧げ、ダビデの信任を得ていた議官ギロ人アヒトペルを呼び出した。こうして彼の率いる徒党は強くなっていった。

「王様、大変です!」

飛び込んできた男は口角泡を飛ばす勢いで叫んだ。

「なに! アブサロムがか!」

ダビデの目は一瞬宙を泳いだ。それから慌しく指示を出し続け、最後に宮殿の管理を10人の妾に委ねた。王宮を無抵抗で手放すことにしたのだ。息子と剣を交えるなどは考えられなかったから。
ダビデが進む道々でエルサレムに住む家来たちが、続々と加わって来ました。親衛隊のケレテ人もペレテ人も駆けつけました。600人ものガテ人の部隊も来ました。ダビデは驚いてイッタイを見た。

「あなたは昨日、私の元に着たばかりではないか。わたしは明日をも知れぬ身。どうか、あなたの兄弟たちをつれて帰ってください」
「私はもう決めています。死ぬも生きるもあなたと一緒です」

ダビデはその言葉に泣いた。そして、泣きながらも自分の兵力を把握し、真実なる者の誰かを知ることが出来た。

祭司ザドクにアビヤタルもレビ人が担ぐ神の箱と共にやってきた。それを見てダビデは言った。

「神の箱はエルサレムに残りなさい。主の御心ならば、私は再びエルサレムに戻るだろう。私は荒野の渡し場にとどまっています。あなた方からの連絡を聞いてから、次の行動に移ろう」

彼らを帰すと、有力な議官アヒトペルがアブサロムに組したことを知った。それは彼にとって痛手だった。いままで幾多の難問を解決出来たのも、彼の助言があればこそで、ダビデは叫んでいた。

 「神様、アヒトペルの策略を無にしてください」

ダビデは手を首に置き、裸足のままオリブ山を登りながら祈っていた。山の頂で神様を礼拝し、山越えしてバホリムに出て、エリコに近いヨルダン川の渡し場に行く予定だ。

おお、主の山に備えあり。ダビデは目を見張った。そこに真っ白な髪を土色に染め、上着を裂き、杖をついたホシャイが彼を出迎えた。

「なんと、お前まで来てくれたのか。これは神様のお導きだ。しかしご老体、あなたは私と行くことは出来ない。町に戻るのだ。
私の息子に仕える振りをしてくれ。アヒトペルを止めるのだ。彼らの動向を把握したら、祭司ザドクとアビヤタルとに繋いでくれ。彼らの子供たちが私に知らせてくれるから」

ダビデはホシャイが、神の使いのように思え、その後姿を見送った。
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・・・
すでに65歳になっていたダビデ。その身を裂くような苦しみがこれからも続きます。
預言者ナタンの
「あなたの家からあなたの上に災いが起こる」

その言葉が、現実となって老いたダビデにのしかかって来ます。自らが撒いた罪の種は、確実に成長していたのです。

そうしたダビデの元に、続々と人が集まってきますが、今日はここまでに。