ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

アモス、北上す!

日はまだ昇っていない。東の空が明るみ、かすみがかった雲がそこにはあった。

穏やかな日になりそうだ。着た切り雀のマントが今日は綺麗に整えられていた。

私が誰であるかは一目瞭然で、手になじんだ羊飼いの杖が雄弁に物語っていた。

昨日まで、ユダのテコアの草原で羊を飼い、いちじく桑を栽培していた。

栽培には適していない土地だったが、私は工夫して、栽培にこぎつけたのだ。私の自慢だ。

 あの日も、駆けずり回って働いて、うっすらと冷える空気の中、あおむけになって空を仰げば、満天の星が瞬いていた。いつもの夜空だった。

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あ!!ああああ・・・・

大きな光の塊が私に向ってきた。その勢いは凄まじく、激しい振動が私の鼓膜をびりびり反応させた。瞼を閉じ、両手て顔を覆ったが、その光は容赦なく私の目を射った。私は顔を地面に押し付けた。体験したことのない恐怖が沸き起こった。震えが止まらない体に、がちがちと歯が共鳴した。すると、私の頭の芯に響く言葉があった。

おまえは北イスラエルへ行って預言をするのだ。

 エリヤやエリシャのように、

いやそれ以上に厳しい言葉で、

彼らの罪を指摘し、

王国それ自体の滅亡を預言するのだ。

今まで誰も語ったことのない激しさで、

支配層と祭儀を非難するのだ。

時は迫っている!

 

預言者エリヤは知っている。エリシャはその弟子だ。大魚にのまれたヨナの話は有名だ。不貞の妻を迎えた預言者ホセアのことは、世間の耳目をかきたたせている。締め付けられるような頭痛。頭を抱えてひっくり返った。でもそれは一瞬。すぐに痛みは去った。

恐る恐る目を開けると、あの激しい閃光は、穏やかな淡い光にかわっていた。私アモスは勇気をもって内言した。

あなたはどなたですが?私のような一介の羊飼にそのような大それたことが語れましょうか?

私はイスラエルを選び、契約を結んだ神だ。語るべき言葉はその都度私が与えよう。

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 その日を境に、夜空を仰ぐごとに、天の声が私に語りかけてきた。イスラエルの歴史が走馬灯のように現れた。それは子供のころ、親から寝物語に聞かされたものだった。

天地を創造された神は、 遊牧民アブラハムを選ばれた。神は彼に約束した。

 

「私を信じて従えば祝福しよう。約束の地を与えよう」

 

それから、アブラハムは激しい飢餓にみまわれ、約70人ほどの身内を引き連れて、エジプトに避難した。歳月が過ぎさってみれば奴隷の身になっていた。指導者モーセが立てられ、出エジプトを果たした。その時の人口が約300万人。驚きだ!祝福だ!

しかし、

不信仰のゆえに、シナイ砂漠で40年間放浪を余儀なくされた。その間、十戒と幕屋を授かった。彼らは神の約束を信じ、勇ましく戦って、約束の地カナンに定住できた。周辺諸国に倣って王政が始まった。

サウル、ダビデ、ソロモンと代を重ねて、イスラエルは後継者争いで南北に分裂した。

レハベアムは南ユダ王国の王。首都はエルサレム。ヤロブアムはイスラエル王国の王。首都はサマリヤ。サマリヤとべテルに金の子牛を置いて礼拝を奨励した。

 

今の時代は、北はヤロブアム2世、南はウジヤ王が支配していた。両国ともに繁栄していた。偉大なダビデ王の時の領土を取り戻し、栄華を極めたソロモン王の時代に戻ったようだった。北方のアッシリアも南方のエジプトもまだ力がなかった。周辺国との政略結婚を繰り返し、それに伴って異国の神々がついてきた。

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行け!

私との契約を破った民。

悔いることも改めることもしない民の所へ。

私が下そうとする判決を伝えるのだ。

彼らの目を覚まさせよ!

私は彼らを罰する。

 恐れるな!私がともにいる。

行け!イスラエルへ!

ホセアもわたしが北に遣わした者だ。

 

アモスは悩んだすえに家族にそのことを告げると、皆驚き恐れた。それでも祈って私を送り出してくれた。心強かった。べテルまで約35キロ。徒歩で7時間ほどの行程だ。私の足なら、ゆとりをもって昼前には着くだろう。私を先導するかのように 、握りしめた羊飼いの杖が勢いよく振り下ろされた。(7時間はかかるのでは?iいや、もっとか?)