ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

薄明光線に魅せられて…

ホセアの家はすぐ見つかった。

ドアをたたくと、

出てきたのはホセアだった。

若い、偉丈夫だ!!

彼は私の顔を見て大層喜んで、

部屋に招き入れてくれた。

ひっそりとした部屋だ。

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これはエルサレム

買ったんだ。

売り子が保証した旨さだ。

実は私も食べてきた。

旨かった。

きっと気に入ると思うよ。

 

私は小さな土産物を彼に渡した。

 

やあ、ありがとう。

楽しみだな。

妻は今外出していて、

お茶ぐらいしか出せなくて

済まない。

 

いやなに、

君の顔を見たかったんだ。

昼餉はすでに済ませているし、

気にしないでくれ。

 

ホセアはそばのテーブルに私を誘い、

椅子をすすめ、茶をすすめた。

 乾いたのどには極上の飲み物だった。

ホセアはそんな私を見ながら、

空になったコップに、

二杯目のお茶を注いでくれた。

 

ところで何か用事があったのでは?

 

羊飼いは年がら年中、

羊の世話に追われているはずだし、

私の手紙にはべテル行の要件については、

触れていなかったので、

ホセアは興味深げき尋ねた。

 

ゴク。。

 

喉がなった。

お茶が喉元を流れ落ちてゆくのがわかった。

私はゆっくりと、

コップをテーブルの上に置いた。

しばらくコップを見つめていると、

ホセアのイスがミシっと音を立てた。

せかされたような気がして、

私はコップから手を放し、

膝の上でこぶしを作った。

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じつは・・・

 

と、私が神様から託された言葉を告げると、

目を見開いて驚きながら、

何度も相槌をうって聞き入っていた。

 

やはりこの国の未来は・・

神様も痺れを切らされたんだ。

 私の結婚話は、

ホセアさんあなたも知っての通りだ。

しかし、神様のご命令とはいえ、

私は・・・

 

ホセアは目を潤ませて顔を伏せた。

私より年若い彼の心情を思うと、

私も胸が震えた。

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確かに神の民とは名ばかりだ。

今の堕落した民を制裁し、

目を覚まさせて、

今一度、

シナイ山で交わされた契約を、

守られたいと神様は願っておられる。

膿を出さなければ。

回復はないのだ。

どんなことが起ころうと、

神様から目を離さずいることだ。

あなたは特別に選ばれた。

あなたの今の苦しみ葛藤こそ、

我らの民を、

愛してやまない神様のお心・・

 

話す言葉が空しくなって、

思わずホセアの手を握り締めていた。

その手の甲に、

ぽたぽたと二人の涙が重なった。

それから共に祈り続けて、時が過ぎ、

感謝と確信に変わったころ、

気付けば、日が傾いていた。

 

私は席を立った。

ホセアは

泊まってゆくようにと勧めてくれたが、

自然の中で神様と交わりたいからと言うと、

強いて勧めなかった。

そして近くにある、

自分がよく使う祈りの場所を教えてくれた。

 

アモスさん、

私を訪ねてくださってありがとう。

祈りの友がいることは、

なんと心強いことか。

私は私に与えられたこの状況を感謝して、

今を精一杯生きるだけです。

今日はあなたに会って確信が持てました。

 

いやいや、私もです。

のんびりと羊を飼うしか能がなかった私を、

神様が預言者としてお用いになるなんて

考えもしなかったこと。

これからも連絡を密にしてゆきましょう。

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ホセアは裏山の登り口まで案内してくれた。

 「明日の朝食は食べて行ってください。用意しておきますから。」

私はホセアの言葉にうなずきながら、

目の前の穏やかな小道の坂を登った。

ホセアは私が角を曲がり切るまで

見送ってくれた。

 

 

ほどなくパット視界が開けた。

私が雲に囲まれた夕日を眺めていると、

天に向かってほとばしる薄明光線が、

扇のように美しく広がった。

ああ、その昔、

先祖ヤコブは天から降り注ぐ光の中で、

祝福を求めて天使と格闘し、

イスラエルと名を変えた。

 

よし、今夜は祈るぞ!

 

左手で右手のこぶしを包み込みながら

力を込めた。

落日は思ったよりも速く、

瞬く間に夕闇が襲ってきた。

振り返れば

ホセア使用の小さなくぼ地があって、

葉の少ない低木がその前にあった。

なるほどこれはいい。

私は木の枝を避けながら、

自分のマントを広げその上に腰を下ろした。

明日はべテルの街中を歩いてみよう。

 

すでに黒雲は天蓋を覆いつくし、

星一つ見えなくなった。

マントを引き寄せると、

瞼が重くなり、

私はすぐに寝入ってしまった。

ついさっき、

ヤコブのごとく祈ろうと気負ったのに、

我ながら笑ってしまう。

 

しかしその夜、

私は恐ろしさに震え上がることになったのだ。