ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

アブネル、激怒!!

サウル父子の悲報に接したダビデは深い悲しみと共に
新しい時代の到来を感じた。
また、周辺諸国との均衡の破れを恐れ、
危機感を募らせた。
それで、ユダの地のどこかの町に上ろうかと
神様にお伺いすると、

ヘブロンへ行け」

とのお声。

早速ダビデは、一族郎党引き連れて、ユダの地ヘブロンに移り住みました。一年四ヶ月のチグラグでの生活は、ダビデにとって、次のステップへの豊かな充足の時であった事はすぐに知れた。

『ユダよ、
父の子らは、あなたの前に身をかがめる。
ユダは獅子の子。*1
立法者の杖はユダを離れず、シロ(救い主、メシヤ)の来る時までに及ぶ・』

ユダの人たちは、イスラエルと呼ばれた先祖、ヤコブの言葉を信じていました。それで、今までのダビデの行動を見守っていたユダの人たちは色めき立ちました。

彼だ、彼こそ、その器だ。

こうして、人々の熱い支持を受け、その町の代表者たちが彼を尋ね、油注ぎの儀式を執り行いました。

    「ユダの王」

として、正式に迎え入れられたのでした。
ダビデは、サウル王と王子たちを葬ったのが、ヤベシ・ギリアデの人たちだと知ると、

「あなた方のしたことは主が祝福されます。
あなた方が慕うサウル王は亡くなりましたが、恐れることはありません。ユダの王として私は油注がれました。」

今まで、追う者、追われる者の関係でしたが、サウル王様亡き後は、私を頼りなさい。私があなた方を守りましょう。といった含みのある言葉を伝えましたから、彼らはダビデの懐の深さに感動し、感服しました。

ダビデがユダの王に選ばれたと知ったサウルの従弟で
軍隊長・ネルの子アブネルは、急いで生き残った四男のイシボセテを、ヨルダン川の東の地、マハナイムに連れて行き
「全イスラエルの王」
だと宣言しました。
そこにはユダ族はふくまれていませんが・・
イシボセテはその時40歳。(ちょっと年齢詐称かも?)
アブネルは知力を駆使し、東方および、北方の奪われてい土地を奪還し、国の安定に尽力を尽くしました。国が安定してくると、ダビデの事が気になりました。
彼は何を考えているのか?
北の守りは私が。南の守りはダビデが。それぞれ、南北に分かれて守ってゆくのか。それとも我らを攻めにかかるのか。アブネルは絶えずダビデの動向を探った。

そんなある日、アブネルの軍がギベオンの池のほとりに来ると、池を挟んで、ヨアブの率いるダビデ軍と鉢合わせになった。
そこでアブネルは、代表12人をそれぞれ出して戦わせ
勝敗を決めようと提案した。元々、サウル王の下で仲間だったのだし、たどれば先祖は同じ。無駄な戦いをしたくないと思ったのだった。それが意に反して、あっとゆう間に血なまぐさい争いへと展開してゆきました。
もう誰も、止めることができません。

 「引け!!引け!!」

アブネルは大声をはりあげ、それから一目散にその場を離れた。その時、ゼルヤの三兄弟、ヨアブ、アビシャイ、アサへルは、アブネルを追った。が、引き離された。引き離されたが、末っ子のアサへルは、その俊足のゆえにあきらめず、さらに速度を速めた。
   
「もどれ! 私の兵士を襲って略奪しろ!」

アブネルはアサへルを後方に認めながら叫んだ。それは、アサへルの耳には届いても、理解できなかった。

「お前を打ったら、ヨアブに合わせる顔がないではないか!」

若いアサへルは、もはや頭に血が上って、アブネルの声も耳に入らず、相手にぶち当たるようにして突っ込んでいった。アブネルは軽くいなして、逃げ延びようとしたが、アサへルのあまりの速さに、間合いをつかみきれず、彼の槍は深ぶかと、若者の胸を貫通した。

   「ちぇ!!」

アブネルは鋭く、短い声を発した。それは、己の技の未熟さと、その結果、起こるであろうわずらわしさに対する嘲笑のようにも聞こえた。後から来た兄弟は、倒れている弟に駆けよったが、すでに事切れていた。
二人の兄は、怒りに顔を震わせて立ち上がり、アブネルの後を追い、その日一日追い続けた。辺りが真っ赤に染まったころ、アブネルは小さな丘の頂に、ベニヤミン族に囲まれて立った。

「いつまで私を追いかけるのか。兄弟同士の戦いの悲惨さを思え。引き返せ!」

ヨアブとアビシャイは唇をかみ締め、夕陽を背にして立つ彼を、悔し涙で睨み返した。既に闇が広がっていた。
ヨアブが吹き鳴らした角笛の音を聞くと、アブネルは夜通し移動し続け、あくる日の昼いっぱいかけて、マハナイムの地に帰っていった。
この日、ヨアブのほうは、19人の兵士と弟アサヘルを失い、サウル家のアブネルは360人の兵士を失った。

アサヘルはベツレヘムの父の墓に葬られ、兄たちは「仇はかならずとるぞ」と墓前で誓った後、ダビデのもとに返った。
そんなわけですから、それからも、小競合いは続き、そのたびにダビデはますます強く、サウルの家は。ますます傾いてゆきました。
それでも、サウル家でのアブネルの権力は強まり、彼は、自分の力を誇示するかのように、サウル王のそばめだったリヅパを、自分のそばに置きました。。

ある日、
イシボセテはアブネルと食事を共にしたとき、さりげなくその事にふれました。すると、ワインを飲むアブネルの手が止まり、緩んでいた顔は、硬直し、その額に太い青筋が浮き上がりました。
ゴクリと音立てて、含んだワインを飲みこむと、ギロリと、イシボセテを睨みすえました。テーブルの上に叩きつけるようにグラスを置くと、染み一つない真っ白なテーブルクロスに、鮮やかなワインの赤が、花びらのように散って広がった。イシボセテはその変貌に仰天し、怯えたその目を、アブネルから離せなかった。
その眼差しが、アブネルの心をさらに御しがたいほどに興奮させ、普段、腹にしまっておいた言葉が喉を突いた。
彼はさらに、イシボセテを睨みなおした。

「なんと言われるか!父君亡き後、あなたを王として擁護したのは誰ですか?あなたに、王の資質がおありか?ペリシテの侵入を防ぎ、奪われた地を奪還したのは誰ですか?
あなたが今、その椅子に座っていられるのは、一体、誰のおかげです?
あなたをダビデの手に渡さずに守ってきたのは、私だ!
この私ではないか!弱体したサウル家を支え、こうしてあなたを立てている私に、そんな女の一人ぐらいのことで、とやかく言われようとは・・
こうなったら、はっきり言いましょう。
神様は王位を、サウル家からダビデ家に移すとおっしゃったのです。今までは、無駄な骨折りだったんです。
この事をあなたに言ってしまった今は、ぐずぐずせずに神様のご計画がなるよう行動するのみだ!」

アブネルは荒々しく席を立ち、イシボセテは空しく椅子に座り続けた。茫然自失。
そして、荒々しく立ち去るアブネルの気配は消えた。


*1:黙示録5:5ではイエス・キリストを“ユダ族の獅子”と言っている