ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

英雄エフタの宝物は・・

エフタは家の門をくぐるまで娘の姿を捉えることはなかった。人々が押し掛ける中、恥ずかしがって出てこれないのかもしれないな。そう思って家の玄関に目をやった。

アッ!! 娘が!笑顔で!鼓を手に!

軽やかに舞い踊りながら飛び出してきた!

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その時だった。エフタの鼓膜を張り裂けんばかりの轟音が襲った。

あぁぁ!Σ(・□・;)

思わず唇から声が漏れて、それを抑えようと口に手を押し当てて、彼の足は止まった。大きく見開かれた目は、怖れ慄いているように見えた。エフタは意味の分からない声を張り上げながら、ビリビリと衣を引き裂いた。それからどうやって家に入ったのか。覚えていない。ただ屋内に響き渡る家畜の鳴き声が虚しかった。🐐

家の前に集まった会衆はあっけにとられ、何が何だかわからぬまま、見てはいけないものを見てしまったような後味の悪さを胸に、こそこそと散っていった。エフタは一人部屋にこもって呻いていた。

 「バカな・・どうかしている!こんなことになるのなら、王になんか、、ああ!意味がない!自分を苦しめた者を見返してやろうなどと・・ああ!なんという愚か者めが!!」

エフタはキリキリ痛む胃を取り出して、ずたずたにしたかった。こんなバカな父親の頭をぶち壊したかった。床にガンガンと握りこぶしと額を打ち付けて泣いた。

どのくらい経ったのだろうか、エフタは叫び疲れて暗い部屋の中でうずくまっていた。

そんな部屋の戸がおずおずと動いた。心配にふるえる娘の声にエフタは顔を上げた。部屋に差し込む明かりの中で娘の父親は顔を上げた。

「まあ!」

エフタの両手と額に血が滲んでいた。

驚く娘の声を聞いて、とっさに彼は背を向けて言った。

「心配かけてすまないな。お父さんはどうかしているよ。顔を洗ったら話があるから・・」

 

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その日、初めて二人は向かい合って座った。

向かい合ったものの、言葉がエフタの唇に上ってこなかった。鼻の奥がツゥンと痛くなり、喉の奥から嗚咽が飛び出してきそうだった。 エフタは唇をかみしめてそれを押しとどめていた。

娘はそんな父親の姿を一度も見たこともなかったので、何か重大な秘め事を話そうとして苦しんでいる父親を、ただじっと見つめているしかなかった。

「娘よ、許してくれ。今回の戦を始める前に、私は神様に誓ったのだ。『この戦に勝利させてくださった暁には、私の家から、最初に私を迎えに出た者を、あなたの捧げものとしてお捧げします』とな」

エフタは机に押し付けるように頭を下げた。

沈黙が続いた。エフタは目を閉じていた。その彼の耳に娘の落ち着いた声が聞こえてきた。

「お父様、どうか頭を上げてください」

娘の顔は青ざめていたが、言葉はしっかりしていた。

「神様は祈りにお答えくださって、アンモン人を撃退なさったのです。この素晴らしい勝利を喜び、神様を崇めましょう。そして約束は守りましょう」

娘は机の上で両指を組んだ。

「ですがお父さま、友達とお別れをするため、 二か月間の猶予をください」

エフタは首を何度も振りながら言った。

「ああいいとも。行くがよい」


二か月後、エフタの愛娘は約束を守って、父のもとに帰ってきた。一緒に戻ってきた娘たちの中で、その顔は晴れ晴れとして明るかった。そして別れの日はあっという間にやってきた。

「お父様、お体に気をつけて。神様が共にいてくださるのですから、恐れることなく大胆に、与えられた責務を果たしてください。私も、身も心も神様にお捧げして、神殿でのご奉仕を全ういたします。神様のおそば近くにおつかえできるのですから、心配しないでください」

けなげな娘の言葉に、涙が滂沱として流れ落ちるエフタは、ただ肩を震わせ、唇をわななかせるだけだった。😿

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エフタは6年間イスラエルを裁いた。

エフタの娘はその後、祭司エリのもとに引き取られた幼いサムエルと、神殿のどこかで出会っていたかも・・・・・かも・・ですが・・🐤ピヨ!

エフタの奥さん出てきませんねぇ~。奥に隠れているのか?亡くなられたのか?父子家庭だったとしたら、男手ひとつで育てた一粒種の娘だったら・・😿