ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

古き衣を脱ぎ捨てて・・ (イザヤ書6)

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 ヒゼキヤ王が亡くなった。

 

その時、彼の息子マナセは12歳だった。

人々が父の業績をほめたたえ、

その死を惜しんだ。

父ヒゼキヤが王となった時、

国は無秩序に満ちていた。

そして、

アッシリヤの脅威に慄きながら、

重税に苦しんでいた。

若き父ヒゼキヤは大改革を行った。

満ち溢れている偶像を排斥し、

閉ざされていたイスラエルの神の神殿を清め、

神殿礼拝を復活させた。

アッシリヤの大群に囲まれながら、

城壁を補強し、

水道を設け、

軍を強化した。

大病に見舞われながら、

延命が許され、

太陽が10度退いた。

天使の助けにより、

大群を追い返したこともあった。

父の業績を思い返し、

耳にするごとに、

若いマナセは無力さに呻いた。

王冠がずっしりと重くのしかかった。

そうして、

父への思いが、

時を待たずして苦々しさに変わった。。

 

俺は真逆をやる。

 

父の側近だった部下を次々と遠ざけた。

彼は精力的に指示を出し続けた。

父が壊して谷底に落とした

偶像たちを掘り起こしたり、

新しく作ったりした。

イスラエルの神の神殿の庭に

偶像の神々の祭壇を置いた。

挙句に自分の子供まで、

偶像の供え物とした。

そんな彼にとって、

臆することなく苦言を呈し続ける、

かくしゃくとしたイザヤが目障りだった。

彼マナセは王の権威を振りかざして、

偶像礼拝をイザヤに度々強要した。

しかしイザヤは、

それらを無視し続けた。

そればかりか、

彼の言葉はますます冴えて鋭く、

マナセに迫った。

 

イザヤは身辺整理を始めた。

預言者学校のこと、

同僚とのこと、

家族のこと。

特に二人の息子の将来が気がかりだった。

あれこれと思い煩って、

彼は苦笑した。

すべて神様のお導きのままに、

そう決めたとき、

すっと心が軽くなった。

妻には感謝している。

子供のことも家のこともすべて彼女任せだった。

よくやってくれた。

ある日、彼女にそう言うと、

艶の失せた頬が緩み、

唇をかすかにふるわせて、

うつむいた。

そして、

ほろりと涙がこぼれたのを見た。

イザヤはいとおしさに胸が痛んだ。

それ以上の言葉が見つからず、

彼女の細い肩を抱き寄せた。

 

イザヤの骨ばった手が妻の肩に触れた。

 痩せて骨ばった肩だった。

過ぎ去った歳月が、二人の容姿を変えた。

見つめあう二人の瞳の奥に、

磨き上げられた、

美しい信仰の確信が、

神様のお言葉が、しっかりと刻まれていた。

 

  恐れてはならない、

  わたしはあなたと共にいる。

  驚いてはならない、

  わたしはあなたの神である。

  わたしはあなたを強くし、

  あなたを助け、

  わが勝利の右の手をもって、

  あなたをささえる。41:10

 

 

身辺整理も一息ついたころ、

イザヤの心は

主の言葉に益々満たされていった。

鍛え抜かれた彼の声は、

若者のように澄んで張りがあり、

聞きやすくて、遠くまで響いた。

人々は新王マナセを恐れ、

以前のように表立って

イザヤの言葉に集まってこなかったが、

家の中で、

農作業の傍らで、

じっと耳を傾けていた。

 

王マナセは切れた。

  若いからといって私を無視するのか!

  私は王だ。

  命令一つで何でもできる。

  よし、

  イザヤを捕まえろ!

  見せしめだ。

 

王からの使者が突然、

家の中になだれ込んできて、

彼を荒縄で縛った。

家には彼一人だけだった。

イザヤはそれでよかったっと思った。

 

 王マナセは命令した。

 

  会衆を集めろ!

  あの男を板の間に挟み、

  のこぎりでひき殺せ!

 

額に青筋を立てて王マナセは叫んだ!

 

集められた群衆は

イザヤを惜しんで悲鳴を上げた。

失神する者まで現れた。

むごい刑だった。

 

イザヤは、二枚の板に挟まれていた。

荒縄が彼と板とをがっしりとらえ、

呼吸さえ辛かった。

そして、それは、

会衆によく見える台上に置かれていた。

上向きに寝かされた顔に、

太陽がまぶしかった。

 

イザヤは日々の祈りの中で、

イスラエルの未来がはっきりと見えていた。

 アッシリヤの魔の手は確実に迫っていた。

民は捕囚となり異国の地に連れ去られる。

そして約束の地には異邦人が住み着くのだ。

若いマナセ王はそれがわかっているのか?

あれほど口を酸っぱくして言いつのったのに、

父君とは別の道を驀進している。

神様イスラエルを憐れんでください。

 

神様はイザヤに語りかけた。

  捕囚の民はペルシャのクロス王によって

  バビロンから解放する。

  解放されて、

  約束の地に戻ってくる。

   

   『主にあがなわれた者は帰ってきて、

    その頭に、とこしえの喜びをいただき、

    歌うたいつつ、シオンに来る。

    彼らは楽しみと喜びとを得、

    悲しみと嘆きとは逃げ去る。』35:10

 

  しかし、

  それはただの助走に過ぎない。

  本当の救いはこれからだ。

  私との契約を破った民。

  聖なる私は、それを許すことができない。

  だから、

  その罪を一手に負って

  帳消しにする者を私は送ろう。

  私の一人子、イエスキリストだ。

  その時にはイスラエルの民だけでなく、

  諸国民が救い主を受け入れるようになる。

 

イザヤは言う

われらの神は偉大だ。

無から有を生み出された神。

その神様がイスラエルを選ばれた。

われらの不信仰の罪にもかかわらず、

ご自身が選ばれた民をいつくしみ続けられた。

 

  『草は枯れ、花はしぼむ。

   しかし、我々の神の言葉は

   とこしえにかわることはない。』40:8

 

  『年若い者も弱り、かつ疲れ、

   壮年の者も疲れはてて倒れる。

   しかし主を待ち望む者は新たなる力を得、

   わしのように翼をはって、

   のぼることができる。

   走っても疲れることなく、

   歩いても弱ることはない。』

           40:30,31

 

   『主はわれわれのさばき主、

    主はわれわれのつかさ、

    主はわれわれの王であって、

    われわれを救われる。』

              33:22

 

ゴリ!

 

のこぎりが板を切り始めた。   

 

と、

 

今までまぶしかった太陽の光が和らいで、

イザヤは天から差し伸べられる確かな手を見た。

澄み渡った青い空のかなたがするすると開いて、

純白に輝く幾千万の聖徒たちの姿が見えた。

大歓声が沸き上がった。

ひときわ輝く光の中から、

その手は差し伸べられていて、

イザヤをすっぽりと包み込んでいた。

 

ゴリ、ゴリ。

 

板の切れる音がスポッと止んで、

古き衣が引き裂かれ始めたとき、

彼の体は軽くなって解き放たれた。

 

自由になったイザヤは

聖徒たちと同じ純白の衣を

まとっていた。

裳裾をひらひらと揺らめかせながら、

待ちわびた故郷へ

虹色に輝く雲に囲まれて

天高く吸い込まれていった。

その姿は集まった群衆には見えなかった。

 死刑執行人はのこぎりを動かし続けた。

 

 『わたしは主を大いに喜び、

  わが魂はわが神を楽しむ。

  主がわたしに救いの衣を着せ、

  義の上衣をまとわせて、

  花婿が冠をいただき、

  花嫁が宝玉をもって飾るようにされた。』

                 61:10

 

 『わたしは主がわれわれになされた

  すべてのことによって、

  主のいつくしみと、主の誉れとを語り告げ、

  また、そのあわれみにより、

  その多くのいつくしみによって、

  イスラエルの家に施された

  その大いなる恵みを語り告げよう。』

                  63:7

 

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イザヤの死は、

ユダヤの伝承によればマナセ王によってなされたそうで、

それを参考にしました。

 

長らくお休みしていたブログ。

中断していたイザヤ書も何とか終わりました。

世間ではコロナで大変なことになっていますが、

三密を避け、手洗いうがい、

とにかく気を付けてゆきましょう。