ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

人は何者なので、これをみ心にとめられるのですか。



「どうぞ、あなたのお考えのままになさってください」

ナタンがそういったとき、ダビデの顔は喜びに包まれた。
ダビデが嬉々として語った神殿建築の構想は、素晴らしいものだった。宿敵、ペリシテ、モアブ、シリヤ、エドム、アンモン、アマレクを倒し、ある民には貢がせ、エジプトとユーフラテスの間にある近邦の敵全部を征服したダビデ
その戦いで得た金、銀、青銅、宝石、その他の戦利品の数々は計り知れないほどでした。有り余る財政の中で、神殿建築をと思い立ったとしてもおかしくはない。ナタンは一瞬そう判断して、こぼしてしまった言葉。その自分の言葉にナタンは驚いた。
  
ナタンは早々に宮殿を後にすると、神さまの前にそのことを告げた。次の日、ナタンは宮殿に上がる前に身を清めた。ダビデに告げるべき言葉があった。一つは拒否、一つは祝福だ。ダビデは機嫌よくナタンを迎えた。
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「ナタン、私は昨日一晩考えて、新しい構想を練り直した。聞いてくれ」

ダビデの明るい声を打ち消すようにナタンは言った。

「王様、今日は神さまのお言葉を告げるために参りました。いや、その前に、あなた様に謝らなければならないことがあります。昨日、王様が神殿建築のことをお話なされたとき『あなた様の思いのままになさってください』と申し上げましたが、あれは、私の個人的な思いで、神さまにお伺いしてのことではありませんでした。」
「そうであったか。わかった。神さまはなんとおっしゃられたのだ?」

ダビデは身をただし、ナタンの言葉に耳を澄ました。
ナタンはすくっと立ち上がり、
しばらく上を見上げて両手を広げ、大きく深呼吸をすると語りだした。
その声はいつものナタンとは違っていた。

 「主は言われる。
ダビデよ、私のために神殿を建てるな。
むしろ、私がお前のために家を確かなものとしよう。お前はイスラエルの王として君臨し、もはや周辺諸国に怯えることもない。お前の子孫は代々この地を治めるのだ。お前が世を去る時にはお前から生まれた子がこの国の王となる。その子が神殿を建てるのだ。もしその子が罪を犯せば、新たな敵を用いて彼を罰しよう。しかしサウルのようにすべてを取らない。私の愛と恵みは、いつまでもお前とその子孫に注がれお前の家系は永遠に私の王国を治めるのだ。」

ナタンは語り終えると、ガクリと膝をつき、大きく肩を揺さぶって目を閉じた。
ダビデはナタンをそこに残したまま、雲の上でも歩いているかのようにして天幕まで行くと、神様の前にぬかずいた。ダビデのまぶたの裏に、伝え聞いた過去のさまざまな事柄が、くるくると現れては消えていった。
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エデンの園で神さまはアダムと約束し、*1洪水後はノアに語られ*2アブラハムと契約を結ばれ*3族長ヤコブはユダ族からメシアが出ると告げた。モーセはモアブで神さまとの契約を民とともに再確認し、*4
そうして今、預言者ナタンの口から、ユダ族出身のダビデに告げられたことは、お前をこの国の王として立て、その子孫をも祝福するというものだった。


『人は何者なので、これをみ心にとめられるのですか、
 人の子は何者なので、これを顧みられるのですか。』

ダビデは喜びと恐れとに慄いた。
私は自分の力で、神さまを喜ばせようなどと不遜なことを考えたが、神さまの偉大さは、粗末な天幕であろうと、黄金の神殿であろうと、微塵も影響を受けるものではないのだ。
むしろ外見によってその価値を量ろうとする愚かな人間、
この私、それこそ哀れむべき存在なのだ。
さすらいの小民族を神さま自らが選ばれ、ご自分の民として聖別され、約束の地へと導かれ、羊飼いだった私を、その国の王とされたのは神様なのだ。
その神さまが、未来についても語られた。

ああ、偉大なる神さま。
あなたのお言葉がこの身と子孫の上になりますように。私はただ、そのお言葉を信じ受け入れるだけです。ありがとうございます。

ダビデはぼろぼろと大粒の涙をこぼしながら、何時間もそこに座り込んでいた。
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さて、神さまはなぜダビデの要求を(神殿建築)拒否なさったのでしょうか?
それは後ほどはっきりとあらわされますが、ここでは「なぜ?」ってことにして、先に進みます。

*1:エバは人類の母となる

*2:再び、洪水で世界を滅ぼさない

*3:子孫を祝福しその数は数え切れないほどだ。お前の子孫は世界中の国々を祝福する

*4:選民イスラエルが神さまの律法に従って生きるなら祝福を、そうでなければ裁きを