数日前から、
彼女はこんな情景が来るような気がして眠れなかった・・
そして今日、
男たちが出かけた後の間の抜けたようなテントに
ドカドカと、兵隊が詰め掛けてきた。 (゚Д゚|||) il
夫は勇敢な兵士だった。
それは、彼女の誇りであり
父を見つめる子どもたちの憧れであり
年老いて生まれた子を思う祖父カルミの生きがいだった。
つい先日、イスラエルの兵士、約3000人が
意気揚々と攻め込んだアイへの戦略は
ことごとく失敗に終わり
36人以上の死傷者を出してしまった。
この知らせを、手負いの兵士から聞いたヨシュアは、
椅子を蹴倒して立ち上がり
ビリビリと着ていた衣を裂き、主の前にうずくまった。
長老たちも、それぞれの衣を引きちぎって灰をかぶり
主の天幕の前にひれ伏した。
ヨシュアは声を張り上げた。
「神さまぁ〜、
私たちを、アモリ人の手に何ゆえ渡されるのですか・・
何ゆえ、ヨルダン川を渡らせたのですか・・
あなたは、約束を果たしてくださるお方・・
何ゆえ我らは、敵のあなどりと、ならねばならないのですかぁ・・・」
床に頭をこすり付ける彼の顔は、涙にぬれ
頭に肩に背中に灰まみれの体は震えていた。
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そんなヨシュアに神さまはおっしゃいました。
「あなたがたは、わたしの言葉を破ったのだ・・
私への奉納物に手を付けたのだ・・
このままでは、お前たちは、敵の手に倒れるだろう
明日の朝、わたしはお前たちの中の罪をしめそう
さあ、立ちなさい。
そして民に伝えるのだ。
明日に備えて身を清めよと・・」
ヨシュアはそのとうり民に伝えた。
だから、昨日の夜遅く、アカンのテントにも知らせが届いて
けさ男たちは皆、留守だった。
*
彼女の気がかりは、あの大勝利を収めたエリコ戦の後からだった。
夫の態度に何か・・・何か違和感を感じていたのだ・・
勝利の興奮と、戦疲れに違いない・・
彼女はそう思って、いつもよりも優しく接し、その労をねぎらい、
小さな子どもたちを近づかせなかった。
しかし、その違和感はあれからずっと続いていた。
彼女は自分のテントの壁を背に立っていた。
いつも泣き虫の末っ子は、張り詰めた空気を感じ取ってか
今にもこぼれ落ちそうな涙をいっぱいためて
それでも唇をかみ締め、母の二の腕に、その幼い手でかじりついていた。
*
v(。・ω・。)
アカンの妻の名前も、いえ、妻の存在さえも聖書には出てきませんが・・
心優しい妻がいたことにしてみました・・・
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