ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

聖書に初めて記された悲しい出来事は


メピボセテの僕ヂバは大急ぎで
パン、干しぶどう、夏の果物、ぶどう酒などをかき集め
それらを鞍を置いたロバに乗せてダビデを待っていた。

ダビデはいち早く彼の姿を見つけて言った。

   「どうしたのだ。その荷物は」
   「このロバは王様のために、食べ物はあなたに従う方々のために」
   「ところで、メピボセテの姿が見えないが・・・」

ヂバはごくりと生唾を飲み込んだ。

   「それが・・
    『サウル王家の復興の時だ』と申しまして・・
    エルサレムに残られました」

   
     (え!そうだったっけ? 
      メピボセテは王様と行動を共にしたいと・・
      ロバの用意を!って言ってなかったかしら?
      ひよこの空耳?)

   「彼がそう言ったのか?」
   「はい、それで私はご主人の目を盗んで
    ダビデ王様のためにこれらを取り揃えてお待ちしたのです」

ダビデはしばらくヂバを見つめ、それからゆっくりと空を仰いだ。
雲ひとつない空。それはメピボセテの心のようだと
ついさっきまで思っていた。
彼もか・・・
一羽の鳥が空を引き裂くかのように急降下して
谷の向こうに消えていった。
   
   「よく知らせてくれた。
    今からは、
    メピボセテのものはすべてお前のものだ」
    

   
何か変ですが、とにかく先を急ぎましょう。

誰も口を開く者がいないダビデの一行は
粛々と目的地を目指して歩いていた。
そんな彼らに向かって、突然わめく者がいた。
石が飛んで来た。

幸い誰にもあたらなかったが、
ダビデを取り囲むようにして進んでいた家来たちは、
はっとして足を止め、
一斉にその飛んで来た方角に目を注いだ。

ちょうど、彼らが進む道と平行して、
向こうの谷の山肌にも山道があり
そこから一人の男がわめいていたのだった。

   「あの者の口を封じさせてください」
いきり立ちながら若者が言った。

   「いや、まて!
    今の私は彼の言葉を甘んじて受けよう。
    神様が彼に言わせているのだ」

    
ダビデが黙っているのをいいことに、彼はどこまでも追ってきて

   イスラエルの王が着の身着のままで
    自分の息子に追われてるぞぉ。
    いい気味だ!!
    神様が罰しておられるのだ!
    サウル王様とその家族を殺した血の報いを受けるがいい」

と散々なじっては、石やら何やらを投げつけます。
これにはダビデ一行は閉口した。
散々に疲れ、へとへとになりながら
やっとのことで目的地、ヨルダン川の川岸につきました。

そこに待ち構えていた使者によれば
アブサロムはエルサレムに入場し、
ホシャイは「王様万歳」と叫んで
アブサロムの前にひれ伏したとか。

ダビデはそれらの報告を淡々と聞き、
  
   「そうか、ご苦労だった。
    これでよい、これでよいのだ」

と独り言のようにつぶやき、急ごしらえのイスの背に頭をあずけた。

さて、宮殿の様子を見てみましょう。
気がかりなのはホシャイですが、
少しばかりアブサロムに疑われたものの
彼の近くにいることが許されたようです。

若いアブサロムはアヒトペルに言った。
   
   「これからどうしたらよいのか?」
   「まずは人民に、あなたが王となったことを見せ付けましょう。
    人目に付く宮殿の屋上にテントを張って、
    そこにダビデの妾たちを集めるのです。
    そうして日の高いうちに、あなたがそこに入るのです。
    それを見れば、
    あなたが王になられたことを知るでしょう」

アブサロムにとって、
アヒトペルの語る言葉は神の言葉のように思えて
彼はことごとく従った。

アヒトペルは嬉しかった。
バテシバの事件があってから後、
彼はダビデから疎んじられていたからだ。
今回、
そんな鬱々とした気持ちを吐き出させてくれたのは
若いアブサロムだった。
彼だったら、
これからも私の持てる能力を必要としてくれるだろう。

そう思ったから、躊躇することなく従ったのだった。

彼は考えた。
    戦に巧みなダビデのことだ。ここで時を与えてはまずい。
    彼の歳からすれば今が一番疲れているはず。
    彼の頭の中でくるくると次なる作戦が練られていった。

   「王様、早速ですが
    私に1万2000人の兵をあたえてください。
    今夜ダビデの後を追い、
    疲れて手薄になっている隙を狙って攻めます。
    狙いはただ一人。
    さすれば従った者も抵抗はしないはずです」

    「奇襲をかけるのか・・」

アブサロムは渋った。
気位の高い彼にとって、相手の隙をつくようなやり方で
勝ちたくはなかったのだ。
    うう〜ん・・どうしたものか・・
その時、白い髭をたくわえたホシャイと目が合った。

   「ホシャイはどう思うか?」

アブサロムは彼を見つめて言った。
    
    「ダビデは今、子を取られた熊のように怒っていると思います。
     闇雲に攻めて、こちらに負傷者でもでたら、
     人心が動揺します。
     それに今、群れの中にいるかどうかも分かりません、
     
     いかがでしょうか。
     この際イスラエルの全土から優秀な戦士を集めて
     あなたご自身が陣頭指揮を執られては」

アブサロムと彼の周りにいた者はみなこの話に乗った。
アヒトペルは心の中で舌打ちをした。
     馬鹿な!!
     今をはずしていつがベストというのか。
しかし現実にはホシャイの意見が受け入れられた。

アヒトペルはアブサロムに失望した。
   だめだったか。
   俺も歳をとったものだな・・
   私は本当にダビデ父子に見捨てられたのだ。

足元の地面がゆっくりと開いて、
ずぶずぶと体が沈んでゆくような疲労感と、
深い失望が彼を襲った。
そうしてその日、彼は静かに宮殿を後にした。

彼はロバの背に揺られながら自分の家に帰り
きっちり家の中を片付けると
ゆっくりと遺書をしたためた。

輪を作った紐に首を入れ、足元の台を蹴った。
彼は短くウッとうめいて体が揺れて、
それから永遠に動かなくなった。*1

ダビデの片腕とうわれた男の
さびしい最後だった。

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・ 最近も悲しい出来事が続きますが          
・ 若い命を自分の手で縮めてはいけません。     
・ 事を行う前に、信頼出来る誰かに声をかけましょう。  
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*1:聖書に記された初めての自死