「アモス、北上す!」を登録してから、
🐤ビックリ ( ゚Д゚)!!
7時間で?
ゆとりで?着くって!?⌚
それは直線での話。
山坂超えてゆくわけだから、
倍は・・いやいやもっと、
もっとかかるんでは?
私アモスは、テコアの坂道を下りながら
ふと首都エルサレムによってから、
テコアに行こうと思い立った。
あの大きな地震の起こる二年前の話だ。
エルサレムへの道はきれいに整備されていて、
通行人も多く、安全だった。
土埃にまみれながら
丘の上に立つと、
エルサレムを囲むようにオリーブ畑が広がっていた。
その常緑樹の緑が額縁のようになって
赤茶けた日干し煉瓦の家々を浮き立たせていた。
そして、それらを凌駕して、
目に飛び込んできたのは、
まぶし輝く神殿だった。
す、素晴らし!
やはりエルサレムに来て正解だった。
神様のお住まいと呼ぶにふさわしい建物だ。
我知らず膝まづいて
こみあげてくる感動をかみしめ、
神様を賛美していた。
ここは我ら民族にとって大切な場所。
昔、祭司メルキゼデクが住んでいた場所。
アブラハムも住んだ場所で、
息子イサクをささげた場所。
ダビデ王が首都とした場所。
そして、
息子ソロモン王が父の悲願であった、
あの神殿を建てたのだ。
「砂の民(定まった家のない人々)」
とさげすまれたが、
神様の憐みを受けて、
輝く神殿を持つ王国になったのだ。
私は使い古されたマントに身を包みながらも、
誇らしさに背筋が伸びた。
昼間はエルサレムの街中を、
ぶらりと歩きまわりながら、
そんなことを思いめぐらしていた。
行き交う人は一様に朗らかで、
食べ物はうまく、
衣食住に満ち足りているようにみえた。
その夜、私は、
きらめく星の下で野宿した。
田舎から出てきた私には、
喧騒に満ちた華やかな街中は、
気持ちが落ち着かなかった。
疲れた。。。。
めまいがするほどに・・・
ごろりと横になり、星空を眺めた。
創造主をほめたたえるしかない。
うつくし!!
腕を枕に、
私はうたた寝をしていたようだった。
昼間見た街の景色がちらついた。
着飾った婦人たちが、
しゃなりしゃなりと近づいてくる。
息が詰まる!
たじたじと焦っていると、
赤い火柱が立って
陽炎のように景色がゆらゆら揺れた。
女たちが恐怖に顔をゆがめ、
何か叫びながら、
逃げまどっている姿に変わった。
あ!
神殿が音立てて崩れた!
わあっ!!と、Σ(・□・;)
驚くほどの声を上げて、私は飛び起きた。
心臓がバクバクとあえいで、
冷え切った体が、肩で息をしていた。
アモス、
北イスラエルもこのようになる。
べテルは「私(神)の家」という意味だ。
アブラハムが祭壇を作り、
ヤコブと契約を交わした場所だ。
その記念すべき場所で、
初代の王ヤロブアムは
金の子牛礼拝を私の民に押し付けた。
彼は祭司のまねごとをして祭壇で香をたいた。
私はべテルに人を使わして預言させた。
『異教に染まった祭司は殺され、
その骨は祭壇で燃やされる』、と。
ゆらゆらと大気がゆれて、
気持ちが悪くなるほどの睡魔が私を襲った。
気がつけば、
太陽が地平線に頭を覗かせていた。
私は慌てて立ち上がり、
マントに着いた埃をばたばたと払った。
乾いて粉のようになった土埃が、
うっすらと色を付けて舞った。
う、ゴホン、ゴホン!
乾いた喉がむせた。
疲れはすっかり取れていた。
腰ひもをきりりと絞めて結んで、
杖を手に取ると、
足は自然と前に進んだ。
聳え立つ神殿は、
朝の光の中に溶け込んで、
私の後ろで霞んで、
地平線の向こうにずんずんと隠れて行った。
私はそれを惜しみながら、
何度も何度も振り返って、
その姿を目に焼き付けた。
心地よく歩幅を重ねる私に、
振り子のように杖が呼応した。
いざべテルへ!
べテルに着いたら、
ホセアの家に行こう。
私の手紙がすでに届いているはずだ。
色々問題がありそうだが、
同労者に会うことは励みになる。
私はそう思ったのだ。