ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

ロバが話す!!

バラムは乾いた土に鼻をこすりつけるようして、ひれ伏していた。

目の前に剣を振りかざした主の使いが立っていた。
もし彼のロバが話しかけなければ、鞭を強くして、この細い道を押し進むはずだった。

ロバが話す???

ばかな。
何を考えていたのだ。


確かに考えていた。
この、何日か前に、モアブの王バラクのもとから使いがきた。

聞けば、今話題になっているイスラエルを呪ってほしいというものだった。
そのイスラエルは今、オグを征服して、シホンの支配地、モアブの草原に宿営しているという。
彼らの強さは本物らしい。

ラクは恐れた。

自分もオグのように攻めこまれるのではと・・

ラクは策を練り、隣国ミデヤンと共同防衛を結ぶことにした。
それでも自信が無かったのか、
モアブから600キロも離れたユーフラテス河畔のペトルに住むバラムに
使節団代表を送って、「イスラエルを呪ってくれ」と、頼みこんだ。

バラムは、神の御心ではないからと断った。

二回目の派遣団は更なる高官が、たくさんの部下をつれて、やって来て丁寧に頭を下げた。

そのときもバラムは、たとえ金銀を積まれても、わたしの神、主の言葉以外は語れない。
と断ったが、主の使いが現れて、許可がおりた。

それで、翌朝、いつも家で使っていたロバの背にゆられながらここまで来たのだった。

それなのに、突然ロバが暴れて畑に踏み込み、振り落とされそうになったり
かとおもえば、細い石垣に囲まれた道で、分けも無く石垣に身を押し付けて、
バラムの足をこすり付けてしまったりと、散々なめにあった。

バラムは怒ってロバを鞭打つと
「今までに私がこんなことをしたことがありましたか?」
「いや、なかった」
バラムは答えてから、はっとした。

ロバが話した!!。

空耳か!!

あたりを見回した。

しかし、彼の前にも後にも、変った様子は見えなかった。
ただ、からっとした陽射しを受けて、
自分の影が地面に黒く固まっているだけだった。

先を急ごうと再び鞭を振り上げた時
ロバがまた暴れて、彼は地面に叩きつけられた。

その拍子に彼の目に飛び込んできたのが
抜身の剣を振りかざした主の使いの姿だった。

「わたしは罪を犯しました。
 すぐに引き返しましょうか?」

上ずった自分の声を他人のように聞きながら
なおも額ずいていると

「いや、このまま行きなさい。
そして、わたしがあなたに告げることだけをつげよ

と、主の使いは言って去って行った。

ラクはアルノン川の国境近くまで出迎えにでていた。
そして、盛大な歓迎会をひらいた。

翌朝、バラクはバラムを見晴らしの良い場所に導いた。
そこからイスラエルの宿営地の一部がよく見えた。

バラムはバラクに七つの祭壇をきずかせ、全焼の生け贄を捧げた。
そうして一人、誰もいない荒地に跪いた。
すると神は、バラムにイスラエルを祝福する言葉を授けた。

バラムがバラクにその言葉を継げると
ラクは怒った。

そして場所を移動し、もう一度、祈ってくれと頼んだ。

そこでも七つの祭壇と全焼の生け贄をささげた。

しかし、結果は同じだった。

必死のバラクは、三度目の場所へとバラムを導いた。
そこはバアル礼拝の聖地でもある山だった。

ここでも七つの祭壇を築かせて、全焼の生け贄を捧げた。

バラムはもう分っていた。
いくら神様にお伺いをたてても、返ってくる言葉は同じだと。

それで、眼下に広がるイスラエルの宿営を眺めていると

突然、彼のうちからこみ上げてくる言葉があって
彼はそれを制し切れなくなった。