ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

これは?! (イザヤ5)

何だ!これは!

イザヤは心の中で叫んだ。

 

目の前の男は熱に浮かされていた。

どす黒くむくんだ顔には、

乱れた髪が張り付いていた。

ずり落ちた衣服。

むきだしの肩が荒い息をするたびに上下していた。

その男は、

イザヤの存在を蹴散らすように、

わあぁわあぁと子供のように泣いていた。

 

大きく膨れ上がった背中の瘤からは、

奇妙な悪臭が漂い、

熟した膿が寝具を汚し、

寝巻の上にどす黒いシミを作っていた。

 

気が高ぶった男は、

ベットからずるりと落ちて、

床にうずくまった。

 

その 背中が大きく波打って、

うぅ~うぅ~とうめいていた。

こぶしで床をたたき、

イザヤの足元に這い寄ってきた。

イザヤはその手を逃れるように一歩退いた。

 

顔に張り付いた髪の毛の奥で、

熱に浮かされ充血した目が、

ぎらついていた。

その目が一瞬イザヤを捉えた。

 

   あああ!!!!

 

イザヤが退いたその所で彼はまた泣いた。

異様に膨らんだ背中の瘤から、

どくりと膿が出た。

 

   ううう・・

 

男はうめいた。

それから壁際に這いずって行って、

頭を壁にぶっつけ、

握りこぶしで壁をたたき続けた。

深紅の血が壁に花弁のように付いていった。

 

これが王宮のヒゼキヤ王の寝室でなければ、

きっと誰だか分からなかっただろう。

 

王は、

原因不明の吹き出物に悩まされていた。

治療の施しようもなく、

激しい痛みとともに、

日に日に痩せ衰えて行くのが痛々しかった。

そして、

絶えずあふれる悪臭の伴った膿が、

看病する者を悩ませていた。

 

   あなたの病は治らない。

     あなたは死ぬ。

   遺言を書きなさい。

 

イザヤが、神様の言葉を伝えると、

王はうつぶせになった体を起こし、

激しく泣き出したのだった。

 

   神様ぁ~!!

   あなたは私の行いをご存じです。

   まだまだやりかけです。

   するべきことは山済みです。

     私にはまだ息子がいません。

   それでもあなたは、

   私の命をお取りになるのですかぁ!!

  

突然、 

 凄まじい光が窓から差しこんだ。

イザヤは右手で目を覆った。

続いて雷鳴が後を追ってきた。

ビリビリと建物を揺り動かし、

神様のお言葉がイザヤの鼓膜を震わせた。

それはイザヤにしか聞こえない、

神様からの言葉だった。

 

   ダビデの神、主の言葉です。

   主はあなたのうめきと、

   その涙を見られた。

   あなたの祈りに主は答えられた。

   その体は三日で回復する。

   そして寿命を15年延ばそう。

   あなたとこの町を、

   アッスリヤの手から守る。

   その確かな印として、

   アハズの日時計を10度退かせる。

 

 

イザヤはヒゼキヤ王の肩に手をかけて立ち上がらせた。

王の両目から新たに涙があふれ、

感謝の言葉がその口から流れ出た。

 

   わたしがこのような苦しみにあったのは、

   わたしの幸福のためでした。

   あなたはわたしの命を引きとめて、

   滅びの穴から救い出された。

   これは、

   あなたがわたしの罪をことごとく、

   あなたの後ろに捨てられたからですね。

 

イザヤは帰り際、

王の治療にあたっていた医者に言った。

 

   干しいちじくの一塊をはれ物につけなさい。

 

この著しい回復劇は近隣諸国に知れ渡り、

同盟国バビロンの王の耳にも届いた。

王メロダクバラダンは回復祝いにと、

手紙と贈り物を使者に託した。

宿敵アッシリヤを倒すために、

力を合わせて戦った仲だった。

結果は散々だったが、

最後は神様の御働きで事なきを得た。

絶望の淵から立ち戻った王は、

開襟のあまり、

武器蔵や宝物蔵など全財産を見せてまわった。

アッスリヤの下で絶えず怯えている小国バビロンに、

どうだ、とばかりに、

同盟国としての意地を見せたのだった。

 

その時、

自宅で巻物を広げていたイザヤの背中に、

ゾクリと悪寒が走った。

巻物から目を離し、

左手を顎にあてがって目を閉じると、

ヒゼキヤ王の顔が浮かんだ。

 

   うう~む。。。

 

イザヤはかすかに声を出して、

ガバリと立ち上がり、

外出の支度をした。

 

王宮につくと、

イザヤと行き違いに、

バビロンの使者が帰っていった。

いつもと違う緊張感。

それが緩んでほっとした雰囲気が王宮にはあった。

玉座に座るヒゼキヤ王は、

満面の笑みでイザヤを迎えた。

しかし、イザヤの表情は硬かった。

 

   王様、彼らは何者ですか?

 

   バビロンから来た使者だ。

   快気祝いにわざわざ来てくれたのだ。

   有難いではないか。

 

イザヤの表情は変わらなかった。

 

    彼らに何を見せましたか?

 

    何を見せたかとゆうのか?

    はるばる訪ねて来てくれたのだ。

    ゆっくりと旅の疲れをねぎらい、

    同盟国としての力を見せつけてやった。

    武器蔵や、宝物蔵に案内した。

    彼らは、

    我が国の堅強さと豊かさに驚いていた。

 

イザヤは、哀れみを込めて王に言った。

 

    あなが見せた全てが

    バビロンに運び去られる。

    王子たちも連れ去られる。

 

    なんだって!

    あの小国バビロンが、

    我が国を攻めるとゆうのか?

 

王はあきれたようにイザヤを見た。

 

      それはすぐではありません。

    100年後です。

 

    何、100年後だと。

    ビックリしたぞ。

    わしの生きている間にかと思った。

    もう戦は十分だ。

    限られた命だ。

    私の余生が、

    平和と安全であれば・・

 

イザヤは耳をふさぎたくなった。

この人は本当にヒゼキヤ王なのか?

若き日、

ひたすら真の神を求めたあの純真さ。

自国の民を懸命に神へと導いたヒゼキヤ王なのか。

これが、

建国以来の名君と称えられている王の言葉か。

イザヤは自分の体が急に重くなったように感じた。

目まいがした。

むなしさが疲労の塊となって背中に張り付いてきた。

 

その日は早めに帰宅した。

彼の顔色を見た妻は驚き、

いつにもまして優しく、

かいがいしく彼の世話を焼いた。

寝際に飲ませてくれた苦みのあるスープのおかげか、

ベットに入ると、

激しい睡魔が襲ってきて前後不覚に眠り込んだ。

 

元女預言者の妻は、

そんな夫をいとおしそうに見つめた。

そして、

規則正しい夫の寝息が彼女を安心させた。

 

カタカタと音がした。

どうやら風が強まったようだ。

彼女は足音を忍ばしてその部屋を出た。

 

 

 

主はわたしの願いを聞かれた (イザヤ4)

失意のイザヤに突然、感謝の言葉が溢れてきた。

彼を取り巻く闇の向こうで

きらきらときらめくものが目に入った。

星だ!

かってアブラハムが、

神様から数えるようにと示された星だ。

あの星のようにあなたの子孫は増え広がる。

神様が約束された星だ。

 しかし、主は言われた。

 

   イスラエルは海の砂のようだ。

   だが、ふるいにかけられ、

   選ばれし者だけが帰ってくる。

   滅びはすでに始まっている。

   万軍の主、私は、

   定められた滅びを全地に行う。

   しかし、シオンに住む我が民よ。

   恐れるな。時を待て。

   罪の清めがすんだら、

   イスラエルを苦しめ、

   勝利の美酒で傲慢になった敵を、

   神である私は必ず滅ぼす。

 

イザヤは立ち上がった。

満天の星空の向こうに、

主の軍勢を見たような気がした。

 

 彼は通いなれた道を通って宮殿へ向かった。

その道すがら、主の霊が注がれ、

彼は預言していた。

 

   アッシリヤによって、

   最初に滅ぼされたゼブルンとナフタリ。

   そのガリラヤ地方から、

 

   「霊妙なる義士、

    大能の神、

    とこしえの父、

    平和の君、

    と唱えられる王が誕生する。」

 

 イザヤは自分の口からあふれ出る言葉に驚いた。

ほとんどの民が捕囚として連れ去られ、

ほんのわずか残された民は微力だった。

その地に、

無造作に異邦の民が送り込まれた。

彼らもアッシリヤに敗れた国の民で、

祖国を奪われた民だった。

アッとゆう間に混血が進み、

異教の神々であふれた。

そんなところから・・・ですか・・・

 

いつの間にかアハズ王の前にいた。

王の顔を見ると、

王の気弱さからくる狂気のような行動に、

ふつふつと怒りが込み上げてきた。

 

   王よ、

   アッシリヤにおもねってどうするのです。

   あなたのすることなすこと、

   みな間違っている。

   聖なる神の宮をあなたは汚した。

   ダマスコの神々をこの地に持ち込み、

   あろうことか率先して礼拝し、

   犠牲をささげ、

   この国の神殿の器を切り裂き、

   主の宮の戸を閉じた。

 

   アッシリヤを恐れる前に、

   イスラエルの神を畏れよ!

 

イザヤはアハズ王を見つめた。

王は馬耳東風を決め込み、

宮殿の天井をせわしなく目で追っていた。

 イザヤは持っていた杖で床をたたいた。

王と目が合った。

 

   王よ。あなたは間もなく死ぬ。

   エルサレムの町に葬られるが、

   歴代のイスラエルの王墓には入れない。

 

   ええっ!!

 

王の息をのむ音を聞いた。

げぼげぼと咳をし、肩を震わせた。

それから飛び出しそうな眼でイザヤを睨んだ。

それも一瞬で、王の顔はゆがみ、

イザヤに何か言おうと立ち上がり、

プルプルと震える腕を差し出した。

 が、翻って入り口に向かう、

イザヤの足は止まらなかった。

 

アッシリヤとの情勢が微妙に変化してゆく中、

王アハズは亡くなった。

そして、息子ヒゼキヤが王となった。👑

25歳だった。

彼の母は、祭司ゼカリヤの娘で、

幼いころからイスラエルの神の驚くべき業を、

寝物語に息子に語ってきた。

祭司ゼカリヤの影響も受けていた。

若い彼の心は義憤に駆り立てられていた。

父アハズの政務は彼の反面教師となった。

 

ヒゼキヤは王になると、

預言者イザヤやミカの忠告に耳を傾けた。

堰を切ったようにダビデ王の行いを手本とし、

父アハズが閉めた主の宮の戸を開き、

神殿を清めた。

 

  さあ、

  過ぎ越しの祭りを執り行おう。

 

ヒゼキヤ王は、

イスラエルに残されている同胞にも、

使者を走らせて招待した。

 

   イスラエルの人々よ。

   アブラハム

   イサク、

   ヤコブイスラエル)の神、

   主に立ち帰りなさい。

   そうすれば主は、

   アッシリヤの手から逃れたあなた方を、

   かえりみてくださる。

   あなた方が、先祖の神に立ち帰れば、

   捕囚の人々をも哀れまれて、

   故郷の地に戻されるでしょう。

   イスラエルの神はそういうお方なのです。

 

しかし、異邦人と混血が進み、

神々の中にうずもれてしまった同胞は、

無気力、無関心だった。

それどころか、

返ってくるのは、あざけりと嘲笑の言葉だった。

使者は気を取り直して、

エフライムとマナセ、

ゼブルンの地まで行った。

結果は同じだった。

しかし、

アセル、マナセ、ゼブルンの人々の中には、

王の招きの言葉に心砕かれ、

遠路、エルサレムにやってきた者もいた。

そして、祭りに参加した。

しかし、無知のために規則に触れ、

ヒゼキヤ王の機転で、神様の罰を免れた。

彼らはこのことでも感激し、

真心こめて礼拝した。

帰郷の際には霊に満たされ、

ユダの町の偶像を倒し、

主を賛美しながら、

北に帰っていった。

 

イザヤは彼らの姿が見えなくなるまで、

感慨深い思いを込めて見送った。

 

  苦しみにあった地にも、

  闇がなくなる。

  さきにはゼブルンの地、

  ナフタリの地にはずかしめを与えられたが、

  後には海に至る道、

  ヨルダンの向こうの地、

  異邦人のガリラヤに栄光を与えられる・・・

 

   ひとりのみどりご

   我々のために生まれる・・

 

預言者の胸は高鳴って息苦しくなってきた。 

 

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イザヤは王を補佐しながら、

これらのことを漏れなく記録した。

 

 

    彼(ヒゼキヤ王)は、

    イスラエルの神、主に信頼した。

    そのために彼のあとにも先にも、

    ユダのすべての王のうちに

    彼に及ぶ者はなかった。

               

不思議なことにヒゼキヤがユダ国内を清め、

人心をまとめ始めると、

無敵のアッシリヤでは、

内紛や、反乱の兆しが見えてきた。

イザヤは知っていた。

主がシオンの山とエルサレムとになそうとすることを。

 

  ことごとくなし終えた時、

  アッシリヤ王の無礼な言葉と、

  その高ぶりとを

  主は罰せられる。

 

アッスリヤのサルゴン王は戦死し、

息子セナケリブが王となった。

 

これを契機に近隣諸国は打倒アッスリヤに立ち上がった。

ヒゼキヤ王も宗主国の権を破棄したかったので、

率先して加わった。

にもかかわらず、

バビロン軍もエジプト軍も敗れさった。

防備を固めたユダの城壁のある堅固な町々も、

次々と奪われていった。

 

   もはやこれまでだ。

 

ヒゼキヤ王は銀300タラント、

金30タラントをアッスリヤに納めて首都を守った。

日本円にしていくら?🐤

王の宝物蔵も神殿の宝物蔵も空っぽになった。

せっかく補修して綺麗になった神殿の戸や柱から、

金をはぎとるのを指示するのは辛かった。

祭司も民も泣いた。

 

イザヤは神のなさることの一部始終を、

脳裏に焼き付け、

震える手で書きとめた。🖌

 

貢ぎを納めたにもかかわらず、

ヒゼキヤ王は城内で軟禁状態にされた。

まさに籠の鳥だ。

そんな状況の中、

アッスリヤから三人の将軍がやってきた。

もちろん、大軍を率いてだ。

セナケリブ王が彼らに命じたことはこうだった。

 

   ユダ王国が、

   イスラエルの神に従って、

   一丸となっている。

   これはまずい。

   とにかく人心を王から引き離すのだ。

   そうすれば、

   イスラエルの神からも自然に離れる

   神ならほかにもいくらもある。

 

セナケリブ王は、

陽動作戦で行くように指示した。

将軍の一人が叫んだ

 

   みな聞くがよい!

   あなた方はヒゼキヤに騙されている。

   今まで私(アッシリヤ)に勝った神々があったか?

   私は諸国の神々を征してきた。

   ヒゼキヤの信じている神も同じだ。

 

彼らの言葉は一般の人々にも理解できた。

イザヤとヒゼキヤ王は共に祈った。

王ヒゼキヤは民に言った。

   

   心を強くし、勇み立ちなさい。

   慄いてはならない。

   我らと共におる者は、

   彼らと共におる者よりも大いなる者だ。

   彼と共におる者は肉の腕。

   我らと共におる者は我々の神、主であって、

   私たちを助け、

   私たちに代わって戦われる。

 

 イザヤは言った。

 

   敵は滅ぼされる。

 

実際、敵軍十八万五千人が、

一夜にしていなくなった。

神様の仕業だ。

ヒゼキヤはますます、

主であるイスラエルの神を畏れた。

 

   主はわたしの願いを聞かれた。

     主はわたしの願いを受け入れられる。

   わたしの敵は恥じて、いたく悩み苦しみ、

   彼らは退いて、たちどころに恥を受ける。

                       詩篇6:

 

 イザヤは同労者ミカと共に、絶えず祈った。

イスラエルで活動していた預言者

アモスとホセアの動向も気になった。

彼らにも滅亡を阻止できなかった。

神様のご計画は粛々とすすめられているのだ。

与えられた職務を全うし、

涙を流しながら見守るしかなかった。😿

 

イザヤははっと目を開けた。

空っぽの胃袋を刺激する夕餉の甘やかな香りが、

彼の鼻腔をくすぐった。

息子シャル・ヤシュブと

次男マヘル・シャラル・ハシ・バズの笑い声が聞こえ、

妻の特徴のある笑い声が、かすかに重なっていた。

息子たちは元気に育っている。

平和だ。

少なくともこの時は。

この団欒を守りたい!

彼は両の手に力を込め、

下唇をぎりっと噛んだ。

 

敵は間もなく滅びる! (イザヤ書3)

イザヤは大きな板に、

「マヘル・シャラル・ハシュバズ」と書いた。

 昨夜、神様からのお言葉があったのだ。

 

祭司ウリヤとゼカリヤに事の次第を告げると、

二つ返事でその証人となってくれた。

 

 イザヤはその大看板を担ぐと、

路傍に立った。

興味を示した人々がその前に集まった。

 一人の男が言った。

 

  この看板は何だい?

 

イザヤは一歩進み出て言った。 

 

  この言葉の意味は、

 「敵は間もなく滅びる」という意味だ。

  神様がおっしゃったのだ。

  私に男の子が与えられる。

  その名前をこれにせよと。

 

  それはおめでとう!

  「敵は間もなく滅びる」

   いい名前じゃあないか。

   世の中が物騒になっているし、

  神様が命名なさるなんて、

  祝福された子供だね。

   

やじ馬たちは、

がやがやとひと騒ぎしてうなづいた。

 

  そうか、よかった!!

  これで我が国も安心だな。

 

人々の足が四散しそうになると、

イザヤは右手で手招いて言った。

 

  まて、まて、安心なものか。

  いいか、

  その子が初めて言葉を発する前に、

  敵は来る!敵は来るぞ!

  アッシリヤはシリヤ(ダマスコ)と、

  イスラエル(サマリヤ)を攻め、

  金銀を奪い、

  シリヤの王は殺される。

  イスラエルの民は他国に連れ去られる。

 

   我々は大丈夫だ?

    ユダは大丈夫だ?

 

   選民だからか?

     勘違い!!間違いだ!

   真の神様と、偶像とをごっちゃにするな!!

   イスラエルの神に立ち返るのだ。

   従うか、不従順のままかだ!

   祝福か、呪いかだ!

 

   背きの罪から踵を返せ!

   罪を許してもらうのだ。

   偽りの神々から離れ、

   死者の言葉に頼るな。

   アッシリヤは我らを罰するムチだ。 

   ムチが振り下ろされる前に、 

   我らの祖先を奴隷から解放した神に立ち帰れ!

   敵は来るぞ!

   これは契約不履行の罰だ。

   神様が私たちイスラエルの罪を裁くために、

   お使いになるムチだ。

 

イザヤは王宮にも足げく通った。👣

 

  王よ、万軍の主にすがれ!

  救いの手が、

  裁きのムチと変わる前に。

  アッスリヤは、シリヤと、イスラエルを襲い、

  大水となって、ユダにもなだれ込んでくる。

 

    イザヤよ。そう興奮するな。

   アシリヤはイスラエルのホセア王に

   怒っているのだ。

   彼は隷属して貢ぎを納めていたのを止めた。

   なぜだ?

   エジプトのソ王に鞍替えしたからだ。

 

     ちがう!

   我らを奴隷から解放し、

   エジプトから導かれた真の神から離れた。

   それゆえ、

   神様はアッシリヤを用いられるのだ。

 

 しかし、王は聞く耳を持たなかった。

    

  アハズ王よ。

  あなたは清き神のささやきよりも、

  大河の流れのような

  アッシリヤに頼ろうとするのか?

  それは勢いを増し、

  堤を超えてユダにも迫ってくるぞ!!

 

王はイザヤの言葉に渋い顔を向けながら、

首を横に振り続けた。

イザヤの説得は王の耳には留まらなかった。

アハズ王はダマスコにいるアッスリヤ王

テグラテピレセル(プル)に使者を送った。

自身の保身もかねて、

沢山の貢物を持たせて、

助けを求めたのだった。

その願いがかなえられると、

アハズ王自らダマスコに出かけた。

 

アハズ王は、

テグラテピレセル王のご機嫌を取るために、

積極的にアッシリヤの神々を取り入れることにした。 

 

すぐ偶像とその神殿の図面をコピーして、

祭司ウリヤに作るように命じた。

 

こうして、

イザヤの奔走もむなしく、

アッシリヤに援助を求めることにこだわる

アハズ王だった。

 

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ああ・・・・

足が痛い。👣

血にまみれ埃をかぶった足。

イザヤはうずくまった。

力を失った陽光が、

ゆっくりとその背に降りて、

闇が、

イザヤを包んだ。

その中に、

怒涛のように押し寄せる大河の響きを聞いた。

愛するこの国を飲み込む様がはっきり見えた。

彼は頭を抱え、声を上げて泣いた。

イザヤの胸はパクパクと激しさを増し、

息苦しくなって、

肩で息をした。

 

  神様ぁ~。

  誰も私の声に耳を傾けてはくれません。

  あなたの選ばれたこの国、

  み翼で守られてきたこの国。

  それはどうなってしまうのでしょうか?

  選民イスラエルは生き残るとおっしゃいましたが、

  果たしてそれは‥

 

イザヤの繰り言は、

むなしく闇に飲み込まれて行くばかりだった。

 

・・

イザヤさん、😿頑張って!!😿

 

 

 

 

残りの者は帰ってくる!  (イザヤ書2)

イザヤは窓辺の小さな机の上に両肘を突き出して、

組み合わせた指の上に顎をのせていた。

彼の瞼は閉じられていて、

時折ひくひくと動いた。

このところ、隙間時間があると、

牛のように反芻していたのは、

裏山で神様から示された内容だった。

 

奴隷生活から解放され、

40年間も荒野をさまよった先祖。

それでも彼らには希望があった。

アブラハム、イサク、ヤコブと、

個人的に結ばれた祝福。

その個々人で結ばれた約束が、

あのシナイ山で🏔

モーセと、イスラエルの民と神様との間で、

再確認(再契約)されていたからだった。

契約遂行には

十の条件(十戒、律法)の厳守があった。

 

  1、主はイスラエルの神だ

 2、イスラエルの神以外、拝むな(禁偶像礼拝)

 3、意味なく主の名を使うな(畏れ敬うへ)

 4、安息日を守れ

 5、両親を敬え

 6、殺人をするな

 7、姦淫するな

 8、盗むな

 9、偽証をつくな

10、他人の物を欲しがるな

 

イザヤはため息をついた。

今、イスラエルの中で、

これらの一つでも守られているだろうか。

実際、

これらの戒めを細かく突き詰めて行けば、

誰一人、

完全に全うすることなど不可能だった。

私もだめだ。

イザヤは燃える炭火が押し当てられた唇に、

そっと指先を当てた。

真っ赤に燃えた炭火だったが、

火傷をしたわけではない。

ただこの身がすっと軽くなって、

感謝と喜びに身が震えた。

神様の許しが与えられたのだと分かった

 

あの律法は人間には守れるものではない。

ただ、それゆえに、

神様の前に謙遜にひざまずき

み言葉に従おうとする従順さを求められたのだ。

 

シナイ山での約束を民に思い出させ、

被造物を作られた神様の、

絶対的な主権と、

その清き聖なるご性質を、

私は伝えるのだ。

何のとりえもないこの民と、

神様が結ばれた約束。

 

それは祝福か、滅びかの、二者択一だ。

今や宗教指導者の祭司でさえ、

偶像にかかわり、

その体でぬけぬけと神殿奉仕をしている。

手塩にかけて育てたはずの民の、

愚かな行為の繰り返しに、

神様は目を背け、

心を痛めておられる。💔

限りなき愛と哀れみに富まれるお方は、

義なるお方ゆえ、

約束不履行に目をつぶることができないのだ。

裁きの剣を握りしめながら、

愛に苦悩しつつ、

背きの民に,

その剣を抜かざるをえないのだ。

  

 

イザヤの衣の裾は擦り切れていた。

それでも、

神に立ち返るようにと.

説いて廻る日々が続いた。👣

 

以前、北イスラエルで働いた先輩アモス

その働きに奮い立たされた。💪

同輩ホセアとは

時折連絡を取り合っていた。

彼によれば北イスラエルの状態は、

南ユダより最悪だった。

大アッシリヤ帝国の興隆.

その恐怖が圧し掛かっていた。

南ユダも北イスラエルも、

以前からその大帝国に、

莫大な貢ぎ物を納めていた。💰

しかし、

アッシリヤの王がピレセル3世(プル)になると、

征服欲はさらに増した。

そして、

イスラエルの代替わりが狙われた。

新王ぺカは、銀1千タラントを納め、

自分の座を守った。

宝物蔵は空っぽになった。

 耐えに耐えたが、もうこれまでだ。

ぺカ王は、

スリヤ(アラム)のレヂン王と同盟を結び、

南ユダにも同盟話を持ち込んだ。

 

 アハズ王は即座に拒否した。🙅

 

  今までさんざん苦しめられた国だ、

  今更同盟などありえない!!

 

それから数日後、

 

   怒った同盟軍がユダを侵攻するぞ!

 

と新しい情報がもたらされた。

アハズ王も民も悲鳴を上げた。

 

開け放した窓から、

乾いた風が吹き込んだ。

 

  ああ神様、

  あなたが選ばれた私は無力です。

  助けてください。

 

イザヤは思わず立ち上がって、

両手を上げた。

 古びたイスがカタリと音を立てた。

その部屋の外でイザヤの妻が

彼女の小さな踵をゆっくりと返して、

息子の待つ部屋へと戻って行った。

 

その部屋は明るく、

食欲をそそる彼女の手料理があって、🍛

母親の来るのを待ち構えている、

期待に満ちた瞳があった。👀

その瞳に包まれると、

彼女の緊張は一気にほぐれ、

笑窪がそのほほを飾った。( ´∀` )

 

 

   ユダは、南ユダはどうなる!?

 

イザヤの喉がひっつた。

 イスラエルも南ユダも、

天の法廷で有罪とされていた。🔨

 

  南ユダも捕囚として連れ去られる。

  だが、ダビデ王の血筋、👑

  正当な血統が受け継がれたユダは、

  一度は亡びたように見えても、

  モーセの杖から芽生えた若枝のように、🌱

  必ず生き延び、

  存続し、

  全世界の祝福の基となる。🌎

   の約束は必ずなるのだ。

 

そうだ、神様はおっしゃった。

 まだ時が残されている。

  最後の最後まで、

  神様のお言葉を取り次ごう。

 

イザヤの脳裏に、

輝かしいイスラエルの未来が駆け巡った。

神様のお約束は確かだ。

彼の体内の細胞が生き生きと動きだした。

 

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 その夜だった。

イザヤは夢の中で、神様のお言葉を聞いた。

 

 長男シャル・ヤシュブ

 (残りの者は帰ってくる)を連れて、

 アハズ王に会うのだ。

 

イザヤは目を覚ました。

そこには規則正しい妻の寝息があった。

そして、

野獣の遠吠えをかすかに聞いた。🐺

まだ夜明けまで間があった。

 

翌日は雲一つなく晴れ上がった日で、☀

イザヤは息子を連れだした。

妻はまだ幼い息子を連れだすことを渋ったが、

神様のお言葉だと知ると、

ああ!と短い声を上げ、

胸の上で両手を組んだ。

 

王は布さらしの野にある、上の池の水道の端にいた。

流れる水を見つめる王の顔は、👀

遮るもののない炎天下で、

くっきりと陰を作っていた。

有事のために作った水路は、

軽やかに流れる水で満ちていた

 

イザヤは言った。

  神様のお言葉を伝えます

  連合軍はあなたを倒し、

  自分たちに都合の良い王を立てようとしている。

  しかし恐れるな、

  それはならない。

  彼らの土地は荒野となる。

 

  そればかりか、建国以来、

  体験したことのないような災いが、

  この地、ユダにも臨む。

  神様は大国アッシリヤを、

  そのために用いられるのだ!

   ユダの民は捕囚の民となり、

  国土は荒れる。

   しかし神様は、

   ダビデ王家の子孫を絶やさない。

   選別され、選ばれし清き民は、

  再び約束のこの地に帰ってくる。

  神様は私の息子にシャル・ヤシュブ

 (残りの者は帰ってくる)と命名された。

    そのことを知らせるためなのだ。

  さあ、私(神)にしるしを求めよ。

  私を信じるなら、しるしを求めよ。

 

アハズは驚いた。

 

   しるしを求める?

   神様を試みる?

   恐れ多いいことだ。

   私には出来ない。

 

イザヤは眉をひそめた。

王の言葉の裏に不信仰が揺らいで見えた。

突然イザヤの胸がざわついた。

 

   神様しるしはこうだ!!

   乙女が身ごもって男の子を授かる。

  その名はインマヌエル(神ともにおられる)

  そのころには、

  イスラエルとシリヤの王は死んでいる。

 国さえなくなっている。

  だから恐れるな!

 

イザヤはそのお言葉の、

意味の不思議に戸惑いながらも、

アハズ王に向かって語った。 

 

アハズ王の足元の水路を、

一枚の木の葉が水にもまれながら、

音もなく流れ去って行った。

イザヤは息子シャル・ヤシュを、

目で追った。👀

なだらかな丘の上で、

彼の息子は楽しそうに、

何かを追いかけていた。

 

 

燃える炭火が‥・🔥 (イザヤ書1)

空は見事に晴れ渡っていた。

気持ちの良い風に乗って、

かわいらしい小鳥のさえずりが聞こえてきた。

 

そんな窓際に立って、

イザヤは大きなため息をついた。

妻である女預言者は夫を横目で見て、

そっと、ため息をついた。

あらあら、移ってしまったわ。

胸の内でつぶやくと、

小さな笑窪が彼女の頬に出来た。

彼女はすぐにそれを引っ込めて、

動かす手を速めた。

 

彼女は同業者として、

夫の働きを理解しているつもりだが、

それでも彼の深い心の内までは分からなかった。

分からないまま受け入れるのを良しとした。

 

イザヤは同じ姿勢のまま、また、ため息をついた。

イスラエルは、油注がれたダビデ王の側近が、

10部族を引き連れて建国したものだった。

それなのに、

エジプトの宗教と、

金の子牛礼拝を国教と定めて、

イスラエルの神を冒涜したのだった。

民も何のためらいもなく右に倣った。

それでも忍耐深い神は、

幾度となく無名の預言者や、

神の使いなどを派遣して、

危機から救い出したり、悔い改めを迫った。

エリヤやエリシャの他に、

いつもは南ユダで働いているヨナや、

イザヤも駆りだされた。

しかし民の行いは改まることなく、

終焉に向かって、

転がり落ちているのが現状だった。

幾度となくクーデターが繰り返され、

国王は交代し、国は疲弊していた。

帝国アッシリアの圧力も半端なくのしかかっていた。

私たちの働きが足りなかったのか?

無力さに胸がうずいた。

                    f:id:pypyhiyoko:20190413105349j:plain

イザヤの妻は目を覚ました。

夫がゆっくりと起き上がったからだ。

それは彼の習慣だったので、

彼女は再び眠りについた。

 

イザヤは外に出た。

まだ地上には夜明けの気配はなかったが、

満天の星の瞬きはうっすらと力を失っていた。

彼はいつもの祈りの場所へと急いだ。

家の裏側にある小さな丘で、

中腹の赤茶けた窪地が彼の定位置だった。

 

イザヤが膝まづいて、うずくまった時、

突然、幻を見せられた。

神様が天の御座に坐しておられ、

純白の輝く衣の裾が、

流れる川のように広がり、

神様の霊が、

朝露のようなみずみずしい美しさで満ちていた。

それは、

神様のご性質、

神様が神であることの存在感からあふれでくる、

たとえようのない輝きでした。

頭上にはセラフィムが舞い、

絶えず神様をたたえていた。

その姿は異形で、

それぞれ六つの翼を持ち、

一対は顔を覆い、

一対はゆっくりと動かして舞飛び、

一対はその足を覆っていた。

 

イザヤの体は震えていた。

   「私は、聖なるお方を見てしまった。

    この汚れた私は死ぬのだろうか?」

すると、

一人のセラフィムが、

赤々と燃える炭火を運んできて、

イザヤの唇に触れて言った。

 

   「さあ、あなたの罪は許された」

 

すると、イザヤの体から緊張が解け、

涙があふれた。

ああ今私は、神様のご栄光の中にいるのだ。

体の細胞の一つ一つが大きく伸びをして、

神様の霊が自分の体の中に

ゆっくりと流れ込んでくるのを感じて、

彼の心も体も歓喜に震えた。

すると神様が語られた。

 

   「誰が私の使者となって、

    民の所へ行ってくれるだろうか?」

 

   「はい、私をお使いください」

 

イザヤは即答した。

 

   「あなたが語るべき言葉はこうだ。

    何度私が語っても、

    奇跡の数々で救っても、

    あなた方(イスラエルの民)は私に気づかない。

    こうなったら、

    目を閉じ耳をふさぎ、理解力を鈍らせ、

    私の奇跡をやめよう。」

 

イザヤは寒気がして、ブルっと身を震わせた。

 

   「神様、いつまでそのことを語るのですか?」

 

   「国土が瓦礫の山となり、

    イスラエルの民が、

    捕囚となって連れ去られるまでだ。

    しかし民の十分の一は残そう。

    イスラエルの民は私が選んだ民だ。

    アブラハム、イサク、

    ヤコブ結んだ契約のゆえに、

    私はその民を絶やさない。」

 

イザヤの妻は、

いつもより遅く帰ってきた夫の姿に驚いた。

十歳も若返ったようにつややかな肌、

洗ったばかりのような清潔な衣。

 

   「まあ!」

 

彼女は驚き思わず叫んで、目を見張ったが、

理由を問わなかった。

神様にお会いしたんだ!

彼女の胸が躍った。 

 

しかし、

イザヤはその外観とは裏腹に、

心境は複雑だった。

喉にたまった澱を振り払うように、

コホンと小さな咳をして、

そっと自分の部屋のドアを閉めた。

 

夫が無言で持ち帰った小さな澱は、

たちまち彼女の高揚心を消し去った。

太陽の光が部屋の中に差し込んで、

目に見えなかった埃が舞い飛ぶのを、

彼女は無心に見つめ続けた。