「神様!
神殿建築を再開させてください。」
それは、 祈りのたびごとに、口をついて出る言葉だった。
すでに宮の建設は二年も中断していた。
ある日、預言者ハガイと、ゼカリヤは、
祈りの中で神様からのお言葉を頂いた。
「民を励ませ!
神殿建築を再開させるのだ!」
二人は、ぶるるっとみぶるいすると、
心を一つにして立ち上がった。
ユダとエルサレムにいる民は、
彼らの言葉に励まされて、力を得た。
静かだった建築現場は、瞬く間に活気にあふれた。
「やや!なんてことだ!
お前たちは誰の許可を得て工事を再開したのだ?!
代表者を出せ!」
川向こうの州知事タテナイとセタル・ボズナイと、
その同僚たちは、集団で建築現場にやってきて、
声を荒げて叫んだ。
しかし、それ以上の荒事に発展しなかったのは、
神様のご加護があったからでした。
彼らは諦めません。
「ダリヨス王様
ユダヤ人は宮の工事を再開しています。
誰の許可を得たのか?
責任者はだれだ?
と問うと、彼らの答えはこうでした。
ここには昔、我らの神の為の立派な神殿がありました。
しかし、我らは神様の律法に従わなかったために、
バビロンへ捕囚として連れさられ、
神殿は壊されました。
それから我らが悔い改めたので、
神様はバビロンをペルシャの手に渡されました。
ペルシャ王クロスの元年に、
王様はエルサレム神殿再建を許可されたのです。
その経過についての報告書は、
王の宝庫に保管されているはずだ、と言い張って譲りません。
どうか速やかにお調べいただき、
彼らの虚偽を暴いてください。」
王はすぐ部下に命じ、古文書を調べさせました。
すると、ペルシャ王の夏の宮殿のある、
メデヤ州の都エクバタナでその件に関する巻物が出てきました。
それはイスラエル人の主張したとおりでした。
「宮の工事は彼らに任せよ。
彼らの工事に異議を唱える者は、厳罰に処する。」
思いもよらない王の返書に、
タテナイやセタル・ボズナイたちはビックリ。
そのうえ、工事費は彼らの州から捻出せよですって。
藪をつついて蛇を出す。(こんな所で使っていいのかな?)
そんなわけで、彼らは王の命令に従わざるを得ませんでした。
わ~い!わ~!、ピヨピヨ、ピ~!
神殿は、ダリヨス王の時世6年目に完成しました。
見てください!
雄牛が100頭、雄羊200頭、小羊400頭。
土煙にかすみながらやってきます。
イスラエル12部族の罪祭のために、
雄ヤギ12頭も続いています。
祭は盛大に行なわれました。
それからユダヤ暦の1月14日には過ぎ越しの祭もしました。
あら、周辺の異邦の民も悔い改めて
イスラエルの神様を受け入れた人たちの姿も見えますね。
神殿での儀式は、モーセの律法の書に則って、
粛々と行なわれました。
これからも祭司たちは、それぞれに奉仕を分担しあって、
神殿で神様にお仕えするのです。
ほら、見えますでしょう。
預言者ハガイ様とゼカリヤ様。
夕日が当たって、燃え立つように輝いています。
クロス王、ダリヨス王、アルタシャスタ王を用いられたのです。
夕日に染まる神の宮は、一瞬キラリと眩い光りに包まれて、
静かに夜のとばりに沈んでゆきました。
宮の中では、祭司たちが喜びと感謝の歌を歌いながら、
奉仕をしているはずです。
『王の心は、主の手の内にあって、
水の流れのようだ。
主はみこころのままにこれを導かれる』
箴言21:1