”エレミヤ憎し”とばかりに、王ゼデキヤに、「エレミヤ死刑」を訴えた反バビロン派の人たちでしたが、著名な預言者の命をその手で断ち切ることに抵抗があったようです。
監視の庭にあった雨季の為の空井戸に預言者を投げ入れるにとどめました。自然に衰弱して亡くなると思ったからでしょう。
この様子を柱の陰からじっと見ていた者がいました。王の家の宦官エチオピヤ人で、親バビロン派のエベデメレクです。親バビロン派の人々は早々にバビロンに投降したはずですが、彼は居残っていました。彼はゼデキヤ王の定まらない態度を見守りつつ、預言者エレミヤの身が気がかりだったのかもしれません。
エレミヤが監視の庭の井戸に投げ込まれた!
エチオピヤ人エベデメレクは胸がズキ!と痛んだ。
王様は何処だ。
王はベニヤミンの門に座して様々な問題に対処していました。
エベデメレクは急いだ。
当時の人々にとって地下は死者の国、黄泉の国と恐れられていました。
早くしないと預言者の命が危ない!!
門が見えた。
座する王の姿が見えてきた。
そして、恐れ多くもと御前にぬかずいた時には、息切れの苦しさを忘れて言いました。
「王様、偉大な預言者エレミヤが、監視の庭の井戸に投げ込まれました。もはや町にはパンが無くなりました。このままでは、老預言者は餓死するでしょう」
エベデメレクの言葉に王は目を見張り息を止めました。”生きていた”と言う安堵感と、60代半ばの老預言者の体がもちこたえるか、時間の問題だと心配になりました。
「ここから三人の者を連れて行け。エレミヤを死なせるな」
王はてきぱきと指示を出しました。
エベデメレクは、エレミヤを釣り上げる紐と共に、王の家の衣服室から見つけた古着も、一緒に穴の中に投げ入れました。
「さあ、あなたの脇に着物を挟み、紐を肌に触れないように当ててください」
エレミヤは言われるままにしていると、体がスルスルと引き上げられました。
王から遣わされた屈強な三人の力を借りて、エレミヤ救出作戦大成功!!
エベデメレクはやり遂げました。
良かった!🐤
ちなみにエベデメレクの名前ですが『王の僕』の意味があります。
地下は死者の国、黄泉の世界。そこから人を救い出せるのはただ神様のなせる業。
『王の僕』としてエベデメレクは用いられたのですね。
後に、エレミヤは彼に神様のお言葉を告げました。
「私はお前の見ている前でこの町エルサレムを滅ぼす。しかし、お前は救い出す。私に信頼したほうびとして、危ない目に会うことが無いよう守るから安心しなさい」と。