ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

俺にもひとこと言わせてくれ!

膝がしらが震えている。

声が少し上ずっていたかもしれない。

ぶっ倒れそうな緊張感に、心臓が爆発しそうだ。

 

初めは物陰に隠れるようにして、

ヨブと三人の友人の話に耳をそばだてていた。

彼らの言葉を聞き漏らすまいと凝視した。

それが、失望の苛立ちに変わったのだ。

自然と体が動いて、ずりずりと、彼らの前に出てきていた。

 

 

彼らの風貌はいかにも年配者づらをしていた。

日焼けして深く刻まれた皴の、

その一つ一つに、歴史を感じた。

窪んで奥深くに沈んだ、秘められた泉のような瞳が、

思慮深く彼を見つめた時など、

彼は卒倒しそうなほど感動したのだった。

だから今まで、

じっと我慢していられたのかもしれない。

 

だが、限界だ!

 

こんなはずではなかった!

あのヨブの、声高に主張する傲慢な鼻を、へし折ってくれる者は居ないのか!

気付けば袖口を引き裂かんばかりに噛んでいた。

 沸々と内側から沸き起こってくるこれは?

 

これは、義憤だ!!

 

彼は湧き上がるそれに対して言った。

 

つややかに張り出した額と、そこにかかる前髪。

混じりっ気のない真っ白な白目と、

くっきりと澄み切った瞳が、濡れたように光っていた。

時折、ほとばしりそうになる言葉を抑えようと、

かみしめる唇は、細いが張りがあって、赤かった。

(どんな顔になるんだか?)

 

f:id:pypyhiyoko:20160226223102j:plain

彼の名はエリフ。

両手、両足を広げて立つと、風が袖を揺らし、

大空をゆったりとまい飛ぶ大鷲のような気がしてきた。

彼は高揚した心のまま、ヨブにいった。

 

   ヨブよ!

   あなたはずっと「無実を主張し続けた」

          「神は不公平だ」とも言った。

          「仲保者が必要だ」と叫んだ。

   止めたまえ!神様を悪者にするのは。

   私が神とあなたとの間を取りもとう。

   私は、あなたの三人の友人のように、

   無暗にあなたを責めたりはしない。

  

   神様は愛するものを鞭打たれるのだ。

   正しい道を示し、

   神様のもとに導いておられるのだ。

 

エリフは、自然界のさまざまな現象を上げて、

全能の神様を表そうと試みた。

 

   雨や雪や雷、空を縦横無尽に駆け巡る稲妻、

   動物たちの営み、

   海の様、山の様子。

   それら一つ一つに、神様のお心が働いているのだ。

 

そうなのだ、神様は素晴らしい!

胸が熱くなって言葉が途切れた。

土ぼこりにまみれたほほに、何かがつたって落ちた。

語れば語るほど、神様の偉大さに圧倒され、

自分の内も外も、あらゆるものにかかわりを持たれるお方の

その御手の中にいる自分におののいた。

 

   あ!!

 

突然、激しいつむじ風が沸き起こった。

エリフはよろよろと体をもてあそばれて、

赤い土ぼこりの中に倒れこんだ。