「エレミヤおじさん、お久しぶりです」
監視の庭に現れたのは、シャルムの子ハナメルでした。日に焼けて土埃まみれのハナメルは、エレミヤの姿を見つけると、健康そうな歯を見せながら駆け寄って来て言った。
エレミヤは驚いた。バビロンがエルサレムを包囲し、塁を築いている中、どうやって来たものかと。
何はともあれ、無事でよかった。エレミヤは彼の肩をポンポン叩きながら顔を歪めた。
彼の来た理由は分かっていた。昨夜、神様から聞かされていたからで、畑の売買だった。
手続きは、レビ記25章に記された律法にのっとって行われた。何らかの理由で土地を手放すときは、一番身近な親族から優先権が与えられていた。たとえ買い取っても50年目のヨベルの年には買い戻しの権利がありました。貧しくて買い戻せないときは無償で返還されました。すごい!Σ(・□・;)
売買証書は二通作成した。バビロンの手中にある今、土地の値段は下落していた。証人が立てられ、銀17シケルを量ってハナメルに渡した。
下落していたし、ヨベルの年まで何年かによっても違っていた。
証書の一通の巻物は封印し、証人の見守る中、書記バルクに渡して言った。
「この証書を土の壺に入れて保管してくれ」
エレミヤは監視の庭でこれらのことに立ちあった人たちに向かって言った。
「主は言われました。
『今はこのような状態ですが、再びこの地で我々は家と畑とブドウ畑を買うようになる』と」
手続きが済んで肩の荷が下りたハナメルは、安堵した顔で言った。
「私はこのまま帰ります。状況が変わったら、一度、アナトテに帰って来てください」
「わかった。とにかく気を付けて帰るんだ」
エレミヤは甥の無事を祈って送り出しました。
それはゼデキヤ王在位10年目の時でした。
日用品が不足しだし、人々の顔が緊張で強張りだした頃でもありました。
ある日、エジプト軍が救援のため北上して来たと、うわさが流れました。バビロン兵はその対応に追われ、包囲網は解除されました。エジプト軍との戦いは厳しく、彼らは撤退するしかありませんでした。
「ばんざ~い!!エルサレムは解放された!」
「エジプト、バンザ~イ!」
狂喜乱舞する民に向かってエレミヤは必死に訴えました。
「彼らはすぐに戻ってくる。力をつけて戻って来るぞ!」
しかし緊張のほぐれた民には馬耳東風。
それでエレミヤは、滞っていた事務手続きなどの用事を済ませるため、故郷アナトテに行くことにしました。
ベニヤミンの門についた時でした。(監禁されていたのでは?? 王様の許可が下りたのかな?)
「おい、お前は預言者エレミヤだな!こんな所で何を企んでいるのだ。
そうか、バビロンに脱走しようとしているのだな!」
敵対心メラメラの番兵に言いがかりをつけられ、司の所へ連れて行かれました。
常日頃から、エレミヤのメッセージにうんざりしていた人たちは、うっ憤を晴らせとばかりに、エレミヤを散々痛めつけ、それから書記ヨナタンの家にある地下牢に押し込めました。
🐤
「王様、預言者エレミヤの居場所がわかりました。彼は書記ヨナタンの地下牢の中でした」
なかなか帰ってこないエレミヤの身を案じた王様は、家来に調べさせていました。
この王様、エレミヤの言葉を受け入れないものの、気になってしょうがないようですね。度々使者を遣わしたり、本人を呼び寄せたりして、神様からのお言葉を気にしています。
「そうか、よくやった。よし彼を呼び寄せろ」
王様の命令ですから、すぐエレミヤは王の監視の庭に連れ戻されました。
王は密かにエレミヤに会って言いました。
「神様から、何かお言葉があったかな?」
「はい、ありました。パロの軍勢はエジプトに帰ります。カルデヤ人(バビロン)は再び来て、この町を包囲します」
エレミヤはエルサレムと王の未来についても語りました。
王は唇をきつく結び、時折目をつむってうなずいたりしながら黙って聞いていました。
一通り話し終えると、エレミヤは言いました。
「王様、お願いがあります。どうか私の身柄をヨナタンの地下牢に帰さないでください。あそこで私は死にたくありません」
それで王は監視の庭にエレミヤを移し、毎日一個のパンを届けることにしました。
ある日、王の元にエレミヤに反対する4人の首長たちが訪ねて来て言いました。
「エレミヤは民の士気を挫くことしか言いません。今の処置は生ぬるいです。彼には死刑が妥当です」
「う~む。そう~か。よし、お前たちにエレミヤの処遇をまかせよう」
ゼデキヤ王はバビロンによって立てられた傀儡王でしたから、王としての気構えと節操が無かったのでしょうか?😿
そのおかげでエレミヤは監視の庭にある竪穴に放り込まれてしまいました。
空井戸です。
埃が舞い上がりました。
ずぶずぶと体が沈んで行くエレミヤ。
果たしてエレミヤの運命やいかに!!🐤