ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

選んだ道は

シラに下る道にあるミロの家で、ユダの王ヨアシに止めを刺したのは、王の腹心だった。

それで、彼の息子アマジヤは、イスラエルの王ヨアシ在位2年目に、ユダの王となった。

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『父は子のゆえに殺されべきではない。
 子は父のゆえに殺されるべきではない。
 おのおの自分自身の罪のゆえに殺される
 べきである。』

アマジヤは律法の一節をつぶやいた。
そして、あのときの出来事が、つい今しがたのようによみがえってきた。

父ヨアシは、親代わりに育ててくれた、祭司エホヤダが亡くなり、心身ともに喪失していた。その心の隙間に、偶像礼拝を勧める者たちが集まりだしたのだ。

亡くなった祭司エホヤダの子ゼカリヤは、ダビデの道からそれようとするヨアシ王に勧告したが、その彼を嫌って、殺害するよう命を下したのは父ヨアシだった。

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祭司殺し!!

不満は民の中から沸き起こり、
熱烈なダビデ家支持者の側近が、
父、ヨアシの命を奪った。

その年の終わりに、父ヨアシの遺体が、ダビデの町に運ばれたが、王の墓には葬られなかった。
アマジヤは父の無念を思って泣いた。
必ずこの仇は晴らして見せますと誓いつつ、25歳で王冠を戴いたのだった。

アマジヤはユダ王国の回復に専念し、国が安定するのを待って、父の仇をとって誓いを果たした。

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ああ、何てことだ!!
父上、私もあなたと同じように、
熱烈なダビデ家支持者に命を狙われ、
今、ラキシに隠れ潜んでいます。
どうして私が・・・

アマジヤが給金を払ってイスラエルの勇士を雇ったとき、預言者は言った。

神はイスラエル人と共には居られない。彼らと一緒では負けます。

契約金は惜しかったが、アマジヤは預言者の言葉に従った。
預言者の言葉は正しかった。
ユダとベニヤミンの選び抜かれた兵士の働きは見ものだった。自国の兵士だけでエドム人に圧勝した。
素晴らしい!!

戦利品に偶像を加えたのは、兵士たちの強い要求によるものだった。
そんな私に預言者は声を荒げた。

「自分の国を守れなかった偶像を、
 なぜ持ち帰ったのだ!」

勝利に酔う私に、水をさした預言者に言ってやった。

「何だ!王に向かって説教か!
 誰がお前を私の顧問にしたか、
 命が無いと思え!」


「なんと情けないお言葉・・
 よいですか、神さまはこのことの故に
 あなたの命を短くされました!」

預言者は口惜しそうに言葉を吐き出すと、私の前から掻き消えた。
目の上のたんこぶ、とれて幸いだ!

お前の言葉に従ったばっかりに、イスラエルの兵士たちが暴れた。突然解雇されたことへの腹いせだと言っていたそうだ。
サマリヤからベテホロンの街道筋で、三千人もの平民が殺され、金品を奪われた。何てことだ。すでに給金も支払ってあったのにだ!

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勝利の喜びは、怒りに変わった。
いかにして落とし前を付けるか。
協議の末、満場一致で、イスラエルと戦うことに決定した。
「果たし状」を持った使者を派遣すると、

「はははぁ!!
宣戦布告だと!!
エドムに勝ったくらいで天狗になるな!
やめておけ、やめておけ。
火傷を負うのはそっちだぞ!
いや、お前だけなら良い。
苦しむのは民衆だ!」

国力も充実してきたイスラエルの王に、相手にもされなかった。
それがまた私の癇に触って、私は強引にベテシメシに軍を集結させた。
するとそれを知ってか、イスラエル軍はあっというまにそこに侵入してきて、勝敗はすぐについた。

どうした! 私の精兵たち!
私は捕まった。

彼らは私をエルサレムへと引っ張って行った。美しく夕日に輝く城壁をみた時は、思わず目頭が熱くなった。
そんな私の目の前で、これ見よがしに200メートルもの城壁を破壊した。

王宮で私の戒めは解かれたが、ヨアシ王は王宮と神殿の宝物を集めさせ、沢山の人質と共に、威風堂々とサマリヤへ帰って行った。

あのにっくきヨアシが亡くなり、今、北王国イスラエルでは息子ヤラベアムが王となって15年が経つ。

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どうやら、私の命運も尽きようとしている。
見つかったのだ。
エルサレムから派遣された者の足音が忍び寄ってくるのがわかる。

「王様、お命頂戴いたします。」

「お前たちは何者だ!」

「『主が神ならばそれにしたがへ!
バアルが神ならばそれにしたがへ!』
カルメル山で預言者エリヤが言った言葉だ!

王様、あなたはその一つを選ばれた。
それは滅びの道です。

ご安心ください。
ダビデ家の血筋は絶やしません!」


目の前を鋭く光りが横切った。
体が急に重くなって重心を失って、
制御不能の体。
それがゆっくりと傾いた。

「息子よ、父の二の舞を踏むな。
高慢になってはいけない。
偶像から離れ・・る・の・・」

アマジヤは必死に叫んだが、声にならなかった。ごぼごぼと湧き上がってくる真っ赤な血潮が口中に広がって溢れた。
彼の瞳孔が、ゆっくりと開いてゆく!

アマジヤ王はラキシで殺された。その遺体は馬でエルサレムに運ばれ、今、先祖たちと共にある。

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若き王の誕生だ。

アマジヤの息子、16歳のアザリヤ(ウジヤ)。
ユダの王だ!!