ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

なぜ止めた!!

前回、育ての親とも言うべき祭司エホヤダの死に、落胆したヨアシ王のことを書きましたが、
今回は、凛々しく成長したヨアシ王の在位23年目に戻ります。
ご自分の指揮のもと、神殿の修理の献金集めが始まった頃、お隣イスラエル王国に新しい王様が誕生していました。
f:id:pypyhiyoko:20210922121659j:plain

それは、エヒウの子エホアハズです。
彼は己の悪しき行いのゆえに
神様から遣わされたスリヤ王ハザエルに苦しんでいました。
国土の大半は蹂躙され、彼のもとに残った兵力は数えるほどでした。
数えてみました。

騎兵50人、戦車10両、歩兵1万人。
え!何これ!少なさすぎ!

「踏み砕く塵のようにされた」て書いてあるけど、それは本当のようですね。
エホアハズもその数を知って、心がなえ、
藁をもつかむ思いで、神様に祈りました。

すると、救援者を送ろうと、良き返事が返ってきて、民が自分の天幕で生活できるようになりました。

それで少しほっとしたのか、エホアハズ王はストンと気力が落ちて、息子ヨアシに遺言を残して逝ってしまいました。それはユダのヨアシ王在位37年目の年でした。

遺言って?

葬儀が済むと、新王ヨアシは、すぐに行動に移しました。
時間が無かったのです。
父君の遺言は「エリシャにあって助言を受けよ」というものでした。
しかし、
あの偉大な預言者エリシャは今、死に至る病の床にあったのです。

荒れ果て弱小化して、大黒柱を失ったイスラエル
それを引き継いだヨアシは、横たわる預言者の部屋へと招き入れられました。
むっとするような薬草の匂いが鼻をついた。かまわずベットの脇に進みよると、深い皺の中に、瞼を閉じた目が沈んでいた。

ああ、絶望だ!!

f:id:pypyhiyoko:20210922122130j:plain

ヨアシは自分の身分も忘れて、賢者の顔の上に覆いかぶさって泣きました。
そのとき、ヨアシの腕をがっしりと掴んだ者がいた。
彼がぎょっとして目を開けると、
あのうずもれていた瞼が開かれて、
炯炯と輝く眼差しが彼を捉えていたのです。

エリシャは誰の手も借りずに起きた。
病室の中は驚きに包まれたが、彼は意に介さず、彼らに指示して弓と矢を持ってこさせ、東向きの窓を開けさせた。
重く引かれたカーテンが剥がされると、まぶしく輝く光りの筋が、いく筋も固まって飛び込んできて、二人を包んだ。

若者よ、弓と矢を取りなさい。

ヨアシがそれらを取ると、

弓を引き絞れ!

プルプルと震える右手のこうに、エリシャの手のひらが重なった。

よし!放て!

弓は光りの束の中に消えて行った。
それを見届けながら賢者は言った。

主の救いの矢!スリヤに対する救いの矢!
アベクでスリヤ人を打ち砕け!

エリシャは窓の向こうをしばらく凝視していたが、

さあ!矢を取れ!
地を撃て!!
撃ち続けよ!!!

ヨアシは言われるままに地に矢を立てた。
が、三度矢を放って、彼の手は止まった。

ギロリ!

鋭いエリシャの視線を感じて、ヨアシの全身は硬直し、
じっとりと冷たい汗が背中を走った。

f:id:pypyhiyoko:20210922122543j:plain

なぜ止めた!!
五度も六度も射るべきだった!

エリシャの声が縮んでゆく。
部屋の中に人が飛び込んできて、エリシャを支えた。そうでもしなければ、彼は床に倒れていただろう。両腕を支えられて、ベットに戻りながら彼は言った。

三度だけ、三度だけだ!
おまえがスリヤを打ち負かすのは!

振り返ると、賢者は深い眠りの中に吸い込まれていた。
ヨアシは深々と最高の礼をして、
すり足で部屋を後にした。

彼が国に戻ると、待ち構えていたようにエリシャの訃報が飛び込んできた。
それから、ヨアシは東の窓を開いて、
日に何度も祈りを捧げた。
そのたびに賢者の声が聞こえてきた。

主の救いの矢!スリヤに対する救いの矢!
アベクでスリヤ人を打ち砕け!

彼は祈りつつ、少なくなった兵力の強化訓練に努め、時の来るのをじっと待った。

そんな折、町は驚きの話題に包まれていた。
スリヤの略奪隊は毎年、定期的にやって来て、ごっそりと収穫物やら何やらを持ち去るので、民は絶えず恐れていた。

そのような日に、死者を弔うために野に出ていた男たちがいた。
そして、遠くに略奪隊の影を見ると、彼らはたまたま近くにあったエリシャの墓に、その遺体を放り投げ、後も見ずに駆け出した。
ところがその後を、死んで放り込まれた男が息を吹き返し、彼らを追い越して、町に着いたというのものだった。

f:id:pypyhiyoko:20210922122858j:plain

その話は、ヨアシを勇気付け、むくむくと力と自信が湧いてくるのがわかった。

スリヤ王ハザエル死去!!
ひそかに持ち込まれた情報に、
彼は武者震いをして立ち上がった。

主の救いの矢!スリヤに対する救いの矢!
アベクでスリヤ人を打ち砕け!

鍛え抜かれた兵たちを前に檄を飛ばす彼に、

おおお!!

力強い雄叫びが跳ね返ってきた。

その結果はすでにもう、ごろうじ。*1

次回はまた、ユダ王国に戻ります。
失意の王様に忍び寄る不穏な囁き。
王様! 耳を傾けてはなりませぬ!!
ひよこも、みんなも叫んでいます。

*1:ごろうじ・・こんな使い方でいいのかな?「すでにご存知でしょ」と言った感じで使っているのですが?だめかしら???