三度、生け贄をささげたバラムはもう、神様にお伺いをすることはなかった。
「イスラエルを呪ってください」
と祈っても、その答えはわかっていたからだ。
彼が、イスラエルの宿営をしばらく眺めていると神の霊が彼に宿り、激しい感動の波に押し出されるようにして、彼は語り出した。
「祝福されたイスラエルは、大きく豊かに成長する。
どんなに強い王が立ちあがっても、イスラエルの王に勝る王はいない。
エジプトからイスラエルを導き出した王は偉大なる神!!
イスラエルを呪うものは呪われ、祝福するものは祝福される」
バラクは大きく手を振り叩きながら怒鳴った。
「だまれ!!だまれ!!
わしを愚弄するのか、愚かなやつめ。
お前がイスラエルを呪えば、莫大な報酬が約束されていたものを・・」
バラムはまだ先ほどの興奮が冷めやらずに、
かなたの山を見上げながら言った・
「あなたがわたしに
家に満ちるほどの宝を贈ろうとも、神の言葉を曲げて語ることは出来ません。
あなたの言葉のようにわたしは帰ります。
しかしその前にあなたの未来を語りましょう。」
バラムはきりりとバラクを見つめた。
「その時は、今ではありませんが・・
かならず来ます・・
イスラエルのうちから出る一つの星、一本の杖・・
それがモアブのこめかみと、彼に抵抗する者の脳天を打ち砕き、イスラエルが恐れていた、エドムをも征服するでしょう」
バラムは一気に語り終えると、そのままきびすを返して立ち去った。
チッポラの子のモアブの王バラクは、イスラエルの勢いの凄さに恐れをなし、バラムをわざわざ遠くから招いて、呪ってもらおうと思ったのに・・
(* ^ー゚)ノ
これで(は何にもなりませんね・・
時の流れは不思議なもので、イスラエルを祝福した彼も後には、イスラエルの刃の下に倒れることになるのですが・・・
今はまだ、バラムにも誰にも、わからないことなのです・・
いえ、
先を読み進む、聖書の読者の方はすでに・・