ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

いつの間にか、弟子ができちゃいました!

人々の反発をかったその日以来、私は町のあちこちにゲリラ的に出向いて、話をするようにした。

イスラエルの不忠実で神様の裁きが下るのだ。何とか悔い改めて、神様のお許しをいただけたらと、私は思うからだ。しかし、神様は私に裁きを語れと迫られた。

 「時は刻々と迫っているぞ。飢饉だ!パンや水の飢饉ではないぞ。神様のお言葉を聞くことができなくなるのだ。あちらこちら彷徨い歩いても、神様のお言葉は見つからない。サマリヤ、ダン、べエルシバの偶像に膝まづくな。そんなことをすれば、二度と立ち上がれないぞ!」

その言葉は、たちどころに人々の態度を硬くなにさせた。やじや石が飛んできた。

ある日のことだった。いつものように私が語りだし、人々のヤジが大きくなった頃、群衆の後ろに一人の男が立った。真っ白な髪と髭とを、豊かにたくわえた男だった。周りの者が、ふと後ろを振り向いて言った。

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「あ!祭司様!アマジヤ様!」

その言葉で彼の前に道ができた。祭司アマジヤは、つかつかと前に出てきた。額に太い青筋を盛り上げ、怒りに満ちた突き刺すような鋭い視線。それが私を捉えていた。アマジヤの視線は、群衆の前に出てさらに強烈になった。私は、愛用の羊飼いの杖を握り締めて彼と対峙した。

「私はべテルの祭司アマジヤだ。お前のことを知らせる者があったので調べてみた。お前はユダの地からわざわざこの地に来て、町の人々の恐怖をあおり、揺さぶりをかけているそうだな」

アマジヤは集まっている人々に、念を押すように目をやった。そして、納得したようにうなずいた。

「よくもぬけぬけと言えたものだ。この国の繁栄が目に入らぬのか?建国以来の豊かさを極めたこの国が滅びて、民は他国へ連行されると言うのか?」

アマジヤは大きく頭を振り、顔の前で手を振った。

「お前は、『王様が殺される』と言ったな。お前は謀反人だ!王様殺害を企んでいる謀反人だ!」

おお!っと、二人を取り囲む人々が驚きの声を上げ、息をのんだ。

「ヤロブアム王様には、このことを告げてある。そして王様のご命令はこうだ。『預言者よ!この国から出て行け。この地で二度と、このような活動をするな。以後、我が国に入国するな!』と言われた。よいか、ここは王様の礼拝堂があるところだ。預言したければ、ユダの地でするがよい!」

祭司アマジヤは肩をいからせ、片足を一歩踏み出して叫んだ。

「はて、私を預言者と言うのですか?私は預言者ではない。ただの羊飼いだ。ユダの地で羊の番をし、果物を栽培していた者だ」

私は握りしめていた羊飼いの杖で、トントンと地面をたたいた。

「平凡な羊飼いの私に、神様は言われたのだ。『イスラエルの民に預言せよ!』と」

その時、かすかに地が揺れた。それに私の身がピリピリと反応した。すると突然、腹の底から突き上げてくる叫びが、私の口から飛び出した。

「聞け!祭司アマジヤ!これは神様のお言葉だ。『私に手向かう者よ。お前の妻は身を持ち崩し、この町で売春婦となるぞ。子供たちは殺され、お前は異教の地で死ぬのだ。この国の民も、異国の地で奴隷となる!』」

私の語る言葉に人々は怯え、祭司アマジヤは怒り心頭。

アモスを捉えよ!」

と手を振り上げて叫んだ。その手はプルプルと震えていた。

人々がわらわらと飛び出してきて、私を囲んだ。

「神様の怒りは、すべての人に臨むのではない。お怒りは永遠ではない。神様は人をふるいにかけられるのだ。本当の信仰をもった選びの民を残すためだ。彼らは、荒れ地となったこの地に再び帰ってくる。そして彼らがダビデの町を再建する。これが神様の新しい計画だ。その時は必ず来るぞ。私が語ったことを忘れるな。災いはすぐそこまで迫っている。しかし祝福も後を追ってやって来るのだ」

突然、私の右腕が掴まれた。大きな手だった。その手は私をグイッと引っ張った。バランスを崩した私の体は、つんのめって転びそうになり、たたらを踏んだ。その拍子に人垣を破って外に出られた。

 

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「わあ、助かったんですね」

「そうなのだ、あの右腕を捉えた者が誰なのか・・・今でも不思議だ」

 

「それで・・先生は・・」

かたずをのんで私の話を聞いていた若い男が言った。

「その日を境に、私はイスラエルの地を後にし、ユダの地に戻った。故郷の地で、また羊飼いとして過ごすつもりだった。しかし、私が体験した事柄を記録にとどめておかなければ、と示されたのだ」

「そうだったんですか。いえ、今までお話を伺っていて、神様の私たちに対するご愛の深さ、その広さに怖れを覚えるほどです」

「本当にそうだ。私のような無名な羊飼いさえもお用いになられて、選民イスラエルのために警告を発せずにはおられないのだから・・」

私は窓の外に目をやった。午後の日差しは一段と厳しさを増していた。太陽の強烈な光は、地表に降り注ぐ矢の様だった。まぶしい!私は我知らず瞼を閉じていた。

「他人事ではないのだ。われらの地ユダもまた、神様のお裁きがまっている」

「え!ユダの地もですか?!」

いつの間にか、私の弟子だと名乗る若い男が頓狂な声を上げた。

熱気を帯びた空気が喉の奥に入り込んできた。そして、突然、強烈な喉の渇きに襲われて、私は席を立った。私の言葉は、押しかけ弟子が丁寧に書き留めている。ありがたいことだ。

「神様、羊飼いの私に、あのような使命を与えてくださって、ありがとうございました。これからも、あなたのためにお用いください」

それが日々の祈り、日々の行いとなっている、私の今日この頃なのだ。

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私の過ぎ去った過去。それが走馬灯のように脳裏を駆け巡っている。「ゴクリ」程よい湯加減のお茶が喉元を通り過ぎた。あっ、そうだった。あのことも忘れずに書き留めなければ。私は若い弟子の座る部屋へと踵をかえした。