ピヨピヨひよこ日記

自分流に聖書を読んでいます。

聖書を自分流で読んでいます。

乾杯だ!

バビロン王ネブカデネザルは、

総督に親バビロン派であったゲダルヤを任命し、「残された貧しい人々」の管理を任せました。



アッシリアは占領後、

支配階級を自国に連れ去り、

別の敗戦国の支配層グループを、

他から連れて来て住まわせるという、

総入れ変えをしました。



今回ユダの地にも、

他国の民がやって来るのか?

しかし、

バビロンのやり方は違いました。

同胞のゲダルヤが総督に就任したからです。

そのニュースは、

瞬く間に人々に共有されました。

 

敗戦色濃くなると、

反バビロンの人たちの一部は、

荒野のあちこちに散らばって行きました。

モアブ、アンモン、エドムなど、

周辺諸国へ逃げ延びた人もいれば、

荒野で様子伺いをしていた人々もいました。

それらの人々が、

嬉々として戻ってきました。



「ミヅパ」

その言葉には、

新しい希望の響きがあります。

「総督ゲダルヤ様の元で、

国を復興させよう!」

人々の胸は熱く燃え上がり、

再建されて行く町を思い描いて、

目頭を押さえました。

 

ヨシヤ王の時代から、

宮廷には親バビロン派の高官がいました。

何代にもわたって、

宮廷に仕えていたゲダルヤの家系も、

親バビロン派でした。

 

バビロンに投降を勧めていたエレミヤも、

ゲダルヤの元に身を寄せました。

そして、

宗教的指導者としての役割を担いました。

 

バビロンのもとでしたが、

ゲダルヤは人々に安心と安全を与え、

人心を掌握しました。

ですから、

貧しい残留民も、

安心して働くことが出来ました。

その結果、

その年の果物も葡萄も、

民の喜びに答えるかのように豊作でした。

そして最高の葡萄酒も出来ました。

 

今日は収穫感謝。

エレミヤは会衆に向けて叫びました。

 

『主はこう仰せられる。

イスラエルの乙女よ

びわたしはあなたを建てる、

あなたは建てられる。

あなたは再び鼓をもって身を飾り、

出て行って喜び楽しむ者と共に踊る。

あなたは、

ぶどうの木をサマリヤの地に植える。

植える者は、

その実を食べることが出来る。』

 

おお、輝く未来が見える!

神様のお言葉はさらに続きました。

年老いた預言者の言葉は、

収穫を祝う人々の歌声に、

かき消されて行きました。

それでもエレミヤは語り続けました。

 

『立って、シオンに上り、

われわれの神、主に、もうでよう。

その時おとめたちは舞って楽しみ、

若い者も年老いた者も共に楽しむ。

わたしは彼らの悲しみを喜びにかえ、

彼らを慰め、

憂いの代わりに喜びを与える。

わたしは多くのささげ物で、

祭司の心を飽かせ、

わたしの良き物で、

わたしの民を満ちたらせると、

主は言われる。』

 

民の歓声の波がエレミヤを包んだ。

一瞬ゲダルヤと目が合った。

透き通ったさわやかなまなざし。

自信あふれた姿。

彼はエレミヤに微笑み返した。

そして、

右手に持ったコップを高々と上げてから、

ゆっくりと口元に持って行った。

 

一段と歓声が高まった。

その晴れがましい空気の中で、

一人、

エレミヤは浮いていた。