ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

記念の場所

ギルガルからべテル。

べテルからエリコへと神様は私を導かれた。

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しかしそれは、

私自身の望みだったような気がするし、エリシャの為でもあったのではないか,とも思う。(・・?

 「ここにとどまっていなさい。」
 と私がエリシャに言うたびに、瞼を激しく動かしながら彼は言った。(´;ω;`)ウッ…
「主は生きておられます。また、
あなたも生きておられます。私はあなたを離れません」 
 それは今までの私の来し方でもあり、若き日の自分を見るようでもあった
その言葉は、夜の白むまで、呻き、嘆き、苦しみ、もがきながら、吐き出してきた言葉だった。
私は寂しい山峡で育った孤児で、身にまとう物も粗末だった。預言者としての教育を荒野でしていた時から、まとう物は毛衣だった。髪も伸び放題で、人々は私を見ては、けげんな顔をしたものだったが、私はその異相をやめなかった。
 私の預言者生活は、激しい戦いの日々だった。
それまで、人を攻める言葉を履いたこともなく、人をなじることなど全くない、静かな生活だったから。
 
あれ以来、
嵐の中でもてあそばれる枯葉のように、私の心は激しく震えておびえていた。そんな私が、告白する言葉がこれだ。
「主は生きておられます。
 私はあなたを離れません」
 
たびたび、時を忘れて祈り続けた。
朝日に染まる妙なる雲の、その雲の隙間から光が差し込んで、目が奪われることもあった。それらの光の中に身を置くと、活力が全身にみなぎり溢れて、難しいご用を全うすることができたのだった。
 
べテルはその昔、アブラハムが旅の途中で、近くに立ち寄り、祭壇を築いている。ヤコブは、長子の権を兄から奪ったことで、その報復を恐れ、この地で夜を徹して祈った。
その折に、
という名を賜った記念の場所であり、我ら民族の信仰の原点となった所だ。私はこれらを記念して、ここに預言者学校を作った。
「エリシャよ。
これから、どんなことが降りかかってこようとも、
この場所を忘れるなよ。
ご先祖様の祈りの積み重ねてあるこの場所を。
その場所をいつも、お前の心の中に確保しておくのだよ。」
 私は道の連れずれにそれらのことを語らずにはいられなかった。私たちは赤茶けた細い道を下りて、預言者学校の門をくぐった。 創始者でもある私は大歓迎を受けた。
その帰り際、若い預言者がエリシャに駆け寄って来てささやいた。
 「神様が今日、エリヤ様をあなたから
 取られることを知っていますか?」
 
 「はい、知っています。
  でも、
  あなたがたは黙っていてください。」
 
少し強張った声が風に乗って私の元に届いた。
そして、相手を振り切るようにして、エリシャの駆けてくる足音が近づいてきた。私たちはこれからエリコに行くのだ。
エリコも、イスラエルの民にとって記念すべき町の一つだ。そこは、ヨルダン川から西に9キロの所にあった。
あったというのは、今はがれきの山になっているからだ。
今朝,私たちが出発したギルガルは、かつて、ヨシュアの総司令部のあった場所だ。エリコはそのギルガルと、ヨルダン川とのちょうど中間に位置していた。
 
約束の地は、手放しで我ら民族に与えられたものではなく、先住民族を倒して、手に入れなければならなかった。
 砂漠を彷徨うこと40年、武器を手にしたこともない民だった。
それがこれから、力ずくで踏み込んでゆかなければならないのだから、相当なプレッシャーだったはずだ。そこで神様は、民に自信を植え付けさせるために、不思議な方法で堅固なエリコの城壁を崩された。ご自身のお力を見せつけられたのだ。
 お前たちには私がついているぞ!
 とばかりに。
 「おおそうだ。
 エリシャよ、このがれきの山こそ、
 力あるお方が我らの神である証なのだ。
 そしてこのお方が、
 お前と共におられるのだよ」
 
私がここに預言者学校を創立したのは、神様のお力を忘れないためなのだ。
私はここでも色々な引継ぎの手続きを手際よくこなして、同労者と別れを惜しんだ。
エリシャはまたもや、同じ質問をさているようだ。幾人かの輩に囲まれ、顔を真っ赤にして何か言っている。 

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最後の行く先はヨルダン。
私たちはだんだん口数が減り、ただ、土ぼこりをまき散らして歩を進めた。細い緑の稜線が見えてきた。川の匂いもしてきた。そして、私たちを遠巻きにして、預言者のともがら50人ほどがついてきていた。
 
私はずんずんと川岸に近づいて行った。そして水分を含んで色が変わっている、柔らかな土の手前で止まった。エリシャが私にぶつかりそうになって、息をつめて止まったのがわかった。
 
太陽は傾きを増していたが、照り付ける力はまだ衰えていなかった。雲一つない空。吸い込まれそうな予感に私の身は震えた。
 
         🐤もピョピョついて行くのだ!!
             決定的瞬間を、パチリ!📷
 
 

対決!カルメル山

  エリヤさんはこのところ超多忙。

   預言者学校の引継ぎ、

   預言者仲間にエリシャの紹介。

   その合間に色々な人からの相談やら何やらで、

   寝る間もないほどです。🐤ぴよ!

 

 

 

久しぶりに暇ができて、私は窓辺に置かれた、古びた小さなテーブルの前の椅子に腰かけた。涼やかな風が私の気持ちをほぐしていく。

それにしても、エリシャはよくついてくるものだ。いつ根を上げるかと思っていたが、最近は目つきが変わって来たなぁ。

「神様、感謝します。」

 瞼が急に重くなってきた。💤ギルガル、それが私の生まれ故郷だ。その昔、モーセの後を継いだヨシュアの一行は、ヨルダン川をはさんで、目の前に広がる約束の地を見た。すでに贈与の地は支族ごとに決まっていた。

しかし、私の先祖は、神から賜るはずだった約束の地を蹴ったのだ。

理由は、家畜に適した地、ギルガルが気にいったからだ。(⋈◍>◡<◍)。✧♡

麗しい地ではあったが、同族とは川で隔てられた。そのため、常に周辺諸国の脅威にさらされることになり、イスラエルの心配の種ともなった。そんな不信仰の支族にもかかわらず、神様は私を心にかけて下さり、預言者としての訓練を、荒野でうけさせてくださった。厳しかった。

だが、先祖の汚名返上のため、全力で主にお仕えしようと、若かった私は誓い、苦しい訓練にも耐え抜いたのだ。

 そんな訓練を私が積んでいたころ、イスラエルの王アハブは、バアル、アシュラ信仰の盛んな地から、妻をめとった。名はイゼベルといった。

結婚と共に偶像も持ち込み、王は積極的に宮を建て、祭壇を築いた。

 これに神様は怒られたのだ。

私が、荒野から王のもとに遣わされ、神の怒りがどんなに激しいかを、3年6か月もの異常気象で示したのだ。

その時、私はケリテ川で鳥に養われ、川が枯れると、べテルへと導かれた。

べテル?

イゼベルの出身地ではないか!バアル、アシュラ礼拝の本拠地ではないか!その地も神の怒りに干上がっていて、

緑のかけた世界が広がっていた。

そこに、やせ細った寡婦とその子供がいて、彼らを助けた。

そして、私は3年も、やもめの家に滞在した。🏠

 私はアハブ王の元へ遣わされた。👣

イスラエルがとんでもないことになっていたのだ。

イゼベルはバアルの預言者450人を養い、次々と真の神の預言者を迫害していた。それを聞いて、👂 見て、👀

私の心に沸々と怒りが込み上げてきた。(# ゚Д゚)

私の後ろには、常に真の神様の存在があったので、私は王の前でも恐れはなく、大胆に語ることができた。

「カルメル山で対決だ!どちらの神が雨を降らせるか!」☂

 バアルの預言者450人対、私一人でだ。

そして、それは私エリヤの劇的な勝利で終わった。

それを知った民衆は、狂喜乱舞した。その勢いに乗って、ずぶ濡れの中、バアルの預言者たちを倒したのだった。

しかし、それを知ったイゼベルの言葉に、私は臆した。

 「エリヤを殺せ!その仲間もだ!」

 疲れ果てた私に、その言葉は稲妻よりも恐ろしく、胃が痙攣を起こしたほどだった。あれほどまでに強烈に、神様の力をこの身を通して表してくださったのに、あの時、私はどうしたというのだろうか。

勝利の言葉に舞い上がり、己の力でしたかのように錯覚してしまったのか。

今、思い起こしても身震いがする。

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40日40夜の長旅。

それは、ただ、ただ、神様の哀れみだった。

強行のはずなのに、私はあまり覚えていないのだ。ただ何者かに引きずられるようにして、歩いていたように思うのだ。(・・?疲れて倒れそうになる私を、

そうだ!確かに!

温もりのある逞しい腕を・・ああ、はっきり思い出せない!!💦

 気付けば、偉大なモーセ十戒を頂いた、ホレブ山の山頂近くの洞穴の中にいて、激しい落雷と風の音に目が覚めたのだ。

 嵐の中であの方の声が聞こえて、慌てて入り口近くまで這いだすと、

 「お前はなにをしているのか?」

 と言われた。

 イゼベルが報復として、あなた様の預言者を全滅させ、私一人が逃れて、ここにいます」

 と私が言うと、

 「ハザエル、エヒウ、エリシャの他にも7000人もいるではないか」

 と神様は言われた。

その言葉に私はハッとして、泣いた。( ;∀;)

孤軍奮闘だと思っていたのは自分の傲慢だった。私の気負った心がすっと無くなった。

 エリヤの首が、かくんと揺れて、目の前の小さなテーブルに倒れ込んだ。

 今やアハブ王は戦死し、息子アハジヤが王となった。その彼も亡くなり、弟のヨラムが王となった。オムリ王朝の終焉は近い。

 一陣の風が、小さな窓の戸をカタカタと鳴らした。

 「うっ」

 私は体をもたげ、コリコリと首を回した。寝ていたのか。夢を見ていたのか。両手のこぶしを上にあげながら、

腹の底からこみあげてくるものを、椅子の背に背骨をゴリゴリ押し付けながら、💺

 「ゥ、う~ん」

 と吐き出すと、心配そうなエリシャの顔が窓越しにあって、目が合った。👀

 私は言った。

 「主が私をべテルに遣わされた。お前はここに留まっていなさい」

 突然の私の言葉に、エリシャの顔が真っ赤になって、窓枠にかぶりついてきた。

 風が吹いて、エリシャの荒い息遣いが耳元に届いた。

私はそれで満足した。

 

 

 

見つけました

わぁ~い!エリヤさん、見っけ!ピョ!👀ずっと探してたんですからぁ~~。。後継者を見つけてから、どこに行ってしまったの?って思っていたら、ギルガルの、預言者集団の中に紛れていたんですね。

エリヤさんは真の神様の預言者学校を、あちらこちらに作っていて、国中を駆け回っていたみたいです。アハブの目を盗んで。

もちろん、エリシャも金魚のあれみたいにくっついてね。

前回で、列王記上は終わりですが、最後の章に、ササっとまとめが記されていました。イスラエルの新王は息子のアハジヤが継ぎ、彼はなんの違和感もなく、偶像信仰もそっくり受け継ぎました。

その間戦場で命乞いをしたヨシャパテ王は無事帰国。彼は、亡き父アサ王のなしえなかった、神殿男娼を追っ払いました。

それでも、高き所にある偶像を取り除くまでには至りませんでした。悪しき習慣は、民の間に根強く浸透していたということの証でしょうか。

 そして、偶像礼拝に染まっている、イスラエルとの関係には慎重になりました。

 

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列王記下の1章からエリヤさんが登場ですが、

あれ?大急ぎで山道を歩いています。

神様からのお告げがあって、アハジヤ王の使者がこの道を通るらしいですよ。あ、見えてきました。

エリヤは足を止め、彼らが来るのを待っています。

エリヤの姿は異様ですね。のびた髪の毛と髭が顔の大半を覆っていて、澄んだ瞳が深い沼のように沈んで見えます。

使者はちらりとその男を見て、通り過ぎようとしましたが、エリヤさんは道を譲りません。

はて?っといぶかしげに男を見る彼らに、エリヤさんは唐突に言いました。

 「さあ、帰ってアハジヤ王に伝えるのだ。

『どうしてわざわざ、エクロンの神バアル・ゼブブに、お伺いをたてに行くのだ?イスラエルには、お伺いを立てる神はいないのか?』とな」

 使者がのけぞっています。何か言い返そうとしていますが、口がパクパク動くだけで、言葉になっていません。

そして、操り人形のようにゆらりと体が揺れて、王のいる宮殿に帰って行きました。

 なに?!使者が戻ってきた?早すぎる。どうした?」

 「実は王様、途中で異様な姿の男に会いまして、あなた様に伝えるようにと言葉を貰いました。

 アハジヤ王は、その男の特徴を聞いてピンときました。

 「それは預言者エリヤだ。父が彼に会うといつも不機嫌になったものだ。それで何と言われたのだ。」

 王は痛みに顔をしかめながら言いました。

しかし、使者はうつむいたままです。

 「どうした、なんと言われたのだ。」

 「あ、はい、『エクロンの神バアル・ゼブブに、お伺いをたてに行くのだな。イスラエルにはお伺いを立てる神はいないのか』と大声で言い放ちました。

それからとんでもないことに、あなた様の怪我は治らず、

ベットから起き上がることのないまま・・」

 「なんだ。」

 「はい、その・・」😥

 「わしが助からないとぬかしたか。ううっつ!大きな声を出すと、胸に響く。天井を見たまま首も動かせぬ。エ、エリヤを捕まえて来い!」

 王の指示で

50人の兵士と隊長がエリヤ捕縛に向かいました。エリヤは丘の上の切り株に腰を下ろしていました。

 「王様の命令だ。預言者エリヤよ!我らと一緒に山を下りるのだ。」(# ゚Д゚)

 隊長は兵士たちに号令をかけました。

 「私を捕まえようというのか、私が神の人であるなら、天から火が下って、お前たちを焼き尽くすぞ!」

 兵隊たちがその言葉に、二の足を踏むのに、隊長はさらに声を張り上げて命令しました。

あ!

隊長の延ばした腕の先がピカっと光り、隊長と兵士たちが炎の中に倒れました。生き延びた一人が息せき切って宮殿に駆け戻り、事の次第を告げると息絶えました。

 「ゆけ!捕まえて来い!」

 再び王の命がだされて、50人の兵と隊長が、顔を強張らせてエリヤのもとに駆け付けました。あたりには異様な臭いが漂っています。何ということでしょう。

二度目の部隊も、一度目の部隊と同様な目に会い、再び、三度目の部隊がエリヤのもとに行かされました。三度目の隊長はエリヤの前にひざまずいて言いました。

 「真の神の人よ。どうか我らを焼き尽くさないでください。」m(__)m

 するとエリヤの耳元でささやく声がありました。

 「彼と共に下りなさい。」✨

 宮殿につき、アハジヤの病室に入ると、エリヤは憐れむように王を見つめながら、神の言葉を伝えました。

 それから間もなくです、王はベットから立ち上がることなく、息を引き取りました。

王には子がいなかったので、弟ヨラムが、イスラエル9代目の王となりました。

 さあいよいよ、エリヤとエリシャ再登場。

次回、楽しみだわぁ~~。*1

 

 

 

*1:´∀`*

真実に向き合う

バシ!バシ!!

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一瞬、目の前が真っ白になった。よろけた足が、衣の裾を踏んだ。。地面にぶち当たった体が痛かった。

 両頬がヒリヒリと熱くなった。ヌメっとしたものが口中にひろがった。唇の端を手の甲で拭うと、鮮血!

 一人の預言者の思いがけない行動に、その場にいた誰もが息をのんだ。 (ノ・ω・)オオ!

 ケナアナの子ゼデキヤ。

 その彼が、私(ミカヤ)の頬をびんたしたのだ。

彼は横たわる私を睨みつけ、上ずった声で言った。

「どうしてわかる。わたしの預言がウソだと、どうして言えるのだ!」

 私(ミカヤ)はゆっくりと上体を起こし、両手で体を支えながら立ち上がった。そして、ゼデキヤに言った。

「あなたが身を隠すとき、そのことがわかるでしょう。」

  突然、王アハブは家来たちに言った。

 「ええい!ミカヤを捕まえろ。(# ゚Д゚)そいつを町のつかさアモンと、王子ヨアシの元へ連れて行け!!牢にぶち込んで、死なない程度に痛めつけておけ。わしが帰って来てからどうしようか・・」

 私はふっと、口の端を歪めて笑ってしまった。

 「王よ。あなたが凱旋なさる時、私は偽預言者の仲間入りです。無事のお帰りを」

 話の途中で、右手をグイっとつかまれ、両手を拘束された。

 「皆さん!!今日の、このことを覚えておきなさい。私は玉座におられるお方を見たのだ!!👀これは神様の業ですぞ。

神様はこう言われたのだ。『アハブを戦死させる方法はないか』と。すると一人の御使いが言ったのだ。

 『私にお任せください。王のお気に入りの預言者たちに、王をそそのかせましょう』と。

そう言うと、私は王の前から引きずり出された。

不自然に身をねじって、最後の言葉を言おうとしたとき、

またしても誰かが、私の頬を叩いた。

アハブ王の元から使者が来たとき、

私はすでに着替えをし、使者の足音が近づくのを待っていた。朝の祈りの中で私は幻を見せられ、アハブ王の戦死を告げられたばかりだった。

 使者は言った。

 「王様は念願だったラモテ・ギルアデを奪還したいと願っておられる。今、400人の預言者が宮殿に集められて、王様を励ます預言をしているのだ。ミカヤさん、あなたも王様を力づける預言をお願いします。

今日はユダの王様も来ていて、その王様のたっての願いで、あなたは呼ばれたのだ。口を慎んでください。」

 使者はくどくどと言い募った。

どうやらヨシャパテ王は、アハブ王の命で招集されたらしい。ダビデ、ソロモンと続いた王家は、孫の代でユダとイスラエルに分かれた。ユダはダビデの直系だが、今はイスラエルの属国も同様になっていた。だからアハブの命には背けないのだ。

 スリヤとイスラエルの間には、三年間、戦争がなかった。

その間、ラモテ・ギルアデはスリヤにおさえられていた。

そこはヨルダン川の東にあって、ソロモン王在位の時から、イスラエル領の重要な町の一つだった。

それは、ダマスコ(アラム)との国境にあったからだ。

6代目のアハブの父オリムは、元軍司令官だったが、二つのクーデターを制して王となった強者だ。彼はサマリヤに首都を構えたが、そこは多民族の地で偶像に満ちていた。

オリムの息子アハブは父に見習って、さらに国を豊かにした。信仰も父にならった。

父の代にはユダはアラムと同盟を結んでいたが、息子ヨシャパテはアラムとの縁を切り、イスラエルと同盟を結んでいる。この機を逃すわけにはいかないと、アハブは考えたのだろう。それを煽るように、取り巻きの預言者は言葉をつなげているのだ。

 

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使者に伴われたミカやは、玉座に座るアハブの前に立った。挨拶をしようと腰をかがめると、頭上でアハブの声がした。

 「待ちくたびれたぞ。ラモテ・ギルアデを取り戻したいのだ。私に勝算はあるのか?ないのか?」

 ミカヤは少し首を傾げ、もったいぶって言った。

 「王様、御出陣なさいませ。勝利はあなた様のものです。ここにおられる預言者の言われる通りです。」

 おお~。

抑え気味のどよめきが広場に広がった。アハブ王は目を丸くし、肘掛イスをいまいまし気に叩いた。

「それが神の言葉だと!?ミカヤ本当のことを言え!」

 私は王の言葉に飛びついた。

「実は王様。幻を見ました。牧者を失ったイスラエルの民が、山の中でさまよっていました。」

 その時だった、

ケナアナの子ゼデキヤが、私の目の前に大股でやって来て、私の頬をびんたしたのは。

私は薄暗い牢屋に閉じ込められ、命をつなぐための最低限の水と食べ物を与えられて過ごしたが、私の肌はつややかで血色もよく、眼力も衰えなかった。

 どのくらい日数が過ぎたのか、私にはわからなかった。

それは、陽が沈んで明かりが必要になった頃だった。

バタバタと足音がして、いつもの牢屋番が慌ててやって来た。彼は、ガチャガチャと牢屋のカギを外しかけたが、手が震えてうまくいかないようだった。

私は思った。アハブが戦死したな。

「どうしたのです。そんなに慌てて」

 「アハブ王様が亡くなったのです。流れ矢に当たって・・

それで今、国中が騒いでいます。預言者様、どうぞ牢屋から出てください。あなたのお世話をしながら分かったのです。あなたこそ真の預言者だと」

 牢屋番は私を牢屋から出すと、あたふたと闇の中に消えて行った。久しぶりに外の空気を吸った。ここは町から少し離れていて、町の喧騒は伝わってこなかった。目の前に大きな木があった。星々がきらめくのを認め、私は根方に座って、目を閉じた。

 王様、あなた様は、私の預言を信じておられたのでしょうか?王服をヨシャパテ王に着せ、ご自分は兵士の格好をして、戦車に乗られたのですね。敵が、ご自分を狙ってくると、分かっておられたのでしょうか。

王服に身を包んだヨシャパテ王が、スリヤ兵に囲まれた時、あなたはこれ幸いと逃げ出したのですね。でも、それがよくなかったと思いませんか。王を守るべき兵士が、王を残し、敵に背を向けて逃げ出すものでしょうか。

名もない兵士であっても、訓練された者は、逃げる者に反射的に矢を射るもの・・・身を鎧で固めていたのに、わずかな胸板と草摺りの隙間から、矢が・・

結局、神様のご計画からは、逃れられないのですね。王様の乗った戦車には血だまりができて、その臭いに誘われて野犬がやって来たとか。

王様、ナボテの葡萄畑の件で、エリヤから言われたことを覚えておられましたか。アハブ家は滅びると。それも最後は野犬がかかわることを。

恐ろしいことです。あなた様が建てた象牙の家、あれはどうなるのでしょう。

私があなた様にいつも申し上げていたことが、真実であるがゆえに、あなた様は避けておられた。あなた様は真の神様を知っておられた。

それなのに・・選ぶべき道は他になかったのでしょうか?

頭上の木の葉が騒めき出した。眼下の町の灯はチカチカと瞬き、消える様子がなかった。

新しい王が誕生するのだ。

 

つけは先送り

えっ、

神様はあの男を許されるのですか?エリヤは神様の懐の深さに感動し、カァーと丹田が熱くなった。

 異教の妻の言いなりになり、偶像に染まり切ったどうしょうもない男。その男が今、見栄も誇りも打ち捨て、着物を引き裂き、ぼろを身にまとっていた。食を断っていた。

焦燥しきって、髪も髭もぼさぼさだ。落ち窪んだ目の周りに出来た大きな隈。不眠に悩まされている証拠だ。

これが数日前に会ったあの男か?

エリヤは目を疑った。

男の名はアハブ。イスラエルのれっきとした王である。

 

数日前、

エリヤは神の言葉を携えて王のもとを訪ねた。エリヤがアハブ王に会う時はいつも、神の言葉を携えていた。それも、彼を不機嫌にさせる言葉をだ。

そのため、王は極力彼に会うのを避けていた。それでも、神の預言者としての務めを果たすべく、エリヤを追い払おうとする家来たちを払いのけて、強引に王の前に立つのが常だった。

 

あの時もそうだった。

宮殿の中の部屋々を回りながら、主に導かれて、王のいる部屋へと踏み込んだ。アハブは憎々しげにエリヤを見、

体中から拒否反応を発散させながら言った。

「なんだ、またお前か。許可なく、ずかずかと入り込んでくるとは、いい度胸だ。今日は何だ。」

 エリヤは大きく息を吸った。

そして目を閉じ、神からの言葉を整えた。神からの言葉は強烈で、エリヤが初め聞いたとき、体が押し倒されるような衝撃を受けた。エリヤはまた深呼吸をし、アハブを見つめた。

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アハブは足を広げて、肘掛椅子に深々と腰かけ、ふんぞり返り、王としての威厳を保とうと、エリヤを睨みつけていた。そんな彼にエリヤは言った。

エズレル人ナボテの葡萄畑を奪ったな。畑だけでなくその命まで奪ったな」

アハブ王は微かに口角を引き上げた。

 宮殿に隣接するあの土地は日当たりもいいし、菜園畑にぴったりだと常々思っていた。わしは通常の倍の代金を払い、代替え地をも用意すると言った。なのに、あいつはけんもほろろに断った。くさくさしていたら、イゼベルがうまくやってくれたのだ。わしはどんな方法でやったかなんて、知らない」

「知らないですと。異教の妻イゼベルに話せば何とかなると、あなたは知っていた。そうやって、いつも自分を甘やかしてきた。そのつけは大きいですぞ。」

 エリヤはアハブを射殺すように見つめた。

 「アハブよ、聞くがよい。神はこう言われた

 『私はあなたに災いをもたらす。アハブ家に属する者は容赦なく滅ぼし、イスラエルからお前の家系を断つ。お前も妻イゼベルも、獣に食われて死ぬ。町中で死ぬアハブ家の者は獣に食われ、野で息絶える者は空の鳥の餌食となる』」

 エリヤは一気に言葉を吐き出した。

このような言葉をいつまでも心にとどめていると、自分自身の体がむしばまれてゆくような気が、いつもしていた。

 アハブは額に青筋を立て、肘掛の先をがっしりと掴み、顔を突き出し、叫んだ。

「いつもいつも、そうやってわしを怒らせる。

アハブ家が滅びるだと。ぬかせ!イゼベルは異教の国とを結ぶ要だ。そのおかげで、幾度、戦を避けられたと思っているのだ。

イスラエルの神だけに仕えよだと。笑止、笑止。それこそ頑なな心とゆうものよ。互いに理解しあい、相手を受け入れてこそ、平和が保てるというものだ。

お前はわしの預言者たちを偽者呼ばわりするが、融通の利かないお前など要はない。帰れ、帰れ!お前の顔など見たくもないわ!

これ以上ここにいたら、命は無いものと思え!」

 王は怒りで震える腕を伸ばし、エリヤを指さしながら叫んでいた。エリヤは自分の背中越しにその言葉を聞いた。

足早に屋外に出ると、雲足が強まっていて、太陽を覆っていた。

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 時には、自分の勤めの重さに疲弊するエリヤ。

しかし、イスラエルの民を偶像の餌食には出来ない。真の神を見失ってほしくない。自分はそのために遣わされているのだ。神の言葉の代弁者として、人に憎まれ、命を狙われようと、悔いはない。そんな思いが弱気になる彼を奮い立たせ、さらなる働きの原動力となった。

主よ、お守りください。

エリヤは天を仰いで歩きだした。

 

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 エリヤの姿が扉の向こうに消えて、アハブは腕を下ろした。体中の力が抜けて、イスの中に体がのめり込んでゆくように感じた。重い。不意に瞼が下りてきた。ずずーっと冷や汗が背中をつたった。指先が冷えてきた。

再びエリヤの言葉が響く。アハブに向かって、チロチロと赤い炎が這い上ってきた。

わぁぁぁぁあ~~!

アハブはのけぞって悲鳴を上げた。 巨大な目玉が迫ってきたのだ!目が開いた。心配そうにのぞき込むイザベラと目が合った。彼はベットに横になっていた。

「また、あの預言者が来たのですね。アハブ家が滅びるなんてありえません。あなたはイスラエルの王様。恐れるものなど無いのです。ちょうど、礼拝に行くところでしたから、私の神様にお祈りをささげてきますわ」

 イザベラは真っ赤に紅を差した唇を、アハブの耳元に近づけて言った。

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 静かだ。

アハブはほっとしながら、広い寝室の天井を見つめた。そこには池の水が反射して、柔らかな光が揺れていた。葉連れの音がせわしなくなってきて、不意に、窓辺のカーテンを舞い上がらせた。

 わぁ!

アハブの体がわなわなと震えだし、がくがくと操り人形のように、不器用に体を動かして、芋虫のように体を丸めた。

すると、大きな手で首根っこを押さえつけられ、誰かに引きずり出されるようにして、ベッドからずり落ちた。

 彼は放心していた。見開いた眼は、焦点が定まらず、だらしなく開いた唇はカサカサになっていた。アハブは突然、ビリビリと衣を裂いた。髪をかき回し、髭を引っぱった。

「 ゆ、ゆるしてくれ、エリヤ!幼いころは真の神を敬い、父オムリのようになるまいと、気負っていた。それが今はこのざまだ。

妻の機嫌を取らなければと、必死だ。甘やかされて育ったことはわかっている。何もかも人任せになってしまった。

まわりの者が忖度してくれるからな。ナボテには悪いことをした。

だからといって、獣に食い殺されたくはない!エリヤよ、教えてくれ!わしはどうしたらいいのだ」

アハブは幼子のように声を出して泣いた。

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 それから幾日が経過しただろうか。

エリヤがまた、アハブのもとへやって来た。

アハブはふらつく体を、イスに縛り付けるようにして座った。声を出すことも億劫で、エリヤの足元を見つめていた。預言者の衣の裾は土にまみれ、擦り切れていた。

 「神様の哀れみだ」

突然エリヤの声がした。

「アハブよ、お前は獣に殺されることはない。お前の悔いる心を神はよみされた。裁きは延ばされたのだ」

その言葉にアハブはびくっと反応し、勢いよく背筋を伸ばした。それから口をパクパクさせ、慌てて手で押えた。見開かれた眼の中で黒目が大きく揺れて、彼は、膝に顔をうずめてただ泣いた。

 わぉ~~!

神様は素晴らしい!

でも、命をとられちゃったナボテは・・・( ;∀;)アハブを、このまま生かしていていいのでしょうか?罪を憎んで人を憎まず・・むずかしい‥‥アハブさん、あんたは楽して、そのつけを子孫に押し付けて、それで何とも思わないのかぁ・・・なぁ~んて、思ってしまう。🐤はやっぱり🐤だなぁ・・・・