神殿建築が本格的に始まったのは
エジプト脱出の480年後、
ソロモン王在位4年目のジフの月(2月)のことでした。
ソロモンは父ダビデが残した膨大な財産に目を通し終わると、
ツロのヒラム王に神殿建築のための
資材やら人材やらの協力を求めました。
この王様はダビデのファンで
ダビデ亡き後、直ぐ弔問の使者を遣わし、
若きソロモンとは
父ダビデにもまして親交を深めた間柄でした。
そんなわけでソロモンは
父が切望していた神殿建築のことを
いち早くヒラム王に話し、支援を求めたわけです。
すると王様は大変喜び、
惜しみない協力を約束してくれました。
ヒラム王はレバノン山からの豊富な水源を持っていて
立派な山林があり、その技術も抜きん出ていました。
その技術をイスラエルの民は持っていません。
それで資材を得るための木こりの要請をし、
「それらの賃金はあなたの言うままに支払いましょう」
ソロモン様は太っ腹なところを見せました。
おっしゃ〜!
ひよこ舞い上がって、高賃金を吹っ掛けちゃうからね。
ヒラム王様もそうでしょう?
二代目ボンボン、
財布の紐も弛んでるみだいだし・・
と考えるのはひよこだけのようで・・・
「いやいやこれは亡きダビデ様の遺言なれば
何で賃金なぞ頂けましょうや。
無償でやらせてください」
いやいや何とか・・・
二人のあいだでシーソ遊びを少ししたと思うのですが。
お立会い!
「それではこういたしましょう。
代金代わりに食料ではいかがかな」
「それは妙案、
毎年、小麦720万リットル、
上質のオリーブオイル、7200リットル
を喜んでお納めいたします」
成立相成って、ソロモン王様のさわやかな笑顔が輝きました。
ヒラム王は亡き友ダビデの面影の残るその横顔を
満足そうに眺めました。
ソロモン王様は、早速全国から強制労働者3万人を確保し、一ヶ月一万人を交代でレバノンに送り込みました。
その他に以下の人たちを確保しました。
荷を運ぶ人、7万人
石を切る人、8万
工事監督、3300人
切り出した材木はヒラム王側が筏をくみ
地中海沿岸をソロモンが指定した場所まで海路で運び、
陸路はソロモンが担当しました。
それらの資材は直接現場に運ばず、
建設予定地から少し離れた場所で形づくられ
現場では微調整をするだけでしたから
神殿建築の場所は、静かでゴミも出ませんでした。
*
神殿建築予定地はその昔神様の命により
アブラハムが息子イサクを捧げようと登ったあのモリヤの山です。*1
小高い丘をけずり
その土をダビデの建てたエルサレムとの間の谷に置きました。
神殿建築の作業で出た不要な石なぞも、そこの埋め立てに使いました。
そのおかげでエルサレムは今までよりもずっと大きく立派になりました。