エリヤさんはこのところ超多忙。
預言者学校の引継ぎ、
預言者仲間にエリシャの紹介。
その合間に色々な人からの相談やら何やらで、
寝る間もないほどです。🐤ぴよ!
久しぶりに暇ができて、私は窓辺に置かれた、古びた小さなテーブルの前の椅子に腰かけた。涼やかな風が私の気持ちをほぐしていく。
それにしても、エリシャはよくついてくるものだ。いつ根を上げるかと思っていたが、最近は目つきが変わって来たなぁ。
「神様、感謝します。」
瞼が急に重くなってきた。💤ギルガル、それが私の生まれ故郷だ。その昔、モーセの後を継いだヨシュアの一行は、ヨルダン川をはさんで、目の前に広がる約束の地を見た。すでに贈与の地は支族ごとに決まっていた。
しかし、私の先祖は、神から賜るはずだった約束の地を蹴ったのだ。
理由は、家畜に適した地、ギルガルが気にいったからだ。(⋈◍>◡<◍)。✧♡
麗しい地ではあったが、同族とは川で隔てられた。そのため、常に周辺諸国の脅威にさらされることになり、イスラエルの心配の種ともなった。そんな不信仰の支族にもかかわらず、神様は私を心にかけて下さり、預言者としての訓練を、荒野でうけさせてくださった。厳しかった。
だが、先祖の汚名返上のため、全力で主にお仕えしようと、若かった私は誓い、苦しい訓練にも耐え抜いたのだ。
そんな訓練を私が積んでいたころ、イスラエルの王アハブは、バアル、アシュラ信仰の盛んな地から、妻をめとった。名はイゼベルといった。
結婚と共に偶像も持ち込み、王は積極的に宮を建て、祭壇を築いた。
これに神様は怒られたのだ。
私が、荒野から王のもとに遣わされ、神の怒りがどんなに激しいかを、3年6か月もの異常気象で示したのだ。
その時、私はケリテ川で鳥に養われ、川が枯れると、べテルへと導かれた。
べテル?
イゼベルの出身地ではないか!バアル、アシュラ礼拝の本拠地ではないか!その地も神の怒りに干上がっていて、
緑のかけた世界が広がっていた。
そこに、やせ細った寡婦とその子供がいて、彼らを助けた。
そして、私は3年も、やもめの家に滞在した。🏠
私はアハブ王の元へ遣わされた。👣
イスラエルがとんでもないことになっていたのだ。
イゼベルはバアルの預言者450人を養い、次々と真の神の預言者を迫害していた。それを聞いて、👂 見て、👀
私の心に沸々と怒りが込み上げてきた。(# ゚Д゚)
私の後ろには、常に真の神様の存在があったので、私は王の前でも恐れはなく、大胆に語ることができた。
「カルメル山で対決だ!どちらの神が雨を降らせるか!」☂
バアルの預言者450人対、私一人でだ。
そして、それは私エリヤの劇的な勝利で終わった。
それを知った民衆は、狂喜乱舞した。その勢いに乗って、ずぶ濡れの中、バアルの預言者たちを倒したのだった。
しかし、それを知ったイゼベルの言葉に、私は臆した。
「エリヤを殺せ!その仲間もだ!」
疲れ果てた私に、その言葉は稲妻よりも恐ろしく、胃が痙攣を起こしたほどだった。あれほどまでに強烈に、神様の力をこの身を通して表してくださったのに、あの時、私はどうしたというのだろうか。
勝利の言葉に舞い上がり、己の力でしたかのように錯覚してしまったのか。
今、思い起こしても身震いがする。
40日40夜の長旅。
それは、ただ、ただ、神様の哀れみだった。
強行のはずなのに、私はあまり覚えていないのだ。ただ何者かに引きずられるようにして、歩いていたように思うのだ。(・・?疲れて倒れそうになる私を、
そうだ!確かに!
温もりのある逞しい腕を・・ああ、はっきり思い出せない!!💦
気付けば、偉大なモーセが十戒を頂いた、ホレブ山の山頂近くの洞穴の中にいて、激しい落雷と風の音に目が覚めたのだ。
嵐の中であの方の声が聞こえて、慌てて入り口近くまで這いだすと、
「お前はなにをしているのか?」
と言われた。
「イゼベルが報復として、あなた様の預言者を全滅させ、私一人が逃れて、ここにいます」
と私が言うと、
「ハザエル、エヒウ、エリシャの他にも7000人もいるではないか」
と神様は言われた。
その言葉に私はハッとして、泣いた。( ;∀;)
孤軍奮闘だと思っていたのは自分の傲慢だった。私の気負った心がすっと無くなった。
エリヤの首が、かくんと揺れて、目の前の小さなテーブルに倒れ込んだ。
今やアハブ王は戦死し、息子アハジヤが王となった。その彼も亡くなり、弟のヨラムが王となった。オムリ王朝の終焉は近い。
一陣の風が、小さな窓の戸をカタカタと鳴らした。
「うっ」
私は体をもたげ、コリコリと首を回した。寝ていたのか。夢を見ていたのか。両手のこぶしを上にあげながら、
腹の底からこみあげてくるものを、椅子の背に背骨をゴリゴリ押し付けながら、💺
「ゥ、う~ん」
と吐き出すと、心配そうなエリシャの顔が窓越しにあって、目が合った。👀
私は言った。
「主が私をべテルに遣わされた。お前はここに留まっていなさい」
突然の私の言葉に、エリシャの顔が真っ赤になって、窓枠にかぶりついてきた。
風が吹いて、エリシャの荒い息遣いが耳元に届いた。
私はそれで満足した。