エルサレムが滅びる直前。
完全に包囲された城内はすでに食料も尽き、悲惨な状態だった。
そのような中で王ゼデキヤとエレミヤは密かに会った。
親エジプト派の高官にその内容を聞かれたら大変だ。
王もエルサレムの危機が近いことを肌身に感じていた。
だから、エレミヤを、エレミヤの信じる神を頼ったのだろう。
主の宮の第三の門にエレミヤは立っていた。しばらくすると、王が柱の陰から姿を現したので、彼は臆することなく近づいて行った。
「よく来たな。お前に訪ねたいことがある。以前から『バビロンに降伏せよ』と言っていたが、今もそれは変わらないのか?」
エレミヤは王から一歩退いて、目を伏せた。
「心配するな。お前が何を語ろうと、私はお前を罰しない。包み隠さず話すのだ」
王はエレミヤの心配を察して言った。それでエレミヤは顔を上げ、王の目を見て言った。
「神様からのお言葉は変わっていません。降伏こそが助かる道です。残された時間は迫っています。早くご決断なさることです」
王の唇が微かに震えた。
「そうか・・・。そうなのか。判っているが、私は恐れているのだ。バビロンへ行けば、先に捕虜になった親バビロン派の者たちに何をされるか・・。彼らは私の政策に猛反対いだったからな」
額の皺をいっそう深く刻んで、王は力なく目をそらした。
「王様、神様に従うことです。神様があなた様を守られます」
その言葉に、瞼をしばたたせた王の目は潤んでいるように見えた。
コトッ! かすかな音。
王はびくっと体を固くして、すっとエレミヤの耳元に顔を近づけた。
「今のことは誰にも話すな。誰かにこの内容を聞かれたら、「ヨナタンの牢に戻されたら、死んでしまうので王様に嘆願した」と言うのだ」
王は耳元でささやくと、衣を翻してそそくさと立ち去った。。
結局、徹底抗戦を叫ぶ部下たちを恐れて王は決断できず、在位11年目の4月、ついにエルサレムの城壁が破られた。
人の居なくなった王の庭。そこに、力なくうずくまるエレミヤが一人いた。虚しさが覆いかぶさって、苦しかった。
王と王を守る兵士は、夜陰にまぎれて逃げた。王の庭園の道を通って、二つの城壁の間の門から町へ出た。そしてアラバの方角へ向かった。
しかし、そこに至る途中のエリコの平地で、追っ手に捕まった。王を守るべき兵士たちは恐れて散り散りになり、何の助けにもならなかった。
王ゼデキヤは見捨てられたのだ。😿
王とその家族は、ハマテの地リブラにいるバビロンの王ネブカドネザルのもとに引いていかれた。南ユダの最後の王、ゼデキヤの最後は悲惨だった。
どう悲惨かって・・・おっしゃるのですね。
列王記下25章にその過程が書かれています。
興味のある方は ↓ を開いてみてください。
文字数が多いので申し訳ありません。
ゼデキヤ王の記事は、「ユリ」と「猫」の写真の間からです。
「歴代志」の登録最後にも少し触れています。