「わあ〜ぃ!行列が近づいて来たよ。
きらきら光ってらぁ。
箱の上で天使が翼を広げてるよ。
凄いなぁ。僕、こんなの見たことないよ。」
まぶしいのぉ・・すべて金で出来ているからのぉ。
あの箱には、わしらの歴史が入っておるのじゃよ。
ほれ、坊主いってみい。
あの箱の中味はなんじゃ?」
「知ってるよぉ〜。
ええっと〜、マナだろ。金のつぼに入ってるんだ。
それから杖だね。アロンの芽が出た杖だ。
それから〜・・・」
男の子はうつむいて三つ目の指を折ろうとしましたが、
折れません。
「ほほぉぉ・・それからなんじゃ?
これこそ一番大切なものじゃぞ。」
「ええ〜とねぇ・・うう〜ん・・なんだっけなぁ?」
男の子の目の前で、琴と立琴と手鼓と鈴の音が一段と大きく響きました。賛美と感謝の歌が男の子の耳をふさぎます。感動してその子がおじいさんの手を握り返した時でした。
モォ!牛が鳴き、牛車がきしみ、ギギギ〜ッと神の箱が傾き動きました。
あっ!!わっ!!きゃ〜ぁぁぁあ!!
神の箱を目の前にした人たちは驚きの声を上げて、思わず体をそらし、あわてて、二、三歩、後ずさりました。荷車が道に突き出た石に乗り上げて、神の箱が動いたのだ。
脇にいたウザは当然のごとく神の箱を押さえました。
そうでしょう。そうでしょう。そうしなけれはバランスを崩した神の箱は、ひっくり返って落っこちてしまったはずですから。
ほっ!安堵のため息が水喪を渡る風のように静かに広がりました。が、
ガガガガ!! ビキイイイイ〜ン!!
ピカ!!
稲妻が走りウザの手をビリビリと打ちました。
あの静けさはまやかしでした。
あっというまに神の箱の周りは騒然となったのです。
ウザが見るも無残な姿で倒れています。
そういえばモーセの時代、アロンの息子たちが、礼拝の手順を間違えて神様に打たれたことがありましたっけ。*1
男の子は目玉が飛び足すほどビックリして、立ちすくみ、老人が彼を抱きかかえ、膝をついてうずくまりました。
ダビデが来ました。現場を見た彼はビックリ仰天。何てことだ!!下がれ!!近づくな!神様が怒られた!!
今日の行進はこれまでだ。
ダビデは神の箱を持ち帰る勇気が萎えました。それでガテ人オべデエドムの家に急きょ運ばせました。その場所って、アビナダブの家よりも遠い所だったらしいですよ。ダビデの慄く様が伝わってきますね。
三ヶ月たってみると、驚きです。
オべデエドムの家は見る間に栄え、彼のなすことすべてが祝福されていったのでした。その報告に、「神の箱をエルサレムに」再びダビデの心に火がつきました。
もちろん、前回のような失敗は許されません。
彼は神様の規則を丁寧に読み直しました。
最初っからそうすべきでした。てゆうか、祭司は知ってたはずなのにね。時が流れてしまうと、記憶は薄れ、規律も緩んできてしまうのでしょうか。
それともダビデが出しゃばり過ぎて、王様ですからね・・
口を挟むこともはばかられたのかしら?勢いのある人のそばにいると、その渦に呑まれてしまうのかも・・
とにかく万全を尽くして再度、神の箱を運び込むことにしました。それは前にもまして華々しく素晴らしい行列になりました。
今度は牛車でなく祭司が神の箱を担ぎます。
ダビデはその行列が六歩進んだ所で、感謝の捧げ物をささげました。いよいよエルサレムに神の箱を納めることが出来る!!ダビデは興奮し、自然に手足が舞い踊り、賛美の歌が唇から漏れ、神の箱を自ら先導しました。
沿道の人々はそんな王様に親しみを覚え、彼らも踊りだしてしまうほどでした。エルサレムが見えてきました。ダビデはさらに激しく踊りましたので、エポデのひもがほどけ、逞しいその体は陽の光を浴びて、吹き出す汗で光っていました。
きゃーぁぁぁ!!素敵〜ぃ!
沿道の女たちは興奮し、甲高い声ではやし立て、手を振り、足をならしました。
そんな晴れがましい場所から、一歩も二歩も引き下がった所から、冷ややかな目線でそれを眺めている人がいました。
それは誰?
誰なんでしょう。。。。。?
・・・・・・続きは次回へ。。。。。
エポデって祭司専用の服で、祭司しか身につけられなかったのでは?当時、王様は祭司をも兼任してたのかな?
でも初代の王様サウルは、祭司のすることをしてしまって、サムエルに怒られてたような気がするんだけど・・・?
・
ひよこの物差しなんかも、しょっちゅう長さが変わっている気がする。その時の気分で・・
でも、神様が定めた規則は、気分で変えて良いってものではないらしいですね。
厳し〜〜ぃ。
ウザが何かしましたか?
支えなかったらひっくり返ってしまったものを、支えて何が悪いのよぉ〜〜って、思っちゃうけど
そうじゃあないみたい。
神さまが「触るな」っていったら「触ってはいけないのだぁ」
たとえそれがひっくり返って粉々に壊れても。
「約束」、それを壊してはいけないのですね。
イスラエルと神様とは「指きりげんま」の仲なんですね。
うそついたら(破ったら)******飲〜ます。指切った!!
なんですね。本当に。
そうでした。坊やが思い出せなかった後一つのこと、それは、
二枚の石板に書かれた「十戒」でした。
*1:ナダブとアビフ